はじめに

メールやLINE、SNSやゲームなどで気づけば毎日何時間もスマホをいじっているという人は、手首や親指の関節のあたりに違和感を感じた経験があるのではないでしょうか。

その違和感、放っておくと腱鞘炎の一種である「ドケルバン病」に発展してしまうかもしれません。

スマホの使い方の改善やストレッチで予防しましょう。

ドケルバン病とは?

ドケルバン病は、短母指伸筋と長母指外転筋という筋肉を骨とつないでいる腱やその腱をおさめているさや(腱鞘)が炎症を起こすもので、同じ動作を繰り返すことにより起きる反復性疲労障害です。

短母指伸筋と長母指外転筋は、親指を手のひらと同じ平面内で動かすときに使われる筋肉で、前腕の外側(手の甲側)を通っています。

その腱は滑液鞘という、液の入ったチューブに収まって手首を通り、腕の筋肉と親指の骨をつなぎます。このチューブが通る部分の手首のトンネル(手根管)の内側はつるつるした膜で覆われています。

親指の反復動作により腱や滑液鞘が炎症をおこし腫れると、それによりこすられる手根管の内側の膜も炎症を起こすという連鎖反応を起こします。

この短母指伸筋の腱と長母指外転筋の腱、それらの腱を収めたチューブ(滑液鞘)、チューブの通る手首のトンネルの炎症の組み合わせをドケルバン病と呼びます。

ドケルバン病の症状

主な症状は、手首の親指側の腫れや痛みです。手首を回す・曲げる、握りこぶしを作る、物を握るなどすると、痛みが走ります。

加えて、握力の低下などが挙げられ、放置すると低下した握力が戻らなくなり、親指の可動域が減り、常に痛む状態が続くこともあります。

ドケルバン病の原因

スマホの使用以外にも各種携帯ゲーム機器やコントローラーを使ったゲーム、マウス操作、ボーリングやゴルフ、釣り、ピアノ演奏、編み物などもドケルバン病の原因になります。

ドケルバン病は男性より女性に多く、特に妊娠中や出産後、更年期に発症しやすいことが知られています。

ドケルバン病を予防するには

ドケルバン病の予防には、スマホを使い過ぎないことが一番ですが、使う際には数分おきに手を休め、右手と左手を交互に使う、両手で持って両親指で操作するスタイルや片手で持ってもう一方の人差指で操作するスタイルも織り交ぜるなどしましょう。

また、こまめに水分補給を心がけること、しっかり食事や睡眠をとること、適正体重を保つこともドケルバン病に限らず腱鞘炎や関節炎予防に効果的です。

以下のストレッチも取り入れてみるとよいでしょう。

・心臓より低い位置で一方の親指をもう片方の手で握り、手のひらから離すように引っ張り、10~15秒後に離します。左右3回×1日2セット。

・ゆるくこぶしを握り、手首の親指側を通る腱を伸ばすように手首を曲げ、10~15秒間ストレッチ。3回×1日2セット。

・親指と手のひらの間をもみほぐすようにマッサージ。

スマホ以外でも長時間同じ姿勢をとる作業の際は、定期的に休憩をし、肩を回す、伸びをするなどして、腕や手への血行を良くしましょう。

ドケルバン病の治療について

ひどい痛みを感じたら整形外科を受診することが一番です。

手首の痛みは変形性関節症や異常感覚性手有痛症などの場合もあります。

病院では、炎症と痛みの程度に応じてコルチゾン注射やステロイド剤が処方されたり、場合によっては滑液鞘を広げる日帰り手術を行うこともあります。

病院へ行くまでの応急処置

すぐに病院へ行けない場合の応急処置には次のようなものがあります。

・とにかく手首と親指を動かさな

・痛む部分を冷やす(アイスパックの場合は15分間冷やし15分間はずすパターンを繰り返す)

・市販のイブプロフェン、アスピリンなどのNSAIDs(非ステロイド系消炎剤)を飲む

おわりに

ドケルバン病になってしまうと、原因となった反復動作(スマホ、ゲームなど)を止めない限り治療効果はありません。

また、「くせ」になりやすく、治療後にまた元のようにスマホやゲームを使う生活に戻ると再発してしまうことも多いです。

スマホやゲームの使い方を見直し、原因から取り除くことが重要です。