高度1万メートルを飛ぶ航空機の中では地上と比べ気圧が下がり、酸素濃度も低くなります。

旅客機では機内に圧縮空気を送り込み、0.8気圧(810hPa、2000メートル級の山の山頂程度)ほどになるよう調整されているため、健康な人なら「空気の薄さ」を感じることはないと思いますが、気圧の低下にともない酸素の分圧も地上の80%程度になっています。酸素を取り込む能力の低い「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」患者の方では、息苦しさを感じることもある酸素の薄さです。
COPD患者の方が旅行する場合は、飛行機に乗る際の注意点を事前にチェックしておきましょう!

 

まずは飛べるかどうかチェック!早めに担当医に相談しましょう!

酸素ボンベなしで100メートル(平地)を一定のペースで歩くことができ、息切れしない方は、航空機内の気圧の低さが問題となる可能性は低いです。
100メートル歩くことができない方、途中で立ち止まって息をつく必要がある方、酸素療法を受けている方は、医師へ相談する必要があるでしょう。

COPDであってもほとんどの方が飛行機に搭乗することはできるようです。抗コリン薬やβ2刺激薬などで気管支を拡張し、場合によってはテオフィリン薬も併用するなどして、機内の低い気圧に対応することになります。
機内では乾燥に気をつけ、こまめに水分をとるようにしてください。

在宅酸素療法を行っている方や、航空機搭乗の際に酸素ボンベが必要と医師によって判断された場合、機内で酸素ボンベを使用するには事前に申請が必要となりますので、確認しておきましょう。
 

酸素ボンベの持ち込み・預け入れ・貸し出しのルールは航空会社によって異なります

旅客機の機内にはあらかじめ酸素ボンベが搭載されていますが、これは緊急用であり通常は使用できません。

酸素ボンベは航空手荷物では「危険物」になりますが、JALANAをはじめ日本の航空会社各社では基本的に、医療用に限り機内への持ち込みを認めています(登山用など医療用でない酸素ボンベについては、持ち込みも預け入れも不可となっています)。
機内で使用する分量だけを持ち込み、着陸後に使用する分などはチェックインすることになります。

酸素ボンベを機内に持ち込んだり航空会社の有料貸し出しサービスを利用するためには事前に申し込みが必要となり(JAL:持込は国際線・国内線ともに48時間前まで、貸出は国際線72時間前・国内線48時間前まで/ANA:持込は期限指定なし、貸出は国際線96時間前・国内線48時間前まで)、診断書の提示が義務付けられています。

診断書は航空会社で所定の書式があり、HPからダウンロードして主治医に記入してもらう必要があります。
JALANAについては搭乗日を含め14日以内に発行された診断書が有効となっています。余裕をもって用意しておきましょう。

機内に持ち込むことのできる酸素ボンベの重量・仕様などには制限があり、仕様証明書(JAL/ANA)が必要になります。機内で酸素ボンベを使用するには本人または付添人が、操作を熟知しておく必要もあります。

なお、JAL・ANAともに米国発着路線(ハワイ、グアム、アメリカ本土)については医療用であっても酸素ボンベの持ち込み・受託ともに不可となっているので注意してください。アメリカの法律によるものなので、ほかの航空会社でも同様です。

海外の航空会社を利用される際は、英文診断書が必要になったり、酸素ボンベの持ち込みは禁止で貸し出しサービスのみになっている場合などもあります。
航空券を購入する前に航空会社のホームページなどで確認しておきましょう。
 

機内で携帯用酸素濃縮器(POC)や人工呼吸器を使用される場合

携帯用酸素濃縮器(POC: Portable Oxygen Concentrator)や人工呼吸器などの医療機器を航空機内で使用される場合は診断書が必要となっています。

機内のシート電源は安定的な電源供給を確保できるものではないため、搭乗者の健康に影響がでる可能性がある医療機器には利用できません。バッテリーを用意する必要があります。
ウェットバッテリーは危険品のため、特別な対応が必要となるようです。

医療機器には作動時に電波を発信するものなどもあるため、医療機器名・メーカー名・製品名・型番・サイズ・バッテリーの種類などを航空会社に知らせ、機内で使えるものかどうか確認する必要があります。


 

睡眠時無呼吸症候群でCPAPを使用される方

睡眠時無呼吸症候群(SAS:sleep apnea syndrome)で持続式陽圧呼吸療法(CPAP:Continuous Positive Airway Pressure、シーパップ)を行っている方が長時間のフライトで睡眠をとる際、機内で使用可能な「電磁波干渉規格(=EMI)」であればCPAPを使用することができます。

診断書は必要ありませんが、あらかじめCPAPの製品名、型番、バッテリーの種類などを航空会社に連絡しておく必要があります。

規格が合えばシート電源を使用することもできるので、事前に確認しておきましょう(JAL/ANA)。
 

おわりに~持病のある方の旅行は余裕をもった準備が大切です

肺の疾患があっても飛行機に搭乗し、世界各地への旅行を楽しむ方はたくさんいらっしゃいます。

予定を立てたら早めに担当医に相談し、医療機器を使用する際の事前申し込みや診断書の提出、旅行中のお薬の用意、空港での保安検査から搭乗まで、すべてにおいて余裕をもって行動するよう心がけ、快適な空の旅を楽しみましょう!

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