性病が原因で口内炎が出来る?!
ほとんどの人が一度は経験したことのある口内炎。物を食べるときなどさまざまな場面で痛みをともない生活に支障をきたします。
通常の口内炎の多くはアフタ性口内炎と呼ばれるものであり細菌感染や食生活の乱れ、ストレスなどによって発症します。
しかし性病への感染が原因で口内炎ができることもあるのです。
性病というと性器の周りに症状が出るというイメージがありますが、症状が口腔内にあらわれることも珍しくありません。また、オーラルセックスで性器から口腔内へと菌やウイルスがうつることもあります。
この記事では性病と口内炎の関係について解説します。性病によって起こる口内炎を知り、早期発見につなげましょう。
ヘルペス
口の中にヘルペスウイルスが入り込むことで口内炎が起こります。ヘルペスウイルスが性器の周りで繁殖した場合は性器ヘルペスと呼ばれます。
性器ヘルペスを発症している人の性器から口へと感染し、さらに口から他人の性器へとウイルスが移動することで感染が広がります。
また、唇周辺に水疱が出来る口唇ヘルペスを発症している人から感染する場合もあります。
ヘルペス性口内炎について詳しくは関連記事をごらんください。
症状
口内炎のほか、粘膜がえぐれるような潰瘍ができることがあります。また喉に強い痛みが起こることもあり、首にリンパ節が腫れたり発熱や倦怠感などの全身症状があらわれることがあります。
さらに喉や歯茎、舌などに水ぶくれがあらわれることも特徴のひとつです。
治療方法
自然に症状が治まることもありますが、症状が治まってもウイルスは体に住み着いて完全にいなくなることはないため再発する危険性があります。抗ヘルペスウイルス薬を使用することで症状を抑えることができるため、早めに医療機関を受診しましょう。
梅毒
梅毒トレポネーマという細菌に感染することで発症します。感染してからの期間が長くなると症状が変化し、どんどん重くなります。口内に梅毒による病変がある場合にはキスでも感染するため注意が必要です。
また、梅毒に感染しているとHIV(エイズウィルス)などに感染する危険性も高まります。
症状
口内の粘膜に小さなしこりが出来ることがあります。しこりは軟骨のように硬く、痛みがないことも多いです。唇や舌、喉の奥にも多くあらわれます。
そのまま放置しておくと喉の痛みや口角炎(口の端の痛みやただれ)のほか、発熱や倦怠感などの全身症状があらわれます。
しかし、梅毒に感染しても症状のない無症候性梅毒という状態の可能性もあります。症状がない場合でも早めに検査を受けるようにしましょう。
治療方法
抗菌薬を使用することで治療できます。自然に治ることはないため、医療機関を受診してください。梅毒は放置しておくと心臓や神経に症状をあらわすことがあるため、早めの受診が重要です。
淋病
淋菌と呼ばれる菌に感染することで症状が起こります。淋菌は性器の周りに繁殖することが多く、咽頭部など口内でも繁殖することもあります。
症状
咽頭炎や扁桃炎など喉の奥の腫れが起こり強い痛みが起こります。喉の奥が赤く腫れ、腫れている部分には白っぽい膜ができることもあります。酷くなると口が開きにくいほどの喉の痛みが起こるようになります。
治療方法
抗菌薬を使用することで治療できます。しかし、細菌は抗菌薬に耐性を持った淋菌も増えているため、病院で正確な診断を行った上で適切な抗菌薬を使用する必要があります。
自然に治ることはほぼないため、淋菌の感染が疑われる場合にはすみやかに医療機関を受診しましょう。
クラミジア
クラミジア・トラコマティスという細菌に感染することで発症します。
症状
口腔内に感染した場合自覚症状があらわれにくいことが特徴です。そのため感染に気がつかない人が多く感染が広がってしまいます。
症状があらわれたときには重症化していることも多いため、クラミジアに感染した疑いがある場合には早めに検査を受けることが大切です。
治療方法
抗菌剤を使用することで治療できます。使用できる抗菌剤にもいくつか種類があるため、病院で正確な検査を受けて適した抗菌剤を選択することが重要です。
放置しておくと重症化してしまうため早めに医療機関を受診しましょう。
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染すると体の免疫力が低下しさまざまな感染症にかかりやすくなってしまいます。
HIVに感染すると、最初の数週間に発熱などのインフルエンザのような症状があらわれますが、その後数年間は自覚できる症状があらわれません。しかし症状がない間にも免疫力は落ちていき、ある程度まで免疫力が落ちると合併症を発症します。
免疫力がある一定数を下回り合併症を発症した状態がエイズ(AIDS:Acquired Immuno-Deficiency Syndrome=後天性免疫不全症候群)と呼ばれます。
症状
口の中に口内炎やできものがあらわれることがあります。また、初期症状として口の中に白っぽい病変があらわれることもあります。
HIVに感染すると免疫力が落ちるため、さまざまな菌やウイルスに感染しやすくなり口内炎ができやすくなります。頻繁に口内炎ができ治りも遅いという場合は一度HIVの検査を受けるようにしましょう。
治療方法
抗HIV薬と呼ばれる薬を使用することでウイルスの増殖を抑えてエイズの発症を防ぐことができます。エイズの発症を防げば長期間に渡って日常生活を送ることができます。
エイズの発症を抑えるためには早期治療が必要です。そのため不特定の人と性行為を行った場合にはHIV検査を受けることが大切です。
おわりに
性行為によって細菌やウイルスに感染し口内炎ができている場合もあります。放置しておくと症状が悪化するだけでなく感染を広げてしまうことにもなるため、早めに検査を受けて治療を行いましょう。
また性感染症の疑いがある場合は性行為を避けることや、性行為の際には粘膜が直接触れないよう避妊具を使うことなども大切です。
口内炎が痛んだりしみたりして、日常生活に支障が出る場合は、市販薬も組み合わせて治療しましょう。