咽喉結膜熱(プール熱)の原因・症状・対処法

咽頭結膜熱は、夏にはやる子どもの病気です。原因から対処法、保育園などを休む期間、大人も含めた家族への二次感染への注意を解説します。

毎年全国的に流行!夏に気をつけたい感染症

咽頭結膜熱という病名にはピンとこなくても、「プール熱」といわれれば聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

咽頭結膜熱は、プール熱とも呼ばれる通り、プールの水で感染する子供に多い感染症です。毎年夏季に全国的に流行し、保育園などでの集団感染もみられます。ウイルスに感染していても症状のでない人もいるため、感染予防は簡単ではありません。

この記事では、咽頭結膜熱の主な症状・対処法・感染経路・予防法などを詳しく解説します。

咽頭結膜熱とは?

咽頭結膜熱の原因となるのは「アデノウイルス」です。人間の体内では、扁桃腺やリンパ節に潜んで増殖します。
咽頭結膜熱は、アデノウイルスが引き起こす病気のなかでも一番多くみられ、主に「アデノウイルス3型」に感染することによる急性ウイルス性感染症です。

アデノウイルスの血清型は多く、その数は約50種類以上にもおよぶほど。3型以外にも、1・2・5・6・7・11などの他の型でも引き起こされる場合もあります。特に7型は、1995年以降に流行するようになった新しい型で、長引く熱で重症化することもあります。乳幼児・高齢者・免疫機能や心肺機能が下がっている人には注意が必要です。

5歳以下の子どもがかかりやすい

アデノウイルスへの感染は、免疫をもっていない子どもに多くみられます。しかし、アデノウイルスの種類は多いため、一度感染しても免疫がつきにくく、繰り返し感染を起こす場合もあります。
感染症を発症した人の約6割は5歳以下の子どもですが、免疫をもっていない大人にも感染する危険性があります。看病をする大人も十分に気をつけなければいけません。

流行のピークは7〜8月

咽頭結膜熱は主に夏に流行します。6月頃から増え始め、7〜8月がピークとなり、10月頃まで続きます。
しかし、アデノウイルス自体は、年間を通じて存在しています。2003年頃からは、冬期にも患者数が増加する傾向がみられるようになっています。

咽頭結膜熱の症状

咽頭結膜熱には、主に以下の症状がみられます。

・発熱
・喉の腫れや痛み(咽頭炎)
・結膜炎

必ずしもこれらの3つの症状すべてがでるわけではありません。また、その他にも、頭痛、腹痛、下痢、咳などを伴う場合もあります。

潜伏期間はどのくらい?

潜伏期間は、5〜7日程度とされています。

症状の経過

最初は39〜40℃の高熱で発症し、その後、喉の痛みや結膜炎の症状があらわれます。熱は3〜7日、喉の激しい痛みも3〜5日目程続きます。

結膜炎では、目が真っ赤に充血します。その他にも、痛み、かゆみ、目やに、眩しくて目が開けられない、涙がでる、などの症状がみられます。片方の目に発症した後、もう一方の目にも広がることが多いでしょう。通常であれば、目に障害がのこってしまう、という心配はありません。

回復の見込みはよいとされている病気ですが、重症時には、肺炎などを起こしてしまう可能性もあります。ひどい咳や嘔吐がある、ぐったりしている、けいれんが起こった、などの場合は、すぐに医療期間を受診しましょう。

感染経路

感染力の強いアデノウイルスは、感染経路もさまざま。口や鼻の粘膜、目の結膜などからウイルスが体内へ侵入することで感染します。

◼︎飛沫感染
感染者の咳やくしゃみのしぶきによって、ウイルスは空気中に放出されます。このウイルスを吸い込むことによる感染です。

◼︎接触感染
接触感染には、直接接触と間接接触のふたつの種類があります。
直接接触では感染者の手や皮膚などに直接触れることで感染します。間接接触では、使用したタオルや、よく手で触れる物にウイルスが付着して、体内に入ることにより感染します。

◼︎経口感染
ウイルスは、嘔吐物や便の中にも含まれます。トイレの後にウイルスが手につき、口へと運ばれることにより感染がおこります。

◼︎結膜への直接的な感染
ウイルスで汚染されているプールの水が、結膜へ直接侵入することにより感染します。

咽頭結膜熱の保育園の出席停止期間は?

咽頭結膜熱は学校保健安全法で出席停止期間が定められている感染症です。

症状が治まってからさらに2日間

症状がなくなった後、さらに2日間は登園してはいけません。通院以外の外出もなるべく避けましょう。登園のタイミングは主治医とよく相談して決めてください。また、登園後もプールに入るのはしばらく控えるのがよいでしょう。

小中高の出席停止期間について

小・中・高校生の場合も、症状が治まってから2日間は出席停止です。咽頭結膜熱は学校保健安全法で第二種学校感染症とされており、その登校基準も定められています。

大人は出勤してもいい?

大人は、仕事を休まなければいけない、という義務はありません。ただし、アデノウイルスは非常に強い感染力を持ちます。他の人にうつさないよう、マスクをするなどの配慮が必要です。
しかし、高熱などの症状は大人でもつらいもの。なるべく無理をしないようにしましょう。

咽頭結膜熱の対処法

予防接種・特効薬はない

残念ながら、ワクチンによる予防接種はありません。また、現在のところアデノウイルスに有効な特効薬はありません。

何科を受診すればいい?検査方法は?

◼︎受診科

咽頭結膜熱かも?と思ったら、小児科や内科を受診しましょう。結膜炎の症状がひどい場合は、眼科の受診も検討してみてください。

◼︎検査方法

綿棒で採取した喉や鼻のぬぐい液や、目やに、便などを検査することにより、アデノウイルスへの感染を診断します。その場で検出することが可能です。

主な対処方法

咽頭結膜熱は、それぞれの症状にあわせた「対症療法」が唯一の対処法です。熱や喉の痛みなどに対し、症状の緩和を目指した治療を行います。ひどい結膜炎症状には、眼科での治療が必要になります。
通常は、栄養と休養を十分に取り自然治癒を待ちます。

◼︎脱水症状に注意

自宅では、水分補給を心がけましょう。高熱時には脱水症状に注意が必要です。

◼︎食べやすいもので栄養補給を

喉の痛みがあったり、食欲がない時は、柔らかいもの(ヨーグルト・プリン・ゼリーなど)や薄味で刺激の少ないものが食べやすいでしょう。

咽頭結膜熱の予防法

多くの感染経路があるために、その予防もさまざまな方法で行わなくてはいけません。普段からの感染予防はもちろんのこと、家族に感染者が出てしまった場合には、二次感染にも注意が必要です。

日常での予防法

手洗いや手指の消毒、うがいを徹底しましょう。
また、感染経路になりうるプール前後には、しっかりとシャワーを浴び、入った後は目を洗ってうがいを忘れずにしましょう。

家族やまわりに感染者が出た場合

◼︎感染者との至近距離での接触を極力さける
◼︎まめに手洗いや手指の消毒、うがいをする
◼︎子どもがトイレに行った後は、手洗いや手指の消毒をさせる
◼︎赤ちゃんのおむつを替えた後は、手洗いや手指の消毒をする
◼︎タオルや衣類を共用しない
◼︎感染者の目に直接触らない
◼︎感染者の目やに・涙を拭くときは、ティッシュや綿棒を使用する
◼︎おもちゃ・ドアノブ・手すりなどを消毒する(消毒用エタノール、または次亜塩素酸ナトリウム0.02%が有効)

症状が治まった後も感染する可能性があります

症状が治まったからといって、アデノウイルスがすべて消滅したわけではありません。その後も、咽頭からは7〜14日、便からは30日ほどの間、ウイルスが排出さています。症状が良くなったからといって安心せず、引き続き慎重に対処しましょう。

おわりに

プール熱といわれると、プールに入ると必ず感染の危険性があるように感じる方もいるかもしれません。しかし現在は、残留塩素濃度の基準を満たしているプールの水での感染はほぼありません。
しかし、子どもにとってはとても苦しい病気です。日ごろから、感染の可能性を頭にとどめておき、予防を心がけましょう。
いざ発症した時のために主な症状や対処法を把握しておくと安心ですね。

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