熱がなかなか下がらない…
咳が長引いている…

風邪の諸症状がなかなか治らないと思っていたら、実は肺炎だった!
知らず知らずのうちに感染している可能性があるのが、「マイコプラズマ肺炎」です。

近年、子どもだけでなく大人にも感染が広がっているマイコプラズマ肺炎。この記事では、特に冬場に向けて予防が大切な「マイコプラズマ肺炎」についてご紹介します!


 

マイコプラズマ肺炎は咳に特徴があり!

「マイコプラズマ肺炎」とは、「肺炎マイコプラズマ」という細菌に感染することが原因でおこる呼吸器感染症です。主な症状として、発熱・全身の倦怠感・頭痛・咳がみられます。症状の中でも、マイコプラズマ肺炎は「咳」に特徴があります。

⒈痰を伴わない咳
通常の風邪であれば喉の痛みと共に痰を伴う咳が出ることがありますが、マイコプラズマ肺炎の場合は「痰」を伴わない咳がほとんどです。

⒉他の症状に比べて遅れて始まり、他の症状より長引く
マイコプラズマ肺炎の咳は、他の症状に比べて遅れて始まることがあります。そして、熱が下がった後でも長期に渡って続くという特徴があります。期間にして3~4週間ほどです。

⒊夜間に集中する
咳は日中に比べて夜間に集中して出ることが多いです。



 

また、下記のような症状が出る場合もあります。

・胸痛
・嗄声(させい)…声がれ
・耳痛
・咽頭痛
・消化器症状(下痢や嘔吐など)
・皮疹
・鼻炎(幼児に多い)
 

マイコプラズマ肺炎は「飛沫感染」と「接触感染」

マイコプラズマ肺炎の感染経路は大きく分けて二つあります。

①マイコプラズマ肺炎に感染している患者さんの咳のしぶきを吸い込んだりするために生じる飛沫感染

②マイコプラズマ肺炎に感染している患者と接触することで生じる、接触感染
 

潜伏期間と症状の進行過程

通常、マイコプラズマ肺炎のウイルスの潜伏期間は2~3週間です。

初期症状
発熱、全身の倦怠感、頭痛など。

初発症状出現から3~5日後
咳の症状が出る。当初は乾いたような咳。

3~4週間後
解熱はするが解熱後も咳は続く。経過に従い、咳は徐々に強くなっている。後期には湿性の咳になっていることが多い。
 

子どもは感染に要注意!大人も油断は禁物です

マイコプラズマ肺炎は、感染者の約80%が14歳以下の子供です。
国立感染所研究所が行っている感染者調査においては、ほぼ例年、14歳以下の年齢群が約8割近い割合を締めています。



 

登園・登校時期の判断はかかりつけ医に相談しましょう!

マイコプラズマ肺炎は、学校保健安全法ではインフルエンザや風疹のように、“いかなる時も”強制的に出席停止にされる分類ではありません。

しかし、高熱が続いている間や、体調不良の時はしっかり休養をとることが大切です。また、他の子どもへの感染を防ぐために、発熱がおさまってから1〜2日ほどは休学させることが望ましいでしょう。
実際の登園・登校時期については、かかりつけ医と相談しましょう。

大人も増えているマイコプラズマ感染者!

年齢群別割合ランキングを見て、「なんだ、やっぱり子どもに多い病気なんじゃないか」と油断してはいけません。

厚生労働省が発表している「マイコプラズマ肺炎の年別・年齢群別割合表」によると、2005年頃から徐々に15歳以上の割合が増えて来ています。特に、20歳~39歳の感染者の増加が多くなっています。

確実に幅広い世代に渡って感染の広がりを見せているので、大人の方も油断せずに対策を行いましょう。

妊娠中にマイコプラズマ肺炎にかかった時は

妊娠中の方がマイコプラズマ肺炎に感染しても、胎児への悪影響はありません

しかし、妊婦中の方は飲める薬に制限があり、抗生物質を服用出来ないので自然治癒に頼るしかありません。この自然治癒にかかる期間が1ヶ月かそれ以上ともいわれているので、身体への負担が大きくなります。

症状がひどい場合は、安全で弱い抗生物質を使って治癒を促すこともありますが、臨月の場合はできる限り薬の服用は避けたいところです。

症状の程度によって対処は異なるので、自己判断は避けてしっかりかかりつけ医と相談してください。
 

「マイコプラズマ肺炎」と「肺炎」の違いは病原体

感染症の病原体となるものは、主に「ウイルス」と「細菌」の2種類あります。「ウイルス」と「細菌」の違いを表にまとめてみました。

「ウイルス」と「細菌」の最大の違いは、細胞の有無です。細胞を持ち、細胞膜があるかないかで対処法に違いが生まれます。

いわゆる「肺炎」と呼ばれる病気は「細菌」に属する「肺炎球菌」と呼ばれる細菌によって引き起こされます。一方、マイコプラズマ肺炎の原因となる「肺炎マイコプラズマ」は、実はウイルスと細菌の中間ぐらいの性質を持っています。

肺炎の治療に用いられる抗生物質には、「細胞膜を攻撃することで細菌をやっつける」という効果があります。しかしながら、最初から細胞膜を持たないウイルスには効果がありません。肺炎マイコプラズマは細胞膜を持っていないため、普通の抗生物質は効きません。しかし、細胞膜への攻撃以外のことに関しては、一部の抗生物質でも効果があらわれることが多くあります。

一般的に、肺炎に比べるとマイコプラズマ肺炎の症状は軽度であることがほとんどです。

マイコプラズマ肺炎の診断は医療機関を受診しましょう

マイコプラズマ肺炎と風邪は症状がとてもよく似ているため、自分で診断することはは困難です。風邪に似た症状が長引く場合、医療機関を受診してください。

マイコプラズマ肺炎の診断においては、遺伝子を目で確認出来るようにするPCR法」が迅速に診断できるといわれています。しかし、その一方でPCR法は実施可能な施設が限られているという側面があります。そのため、確定診断においては血清診断がなされることが多くなります。
 

マイコプラズマ肺炎に効く薬とは

マイコプラズマ肺炎の治療は、抗菌薬による化学療法が基本です。ペニシリン系やセフェム系などのβ-ラクタム剤は効果がないため、

・マクロライド系
・テトラサイクリン系
・二ューキノロン系

薬剤が用いられます。

【マクロライド系 薬剤例】
エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン など

【テトラサイクリン系 薬剤例】
ミノサイクリン、ビブラマイシン など

【二ューキノロン系 薬剤例】
クラビット、オゼックス など

マイコプラズマ肺炎の治療薬としては、「マクロライド系」の抗菌薬が一般的でした。しかし、近年「マクロライド系」薬剤に対して、肺炎マイコプラズマが抗体を持つようになったために、「テトラサイクリン系」であったり「二ューキノロン系」が処方されるケースがみられます。
しかし、これらの薬には副作用を伴う場合もあります。特に子どもの過剰な服用に関しては、骨の発達に影響を受けたり、歯が黄色くなったりなどの事例もあります。

成人、子ども、妊娠の有無、他に薬を服用しているかなど、人それぞれ状況は異なります。どれぐらいの期間なら服用しても大丈夫なのか。また、どのお薬なら大丈夫かなど、お医者さんや薬剤師さんとしっかり相談をして処方をしてもらいましょう。

感染症は予防が大事です!

マイコプラズマ肺炎に感染しないためには、予防を徹底するしかありません。

《感染症の主な予防法》
1.感染患者との濃厚な接触を避ける
2.マスクの着用
3.手洗い・うがい
4.免疫力を高める

一番大切なことは、感染患者に接触をしないことです。
菌の感染源との接触を断ってしまえば感染を避けることが出来ます。しかし「会社へ行かなくてはいけない」、「学校へ行かなくてはいけない」、「家族が感染してしまった」など、接触を避けることが難しい場合も多々あります。

そんな時は、まず、マスクで菌が体内に入るのを防ぎましょう。そして口腔内を洗浄するためにうがいをします。日々の生活の中では、いつどこから菌に接触するか分かりません。丁寧な手洗いで接触した菌に対処しましょう。免疫力を高めることも大事です。

免疫力を高めるのに効果的なのが、腸内環境を整えることです。水分・食物繊維・乳酸菌飲料やヨーグルトなどをしっかり摂ることで腸内環境が整い、免疫力アップに繋がります。

 

マイコプラズマ肺炎は冬場がピーク!

マイコプラズマ肺炎は年間を通して発生が報告されています。しかし、一年の中でも秋から上昇をはじめて12月~1月頃にピークを迎えます。
冬に、次のような理由があげられます。

冬の乾燥した空気

冬は空気が乾燥しやすくなります。空気が乾燥すると、細菌の中の水分が蒸発して比重が軽くなるため、空気中に浮遊しやすくなるのです。空気中に浮遊した細菌は口腔や鼻腔など、湿度の高い所を求め付着します。

また、湿度が低い冬は、口や鼻の粘膜の湿度も下がるため、損傷し肌荒れのような状態になります。粘膜は薄いので、その損傷した亀裂から細菌が体内に侵入しやすくなるため、感染しやすくなってしまうのです。

冬は免疫力が低下する

私たちの体内は、自然抵抗力という免疫力によって守られています。免疫力が細菌やウイルスと体の中で闘ってくれているのです!

冬は免疫力が低下しやすくなりますが、免疫力に影響を及ぼす要因に体温があります。体温が低下すると、

体温が低下
 ↓
代謝活動が低下
 ↓
リンパ球のエネルギー生産が低下
(リンパ球のエネルギーが免疫力を担っている)
 ↓
抵抗力が下がる

という負の連鎖が起こってしまい、結果的に細菌に感染しやすくなってしまうのです。

 

4年周期は昔の話。例年増え続ける感染者!

マイコプラズマ肺炎は、かつては4年周期で流行を繰り返す傾向があったために「オリンピック熱」などとも呼ばれていました。しかし、その傾向は崩れつつあり、2000年以降は患者数が増加の一途をたどっています。

2011年と2012年に連続して大流行したり、子どもだけではなく大人の感染者も増えたり、これまで考えられてきた特徴を崩す変化が見られています。
 

おわりに〜しっかり予防して冬に備えよう!

マイコプラズマ肺炎は14歳以下、つまり中学生より下の年齢層で多く感染するといわれる病気です。

学校関係者や子どもを持つ親御さんなどは、マイコプラズマ肺炎が流行る冬は特に注意をし、子どもたちに感染が広がらないように注意しましょう。
子どもに感染が広がることで、看病する大人にも感染が広がりやすくなります。子どもの感染に注意しながら、一緒になって予防をすることで健康な冬を過ごしましょう。