初夏の陽気になったと思ったら・・・ 咳が止まらない。熱も出てきた。これって夏風邪?いいえ、もしかしたら「過敏性肺炎」かもしれません。毎年夏になるときまって風邪のような症状が出る方は要注意!何年も続くと肺が破壊され、命を脅かすこともある病気です。

 

目次

  • 過敏性肺炎の原因と、風邪との違い
  • 症状
  • 家庭での対策
  • 治療法

 

過敏性肺炎の原因と、風邪との違い

「過敏性肺炎」は「トリコスポロン」というカビを吸い込むことによって発症する、アレルギー性の肺炎です。トリコスポロンは私たちの身の回りにいる常在菌の一種で、空気中に浮遊している胞子を大量に吸い込んだり、肺の中で増殖することによって発症します。咳や発熱といった症状から風邪と間違われやすいのですが、次のことに当てはまる場合は過敏性肺炎を疑ってみましょう。

  • 夏場にエアコンを使い始めてから具合が悪くなった
  • 5月末~10月頃まで、夏風邪のような症状が出ることが多い
  • 室内で長時間過ごすことが多い
  • 風通りが悪い住居で、湿気がこもりやすい
  • 古くて湿気の多い木造家屋である
  • 洗面所や洗濯機周り、押し入れ、カーテンなどのカビが気になっている
  • 風邪薬が効かない

 

久しぶりにエアコンを使ったら嫌な臭いがする・・・、これはエアコン内でカビが増殖しているサインです。吹き出し口からの風にのって胞子が部屋中に飛散し、湿気の多い場所や空気が澱んでいる場所であっという間に増殖。室内で過ごす時間が長い人ほど発症のリスクが高まります。
気温が高くなり、湿気も多くなる季節は要注意です。病院では血液検査によるトリコスポロンの抗体測定などで確定診断します。

症状

  • しつこい咳
  • 息切れ
  • 発熱
  • 呼吸困難
     

過敏性肺炎は、アレルゲンであるトリコスポロンを吸い込んで数時間(4~7時間)後に咳などの症状が出始めることが多いようです。他の場所で過ごすなど環境を変えたり、乾燥した季節になると症状が消失しますが、夏場になるとまた発症することが多く、放っておくと重症・慢性化します。呼吸困難になったり、命が脅かされることもある病気です。

 

家庭での対策

まずは、カビが増殖しにくい環境を作ることが大切です。

★カビが増殖しやすい温度・・・5度~35度生育し、20度~30度がもっとも増殖しやすくなります。

★カビが増殖しやすい湿度・・・60%を超えると活動が活発になり、80%以上になるとあっという間に増殖します。

★カビの栄養源・・・私たちの皮膚や髪の毛、塵やほこり、植物など、あらゆる有機物がエサになります。ガラスやコンクリート、鉄なども酵素で分解して養分とします。

これらの条件をひとつでも減らしてカビが増殖しにくい環境を作ることが、過敏性肺炎の対策で重要なことです。
天気がいい日は窓を開けて、室内に湿気がこもらないようにしましょう。風が通りにくい部屋や湿気がこもりやすい場所では、扇風機を使って空気の流れを作ります。押し入れも時々開けて、湿気を逃がしてください。
エアコンはシーズン前に掃除し、シーズン中も週1回はフィルター掃除を。洗濯槽も内側の見えない部分でカビが増殖しやすいものです。洗濯のあとは蓋を開けっ放しにして湿気がこもらないようにし、定期的に専用のクリーナーなどで洗濯槽の汚れを落としましょう。

治療法

アレルギーの原因物質であるトリコスポロンを避けることが原則です。急性の場合はアレルゲンが少ない場所に移ると症状が軽減するため、数日間入院し、呼吸困難など重症化した場合はステロイド剤を内服することもあります。
一方、数年に渡ってゆっくりと進行すると慢性化し、こうなるとアレルゲンを排除しても症状が治まらなくなりますので、早期の対処が重要です。

 

おわりに

私たちにとって鬱陶しい季節が、カビにとってはまさに天国。いつもは何の害もなく身近な常在菌も、疲れやストレスなどで免疫力が下がっていると途端に悪さを始め、病気の原因になってしまいます。できるだけアレルゲンを排除した清潔な環境を心がけ、おかしいな?と思ったら放っておかないこと。咳が長く続くような場合は呼吸器内科を受診してください。

(image by photo-ac)
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