はじめに

毎年12月から1月にかけて、餅を喉に詰まらせることによる窒息事故が増加します。

窒息の原因食品は1位が餅、2位が米飯、3位がパンとなっています。

年間数えるほどしか餅を食べる機会はないという人がほとんどだと思いますが、毎日のように主食として食べられる米飯やパンを抑えて1位となっていることからも、餅の窒息リスクの高さがうかがえます。

なお、餅による窒息死の90%以上が高齢者です。

とくに年始は、餅料理を食べる機会が増えるため、注意が必要です。

餅などの食品が喉につかえたことによる窒息事故に遭遇したときのため、覚えておきたい救助法を紹介します。

高齢者には「ハイムリッヒ法」(腹部突き上げ法)

ご両親やおじいさん、おばあさんが万一餅をのどに詰まらせてしまった時のために覚えておきたい救助法「ハイムリッヒ法(Heimlich Manoeuvre)」は、「腹部突き上げ法」とも呼ばれる、気道に物を詰まらせた際の応急措置方法です。

1974年にアメリカ人の医師Henry Heimlich博士が考案した救助法で、以来アメリカでは10万人以上の窒息者の命を救ったとも言われています。

1歳未満の乳児や妊娠中の女性には推奨されないので注意してください。

まず、気道に異物をつまらせ苦しんでいる人に遭遇した際は、救急車を呼ぶ前に窒息した人の救助を優先してください。

要救助者が激しくせき込んでいる場合、そのまませきを続けさせると異物が出てくる場合が多いですが、異物が出ずにせきが止まった時や、のどが詰まって最初からせきができない場合に、ハイムリッヒ法を行いましょう。

ハイムリッヒ法のやり方

1. 要救助者を後ろから抱えるように腕を回す。

2. 片手で握りこぶしを作り、その親指側を横隔膜の下(胸骨とへその中間)に当てる。

3. もう一方の手をその上に重ね、すばやく持ち上げるように圧迫する(要救助者の足が地面から浮くくらいの力と勢いで持ち上げます)。

4. 素早く5回持ち上げ一呼吸、のパターンで、異物を吐き出すまで繰り返す。

※意識がなくなった場合は、すぐにハイムリッヒ法を中止し、気道を確保して人工呼吸を行ってください。

乳児や妊婦には「背部叩打法」(はいぶこうだほう)

乳児や、妊娠中でお腹の大きな女性にはハイムリッヒ法は行いません。背中を叩く「背部叩打法」(はいぶこうだほう)により救助してください。

成人でも救助者との体格差によりハイムリッヒ法が行えない場合、要救助者が立ち上がれない場合などは、背部叩打法で対応することになります。

その場合、要救助者を横向きに寝かせ、そのお腹側にひざまずいて、肩甲骨の間を手の付け根で叩きます。

要救助者が立てる場合、立ったままの背部叩打法をハイムリッヒ法と交互に5回ずつ繰り返すことも有効です。

乳児の場合

1. 乳児をうつ伏せにして、頭部を胴体より低い位置にし、胸部を救助者の手で支えます。

2. 手の付け根で乳児の背中の肩甲骨の間を叩きます。

おわりに

窒息のリスクがあるとわかっていながらも、お正月には餅を食べないと新年が始まらないという高齢者が多いのか、毎年死亡事故が発生しています。

餅などによって窒息した際、救助者が近くにいないことが何よりも致命的になる場合があります。

食品による窒息を防ぐためには、ものをよく噛んでゆっくり食べる習慣をつけるとともに、餅などの窒息リスクの高い食品は、高齢者や小児が一人で食べることのないよう注意しましょう。