はじめに ~全身性エリテマトーデス(SLE)とは?~

全身性エリテマトーデス:SLE(Systemic lupus erythematosus )は、自己免疫疾患の1つです。
自己免疫疾患とは、本来自分の体を守るために備わっている免疫機能が異常をきたし、自分自身の細胞や組織を敵とみなして攻撃をしてしまいます。

全身性エリテマトーデス(SLE)は、関節、神経系、皮膚、血液、腎臓、消化管など、全身のさまざまな臓器に障害が起こる膠原病の1つです。
特に15才~40代の女性に発症しやすく、また妊娠中は症状が好転する人も悪化する人もいます。
SLEは伝染病ではありませんが、胎児や新生児にも影響を及ぼす可能性があるため、妊娠、出産は慎重な管理が必要な病気です。
 

全身性エリテマトーデス(SLE)の症状は?

全身倦怠感、疲れやすい、食欲不振、体重減少、原因不明の発熱などが見られ、皮膚や関節の症状はほとんどの患者さんに診られます。

経過中は全身に以下のような症状が見られます。

皮膚/粘膜

・顔面の発疹、鼻から頬にかけて蝶が羽を広げた形に似ている皮疹(蝶型紅斑)
・寒くなると手指の色が蒼白は紫色になる(レイノー現象)
・強い紫外線を受けた後に発疹や水ぶくれ
・口腔内や鼻咽腔に潰瘍
・脱毛
 

関節

・手や指が腫れて痛みを伴う
・身体のあちこちの関節が移動しながら痛む関節痛
(関節リウマチのような骨の破壊はない)
 

中枢神経

・CNSループスと呼ばれ、抑うつ状態や興奮状態、失見当識(時間や場所や人などを正しく認識できなくなる)
・てんかん様のけいれん発作
・マヒやしびれ、髄膜炎など
 

心臓と肺

・胸膜や心膜に水がたまる胸膜炎や心外膜炎
・胸痛や動機、息切れなど
 

腎臓

・ループス腎炎(蛋白尿、高血圧、浮腫 など)の腎臓障害
・足やまぶたのむくみ、ネフローゼ症候群など
 

消化器の症状

・吐き気、嘔吐、便秘、下痢、腹痛、
・腹膜炎、腸炎、膀胱炎など

このように、多くの臓器がターゲットとなり、症状や臓器障害は重いものから軽いものまで様々で人によって異なります。
様々な症状が一度に、または次々に起りながら、良くなったり悪くなったりを繰り返し、慢性の経過をたどります。

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全身性エリテマトーデス(SLE)の原因は?

❏ホルモンバランス
紫外線照射(日光過敏)
ウイルス感染
特定の薬剤
妊娠、出産
外科手術
ストレス、環境

などがありますが、きっかけが明らかでない場合もあります

 

治療法は?

治療の中心は、免疫のはたらきを抑えることと炎症を止めることです。
薬物治療として、副腎皮質ステロイド薬で悪化を防ぎます。

日常生活では、安静と、過度な紫外線、寒冷、ストレス、感染症などを避けることが大切です。

SLEは軽い症状から重い症状まで、また急性期から慢性期まで様々な病状がみらるため、治療法は病状によって異なります。
慢性疾患のため病状に波があり、急変することもあるため、定期的な受診が必要です。

 

妊娠、出産への影響は?

全身性エリテマトーデス(SLE)の場合、妊娠、出産には原則としていくつかの条件があります。

❏病状が落ち着いている
腎障害などの重篤な内臓病変がない
ステロイドによる重篤な副作用の既往がない
免疫抑制剤の併用がない
出産後の育児が可能

などがあります。
条件を満たしていても、通常の出産よりも大きなリスクを伴うこともあります。
条件が満たない状態での妊娠、出産は、母子ともに命に危険が及ぶ可能性が大きいため、主治医とよく相談の上で慎重に行います。
まずは母体の安全確認が重要になります。

 

おわりに

このように、全身性エリテマトーデス(SLE)は妊婦さんにとって様々なリスクがあります。
ちょうど妊娠、出産、子育て世代の若い女性に多く見られる病気のため、基礎知識を知っておくことは大切です。