はじめに

「喘息(ぜんそく)」というと子供の病気とイメージする人が多いかと思いますが、実は近年大人の喘息患者が急増しています。

その原因のひとつが、喘息の前段階といわれる「咳喘息(ぜんそく)」です。

風邪が治ったと思ったら咳が止まらなくなってしまい、いつまでたっても治らない、横になるとせきが止まらなくて眠れない!なんて症状がある人は咳喘息かもしれません。

咳喘息は放置をしていると本格的な喘息に悪化してしまう可能性が非常に高い病気です。

症状の悪化を食い止めるために、咳喘息の正しい対処法を知っておきましょう。

咳はなぜ出る?

そもそもなぜ咳はおこるのでしょうか。

人間は息を吸い込むと、その空気が口に入り気管を通って肺へ入ります。肺は全身に空気を供給するとても大切な役割を担っているため、肺が機能不全に陥れば全身が酸素不足になってしまいます。

肺はこの様なとても重要な役割を担っているので、外からの異物を排除する為に気管の内壁の神経が敏感に異物を感知し、体外へ排除してくれます。

この異物を排除するための現象が「咳」というわけです。

咳喘息の原因

咳喘息は風邪をひいた後に引き起こされることが多いとされています。

風邪の症状の多くは、咽頭といわれる喉の奥の部分で炎症が起こります。風邪をひくと喉が痛くなるのはこれが原因です。

この咽頭の炎症が進行して、気管支にまで及ぶと咳喘息が発症します。

炎症によって腫れた気管支の内壁はとても敏感になってしまい、体外へ排出しなくてもいいような刺激のないものにまで反応して激しい咳が出ます。

これが咳喘息で咳が止まらない原因です。

風邪以外の原因

また、風邪以外にも、冷たい空気に触れたり、湿度が変化することで咳が誘発されます。前述の通り、原因が気道の炎症のため、タバコの煙やホコリ、刺激のある辛いもの、熱いものなど咳を誘発するもととなることもあります。また、会話、運動、飲酒、ストレス、ハウスダストなども発作の引き金になるといわれています。

春や秋など特定の季節に症状がひどくなる場合やアレルギーの関与も少なくありません。

咳喘息の症状

咳喘息の症状の特徴は、とにかく咳が止まらない事です。3週間以上、ひどいときには2か月以上続きます。

また、喘息のようなゼーセー、ヒューヒューといった呼吸音や呼吸困難の症状はなく、発熱や痰なども殆ど出ません。夜間から明け方に特に症状がひどくなることが多いのが特徴です。

病気の発症として、軽い咳から始まって次第に悪化する人もいれば、突然のひどい咳にみまわれる人もいます。咳が長期にわたると筋肉痛が起きてしまい、胸部痛を生じたり、睡眠が確保できなくなることもあります。

咳喘息を放置すると本格的な喘息に悪化します!

咳喘息を放置する約30%の人は本格的な喘息へ悪化する可能性がある、といわれています。

咳喘息は進行すると気管支の内壁がさらに腫れてしまい、息の通り道が細くなって呼吸困難などの本格的な気管支ぜんそくの症状が出ます。

気管支喘息は完治する可能性はわずか数%といわれており、特に65歳以上は重症化しやすく、年間約2000人の死亡者が出ています。

咳喘息を発症しても専門医の治療を受ければ症状は治まりますので、早めに病院を受診することが大切です。

咳喘息の検査について

風邪症状では、内科を受診しますが、咳止めの効かない空咳が続くときは、アレルギー科や呼吸器科を受診しましょう。咳喘息の検査では、痰の状態を調べます。

また次のような診断基準にあてはまる方は、咳喘息の疑いがあります。
・風邪のあと発熱がおさまったにも関わらず、咳だけがいつまでも残る
・痰を伴わない空咳が続いている
・呼吸困難や喘鳴がない
・通常の咳止め薬が効かない
・気管支喘息の治療に使われる気管支拡張薬の吸入で症状が楽になる

咳喘息の治療法

咳喘息は気管支喘息への悪化を阻止するために、正しい治療を早期におこなう事が重要です。

咳喘息は、気管支喘息と同じく気道が過敏な状態が続いていることから、通常の咳止めや風邪薬は効きません。治療は気管支喘息と同じで、気管支拡張薬や吸入ステロイドが基本になります。

気管支拡張薬

気管支を拡張させて、空気の通り道を広げることによって症状を緩和する治療薬です。

◼︎β₂刺激薬(短時間作用性・長時間作用性)

短時間作用性β₂刺激薬は発作時の症状改善に有用で呼吸が苦しくなり始めの時の吸入に効果があります。発作が重くなると薬剤が気道に到達できなくなり、効果が少なくなります。発作治療薬を吸入して1時間以内に悪化する場合や改善しない場合は、医療機関へ相談しましょう。

長時間作用性β₂刺激薬は、長期管理のコントローラーとして用いられます。抗炎症効果はないので、抗炎症効果のあるステロイド薬と併用して使います。

◼︎テオフィリン

気管支拡張作用と炎症を抑える作用を併せ持った薬です。気管支拡張作用は、長時間作用性β2刺激薬より弱いかわりに、作用時間が長くなります。

吸入ステロイド薬

喘息の治療薬というとパイプのようなものを口にくわえて、薬を吸入するイメージが大きいかと思いますが、それがまさにこの薬です。

持続的に咳が出る場合や、気管支拡張薬での効果が得られなかった時に用いられます。

経口ステロイド薬

吸入ステロイド薬にアレルギー症状が出てしまう場合や、症状が急激に悪化した場合に用いられます。

副作用としてほほに皮下脂肪が沈着し、顔が満月の様に丸くなってしまう満月様顔貌や副じん機能不全を引き起こす可能性があります。

さいごに

咳喘息は正しい治療をおこなえば数週間から数か月、遅くても1年以内には症状が改善する可能性が高くなっています。

本格的な喘息症状が出てしまう前に、疑わしい症状が出たらすぐに医師の診断を受けましょう。