はじめに

はじめに
尿路感染症は、赤ちゃんから高齢者までかかる病気ですが、特に女性に多く見られ、中でも妊婦さんはよくかかる病気です。
かかりやすく、再発しやすく、放っておくとお腹の赤ちゃんにも影響を及ぼすため、早期の発見、治療が重要です。
尿路感染症の基礎知識を知っておきましょう。
 

尿路感染症とはどんな病気?

尿は腎臓で作られますが、腎臓は体内を流れる血液をろ過してきれいにする働きがあり、その結果できたのが尿です。
尿は、腎盂(じんう)→尿管→膀胱→尿道という「尿路」を通って体外へ排出されます。
この尿路のどこかにウイルスや細菌が感染、炎症を起こすのが尿路感染症です。

引用元:http://dock.cocokarada.jp/disease/120.shtml

原因のほとんどは細菌による感染で、8割以上は腸内にすみつきやすい「大腸菌」によるものです。

尿路感染症は炎症を起こす場所によって「尿道炎」「膀胱炎」「腎盂腎炎:じんうじんえん」と病名が変わります。
このうち妊婦さんが一番かかりやすいのが「膀胱炎」で、約10%が最低1回はかかり、過去にかかったことがある場合は再発する可能性が高くなります。

膀胱炎は「無症状」の場合もあり、放っておくと腎盂腎炎を引き起こします。

腎盂腎炎(じんうじんえん)は主に大腸菌などが「尿道から腎盂へ逆行」して炎症を起こしたものです。
尿が通常の経路と逆で、膀胱→尿管→腎盂へと、細菌が尿管をさか上ってしまい発症します。

 

妊娠中に尿路感染症になりやすい原因は?

妊娠中は尿路感染症になる割合が高くなるといわれています。
その理由として、妊娠が進むと大きくなった子宮によって尿管が圧迫され、腎臓や尿管が腫れることが多くなります。
また妊娠中に増えるホルモン(プロゲステロン)の作用で、腎臓と膀胱をつなぐ尿路系の筋肉が緩み、尿が膀胱から尿管へ逆流しやすくなることで細菌に感染しやすくなります。
その他、妊娠中は子宮が腸を圧迫するために便秘になりやすく、腸内への圧迫も要因となります。

 

膀胱炎(ぼうこうえん)の症状は?

◇頻繁な尿意、頻尿
◇下腹部の圧迫感や鈍い痛み
◇ほんの少し排尿するだけで痛んだりヒリヒリする
◇尿が悪臭を伴う
◇尿がにごる、血尿になる

症状には軽いものから非常につらいものまで個人差があり、また「無症状」の場合もあります。

 

腎盂腎炎(じんうじんえん)の症状は?

腎盂腎炎は、膀胱炎の症状に以下が加わります。

◇妊娠後期に最も多く見られる
◇悪寒、38度~39度の高熱
◇背中の痛み
◇吐き気、嘔吐を伴う

膀胱炎の未治療から腎盂腎炎を起こす例が20%~40%の割合でみられます。
治療が遅れると腎機能が低下したり、菌が血液に入り全身に細菌感染する「敗血症」に及ぶことがあります。

早期に治療すれば特に妊娠に影響がないことがほとんどですが、重篤化すると炎症によって子宮収縮が生じて陣痛が始まることがあり、早産や流産になってしまう可能性があります。

妊娠中には尿路感染症を起こしやすく、膀胱炎も腎盂腎炎も、早期発見、早期治療が重要です。
少しでも思い当たる症状がある場合は早急に受診しましょう。

 

尿路感染症の治療法は?

尿培養で細菌を検出します。
治療は主に大腸菌をターゲットとした抗生物質(抗菌薬)を使用します。

膀胱炎の治療法

妊娠中の服用が認められている抗生物質を服用します。
症状が良くなったからといって服用をやめてはいけません。
再発防止のために医師の指示に従い、治療を継続します。
 

腎盂腎炎の治療

通常は抗生物質で治療しますが、高熱によって衰弱している場合もあるため、薬を点滴投与するために入院が必要な場合があります。
症状が消失しても再発が生じる可能性があるため、定期的に検査をして、再発が生じていないことを確認していきます。

 

尿路感染症の予防法は?

妊娠中は尿路感染症を起こしやすいため、今では多くの医師が発症を防ぐために予防に取り組んでいます。
妊娠の初診時に検査を行い、予防用の抗生物質が投与されることもあります。

医師の指示と合わせて、以下のことも実践しましょう。

image by Photo AC

◯細菌を洗い流すため、水をたくさん飲む
◯コーヒーや紅茶(カフェイン抜きのものも)、アルコールは控える
◯排尿の度に時間をかけて膀胱を空にする
◯尿意があるときは我慢しない
◯コットンの下着などで陰部を清潔に風通しを良くする
◯排泄後は前から後ろに向かって拭き、細菌が膣や尿路に入らないようにする
◯香料入りのトイレットペーパーは使用しない
◯塩素処理されていないプールには入らない
◯抵抗力を高めるために、栄養価の高い食事、適度な休息と運動を心がける

このような予防法を医師の指示と合わせて実践すると、感染症が起きても回復を早められます。

 

おわりに

膀胱炎は女性になりやすいというのを聞いたことがある人は多いと思いますが、膀胱炎から「腎盂腎炎」に発展する危険性は、あまり知られていないようです。
特に妊婦さんにはかかりやすく、無症状の場合もあり初期は見逃しやすいため、症状が出たら急いで受診し、予防法も知っておきましょう。