はじめに
バセドウ病は女性に多いことが明らかになっており、患者の男女比は男性1人に対し女性は4人ほどとなっています。
また、発病年齢は、20歳代から30歳代がバセドウ病患者全体の過半数をしめています。
この記事では、パセドウ病の症状や原因、治療法について解説します。
バセドウ病とは
バセドウ病は、甲状腺ホルモンが過剰につくられる病気「甲状腺機能亢進症」の原因となることが多い症状です。
甲状腺とは身体全体の新陳代謝を促すホルモン(甲状腺ホルモン)を出す役目をもったものです。
その活動がなんらかの理由で過剰になってしまうことで、甲状腺機能亢進症として甲状腺ホルモンが過剰に生産され、新陳代謝が異常に上昇する疾患で、バセドウ病もその一部とされています。
この甲状腺の病気は、1000人中2~6人いるといわれています。
パセドウ病の症状
バセドウ病の症状としては、以下の3つの症状が代表的なものとしてあります。
ただし、パセドウ病の症状には個人差があり、自覚症状のない人もいれば、症状が重く寝込んでしまうほどの人もいます。
甲状腺ホルモンの過剰分泌
甲状腺ホルモンの過剰分泌によって起こる症状は外見には現れにくいものの新陳代謝が異常に活発になり常にエネルギーを消費してしまいます。
それによって疲れやすくなったり、脈拍が速くなったり、動悸・手足や体が震える・息切れ・多汗・筋肉の衰えなどがあります。
甲状腺腫
甲状腺が腫れてしまう症状です。
バセドウ病の場合は、甲状腺全体が腫れる「びまん性甲状腺腫」という症状がでます。
眼球突出
甲状腺ホルモンが過剰になることで、眼球突出という症状が出ることがあります。
ただ、バセドウ病は眼球が出る・大きくなる病気と思われがちですが、眼球突出は実際にはそれほど多い症状ではありません。発病前と比べると、はっきりとわかるほど眼が出てくる人は10人に2人ほどとされています。
眼球が突出しなくても、上のまぶたがはれたり、まぶたが上に引っ張られるため目が大きくなったように見えることもあります。
パセドウ病の合併症
パセドウ病を放置すると、次のような重大な合併症を引き起こすことがあります。
心臓疾患
甲状腺ホルモンの過剰な分泌により、心臓の働きが過剰になり疲弊する結果、不整脈や心不全を引き起こします。
とくに、高齢者は注意が必要です。
甲状腺クリーゼ
甲状腺クリーゼは、急性型の甲状腺機能亢進で、心拍や血圧、体温が命に関わる数値まで上昇します。
1分間に140を超える頻脈や心房細動、高熱、異常な発汗、下痢、意識混濁や意識消失といった状態に陥ります。
甲状腺中毒性周期性四肢麻痺
起床時や激しい運動の後に、手足、ときに足が動かなくなる症状です。この症状は、数時間で自然に治りますが、繰り返し起こります。
甲状腺ホルモン濃度を正常にすることで、発生しなくなります。
男性に多く見られる症状です。
その他の合併症
高血糖や脛の一部が腫れて黒くなる前頚骨粘液水腫などがあります。
治療方法
バセドウ病の治療方法は、「内服薬治療(抗甲状腺薬、場合によりヨウ素剤)」、「放射性ヨウ素治療(アイソープ)」、「手術」の3つがよく行われます。
それぞれの治療法には長所と短所があり、特徴や甲状腺の腫れ方、生活や要望、年齢などを考えて治療法を選択することになります。
いずれも医療機関での実施が必要ですので病院で相談しましょう。
内服薬治療
甲状腺ホルモンの合成を抑える薬を服用する治療方法です。
適切な量の薬を服用する事で血液中の甲状腺ホルモンの濃度が正常になりますが、病気の症状によって適切な服用量が変わってくるので、定期的な甲状腺ホルモンの測定が治療の要となります。
副作用として、かゆみや皮疹、肝機能異常などの症状が出る場合があり、症状が重い場合は薬の服用を中止する必要があります。
放射性ヨウ素治療
放射性ヨウ素を服用して、甲状腺の細胞の数を減らしホルモンの分泌量を抑える治療法です。
手術のように傷が残る事がなく、内服薬治療のよりも治りが早い可能性があるのがこの治療法のメリットですが、治療によって細胞が減りすぎてしまい、甲状腺の機能低下を引き起こす可能性があります。
手術療法
過剰にホルモンを分泌している甲状腺を手術で切除する事によってホルモン量を減らす治療法です。
他のどの治療法よりも早期に効果が出る可能性が高く、薬の服用が必要無い治療法ではありますが、手術の傷跡が残ってしまう点と、人によって必要な甲状腺量が違うため調整が難しく、術後に甲状腺機能低下症になってしまう可能性があります。
さいごに
「バセドウ病」は治らない病気ではありません。良い薬などがあるため、とても治療が楽な病気でもあります。
すぐに治るわけではありませんが少しずつ時間をかけて、付き合っていくことで良い状態にもっていくことができます。
まだ原因は明確に分かっていませんが、喫煙者はバセドウ病眼症の発症率が高くなるとも言われています。
ストレス等も関わっているので、ストレスの発散や規則正しい食生活、生活リズムを心がけましょう。また、少しでも異変を感じたら医師に相談することをおすすめします。