はじめに
食物アレルギーは、ある特定の食物を飲んだり食べたりすることによって起こされるアレルギー反応です。
大人にもある反応ですが、乳幼児に多いことが知られています。
成長期の子どもにとって、栄養のバランスはとても大切です。
乳幼児の食物アレルギーについての基礎知識を知っておきましょう。
乳幼児に食物アレルギーが多い理由
食物アレルギーは、特に0才から3才の乳幼児に多く見られます。
アレルギーは体内に入った特定の異物に対して体が過剰に反応し、かゆみを伴うじんましんなど様々な症状をもたらします。
乳幼児に食物アレルギーが多い原因は、消化酵素の分泌が不十分で、腸管の粘膜が未発達なことにあります。
また体にとって有害、無害なものを見分ける免疫能力も未熟です。
食べたものが十分に消化されずに吸収されてしまうため、体が異物として捉えてしまうものが多くあります。
食物アレルギーを起こしやすい食品は?
乳幼児がアレルギーを起こしやすいものとして、卵 、牛乳 、小麦 、大豆 があげられます。
中でも第1位は卵です。特にタンパク質は分子が大きいままで体内に吸収されやすいため、異物として捉えてしまいやすいようです。
その他は、乳製品、魚卵、魚貝、果物、そば、ピーナッツなどがあります。
またかゆみの原因になりやすいものとして、口のまわりに付くとかぶれやすいものや、体が温まる香辛料などもかゆみを誘発します。

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症状と反応が出るまでの時間は?
症状
◇かゆみを伴う発疹やじんましん
◇腹痛、下痢、嘔吐
◇くしゃみ、鼻水、咳
◇口内炎や結膜炎
◇血尿
◇動機、胸の痛み
◇頭痛、関節痛
など、様々な症状があります。
まれに「アナフィラキシー」と言われる激しいショック型の反応を起こすことがあります。
食べ物が入った直後に、血圧低下や呼吸困難などを起こします。
症状が出るまでの時間
①15~20分以内
②6~8時間後
③1~2日後
このような3つパターンがあります。
15~20分以内の即効型の場合は、直後に症状が現れるため診断がつきやすくなります。
6~8時間の場合は、間食や次の食事もあるため原因が見つけにくくなり、さらに1~2日となると原因究明はかなり難しくなります。
食物アレルギーの診断は?
赤ちゃんに食物アレルギーの疑いがある場合は、アレルギーの原因物質(アレルゲン)となっている食品は何なのかを突き止める必要があります。
検査を受け、特定の食品を制限します。
また制限する場合には
〇代りにどのような栄養をとればいいか
〇いつまで制限するか
など、医師や管理栄養士に指導してもらうことが大切です。
食物アレルギーの検査方法は?
1、除去試験
疑われる食品を1~2週間完全に除去し、症状が軽くなるかどうかを見ます。
軽減されない場合はその食物は関係ないと考えられます。
2、負荷試験
除去試験で症状が軽くなった場合は、あえて疑われていた食品を少量ずつ食べさせて症状が出るかを見ます。
この場合は、必ず専門医の指導のもとで行います。
3、血液検査と皮膚検査(補助的)
血液検査は、血液中にアレルギーを引き起こすIge抗体の量を調べます。
皮膚検査は、皮膚に疑われる食物のエキスを少量たらし、発疹などが出るかどうかを見ます。
ただし乳幼児の場合は陽性と出ても、本当に食物制限が必要な確立が低いため、検査結果だけの判断で食事制限をしないことが大切です。
治療法は「除去食糧法」が基本
検査を受け、アレルゲンとなる食品が特定されたら、正しくその食物の除去を行います。
1、完全除去
アレルゲンとなっている食物を、一定期間いっさい食べさせない方法です。
通常まずは半年間行います。
2、不完全除去
アレルゲンとされる食物を、ごく少量食べさせる方法です。
アレルギー症状が出なければ完全除去に比べ不安も軽減されます。
いずれも子どもの状態をみて、医師の適切な判断、指導のもとで行います。

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日常の注意は?
◯ママの判断だけで食物を制限せず、かならず医師の診断をもとに行いましょう。
◯除去法は始めてみると難しい面があり、市販のものや外食時など、アレルゲン食品をうっかり食べさせてしまうことがあるかもしれません。
その場合、症状の程度がひどくなければ、慌てたりあまり神経質にならないことが大切です。
◯万が一「アナフィラキシー」を起こした場合は、呼吸困難など命にかかわる可能性があります。その際は救急で受診しましょう。
さいごに
乳幼児の食物アレルギーの多くは、成長と共に消化機能が発達し、免疫力も発達することで改善していきます。
医師の指示のもと、あせらずゆっくり改善を待っていきましょう。