はじめに

ストレスが蔓延している社会では、様々なストレス症状や疾患が起きていますが、過換気症候群(かかんきしょうこうぐん)もその一つとして近年増加しています。

特に若い女性や子供に起こりやすく、女性タレントが救急搬送された報道も目にしたことがあると思います。

ところがその対処法については、広く大きな誤解があるといわれており、間違った対処法によって「窒息死」を招くケースが報告されているため、正しい対処法を知っておくことが大切なので、今回は過換気症候群での対処法をチェックしていきたいと思います。

なお、よく「過呼吸(かこきゅう)」と呼ばれる現象は過換気症候群のことを指していることが多いです。
(本来、「過呼吸」はスポーツなど運動によって発症するものを指し、精神的な要因によるものは「過換気症候群」と言い、過呼吸と過換気症候群は厳密には異なります。)

過換気症候群の症状は?

▶呼吸が速くて浅い
▶息苦しさ
▶胸の痛み、動悸
▶頭痛、めまい
▶吐き気、嘔吐
▶指のしびれ、全身の筋肉の硬直、けいれん
▶失神、意識消失
▶発作は通常30分~1時間で治まる

過呼吸の発作は、息苦しさにより「死ぬかもしれない」という不安と恐怖から、さらに必死で息を吸おうとします。
息を吸おうと思えば思うほど呼吸は速く、浅くなり、悪循環を招きます。

発作は30分~1時間で治まり、その後は良好な場合がほとんどですが、「いつ発作が起こるか分からない」という不安が付きまとい、プレッシャーを感じる場面や不安や恐怖などの強い精神的ストレスをきっかけに繰り返し発症してしまいます。
 

過換気症候群の間違った対処法「ペーパーバック法」

過換気症候群の応急処置に「ペーパーバック法(紙袋再呼吸法)」という、紙袋で口と鼻を覆い、吐いた息を再呼吸させる方法があります。
過換気症候群になった人に対しては、この方法が広く認知されてしまっていますが、窒息死に至ったケースが報告されているため、行わないことがよいとされています。

ここで過換気症候群になる仕組みを知っておきましょう。
 

過換気症候群になる仕組みは、酸素不足ではない

過呼吸は酸素が不足するから起こると思われがちですが、血液中の二酸化炭素が不足することによって起こります。酸素は血液中のヘモグロビンによって体中に運ばれます。ただし運搬役のヘモグロビンは二酸化炭素があってはじめて酸素を送ることができるのです。

ところが、強いストレスなどにより、呼吸が速く、浅くなると、呼吸数が増えて必要以上に二酸化炭素を吐き出すため、血液中の二酸化炭素が少なくなり、細胞に酸素が供給されなくなってしまいます。
細胞に酸素が不足すると、呼吸を更に増やして多くの酸素を取り込もうとしますが、さらに血液中の二酸化炭素の濃度が下がり、ますます酸素が細胞に行かなくなるという、悪循環に陥ってしまう。これが過呼吸の仕組みです。

さらに二酸化炭素が少なくなると、体内がアルカリ性に傾き、めまいやしびれをはじめとする様々な症状が起こります。
 

ペーパーバック法を行わない方がいい理由

過呼吸の状態を改善するためには、血液中の二酸化炭素の量を増やす必要があります。
そこで、紙袋を使って口と鼻を多い、二酸化炭素を取り込むのが良い、とされていましたが、現在は医師の間でも否定的です。

■理由として
・本人に恐怖や混乱を招くことがある
・発作の最中には行いにくいため効果的ではない
・窒息による死亡例が続いている
・患者を落ち着かせることにより発作は抑えられることが多い

などが挙げられます。

医師は場合によりペーパーバッグ法を用いて発作を消失させることがありますが、それで効果がみられない場合には、鎮静薬の注射を考慮します。
このような処置は私達にはできないことです。
たとえ袋に穴をあけたとしても窒息する可能性があるため、ペーパーバック法は行いわないようにしましょう。
 

過換気症候群の正しい対処法は?

始めて発作が起きたときは、まずは救急車を呼ぶようにしましょう。

落ち着き、呼吸を整えるために、以下のことを意識して対処しましょう。

  • 周囲が慌てずに本人を落ち着かせます
  • 周りの人が見ていると落ち着かないため、手当てをする人以外はその場を離れておく
  • 「ゆっくり息を吐いてね」と優しく呼びかけます
  • できればしばらく息を止めて、酸素を吸い込まないようにする
  • 吸う:吐く=1:2位の割合になるようにゆっくり息を吐くこと
  • 1回に10秒位かけてゆっくり吐く
  • 背中をゆっくりなでながら呼吸のリズムを整えるようにしてあげる
     

過換気症候群の特徴は、ある程度時間が経つと治まるということです。このような処置を冷静に行ってあげましょう。
最も注意したいことは、周りがパニックになってしまうことです。

また自分自身が過呼吸になった場合には「過呼吸では死なない、落ち着けば治まる」と思い、このようにゆっくり呼吸を整えるように心がけることが大切です。


 

おわりに

過換気症候群は突然やってくるため、間違った対処法をした場合、命の危険があります。
もし身近な人に発作が起きた場合に、今回のポイントを参考に、正しい対処法を知っておくことは大切ですね。

 

image by Photo AC
image 
by Photo AC
image by Photo AC