痛風とは、足の親指の付け根などの関節が赤く腫れて激しい痛みを伴う病気です。

痛風患者数は、日本で年間約 60万~ 70万人であり、その中でも中年以降の男性が多いです。
痛風の前段階である高尿酸血症、いわば痛風予備軍の人は、日本で年間約 600万〜650万人にのぼると推定されています。特に、男性の病気ともいわれており、発症者の98%は男性です。

痛風は、戦後の食生活の欧米化により患者数が増加し、今では生活習慣病の代表的な疾患として広く認知されています。

痛風の原因は、体内でほぼ同量に保たれている尿酸量が増えてしまうことにあります。
尿酸値が7.0mg/dlを超えると高尿酸血症で、8.5mg/dlを常に超える状態になると、いつ痛風発作が起きてもおかしくありません。

そのため、尿酸値をさげるよう食事を工夫したり、ストレスをためないようにしたり、運動をするなどといった対策をとる必要があります。

痛風の原因

痛風の原因は、尿酸というプリン体の最終代謝産物の、関節の中への蓄積です。

プリン体は、肉や魚卵などに多く含まれており、体内で変化して尿酸となり、通常は腎臓から尿へと排泄されます。

しかし、プリン体の代謝に異常が起こると、血液中の尿酸が飽和濃度を超え、体内で過剰になった尿酸が、尿酸塩結晶(痛風結節として体に現れる)となり、関節の中などに蓄積します。

これを白血球が集まって破壊することで、激しい炎症が引き起こされ、痛風の症状である猛烈な痛みや炎症となります。
痛風を引き起こす尿酸の結晶は、関節だけでなく、腎臓や尿路にも蓄積するため、同じ仕組みでさまざまな障害を引き起こすことになります。

血液中の尿酸の濃度を尿酸値といいます。尿酸値が異常に高くなり 7.0mg/dlを超えると、高尿酸血症と呼ばれます。この状態が数年以上続くと、痛風発作を起こす確率が高くなります。

痛風が圧倒的に男性に多いのは、女性の場合は女性ホルモンの働きにより、尿酸が体外へ排泄されやすくなっているためです。
ただし、女性でも閉経後になるとホルモンバランスが変わり、男性と同様に痛風発作を起こす可能性が高まりますし、生活習慣により、更年期以前の女性の痛風もこれから増えてくると考えられます。

また、近年、高尿酸血症に関わる遺伝子が日本など各国で発見され、注目されています。
 

痛風の症状

足の親指の付け根が赤く腫れて、突然激しい痛みが起こります。この痛みは骨折以上といわれ、非常に苦痛を伴います。

これは、急性の関節炎で、痛風発作と呼ばれます。起こりやすい場所は、膝、足首、足の指、足の甲、手の指、手首などの関節で、多くの場合、夜から明け方にかけて起こります。

病気が進行してくると、身体じゅうの多くの関節が同時に腫れて痛むようになり、その周囲には痛風結節とよばれるこぶがみられ、関節は変形してしまい、正常に働かなくなります。

さらに痛風が進行して慢性化すると、腎臓障害などを引き起こす恐れがあります。患者の98%は男性で、特に30〜40歳代以降に多く発症しますが、近年は発症年齢の若年化が進んでおり、20歳代で痛風にかかる人も増えてきました。
 

痛風発作とは?

個人差もありますが、数日の間歩くことも、足をつくことさえもできないほど猛烈に痛みます。なお、発症の少し前から、違和感や軽い疼痛(ずきずき痛む症状)などの前兆を感じることもあります。

通常、数時間以内に患部は赤く腫れ上がり、押さえたときにはもちろん、風が吹いただけでも痛み、発作が起きてから24時間内にピークに達します。

症状は 1〜 2週間のうちに何事もなかったかのように治まりますが、高尿酸血症が治っていないと、1年ほどしたら同じような発作が再発します。

これを繰り返しているうちに、発作の間隔はしだいに短くなり、足首や膝の関節などに炎症が広がっていきます。
 

痛風の合併症

痛風を放置すると、動脈硬化が進行したり、腎不全や尿路結石症を引き起こしたりすることがあります。
また、痛風結節が耳や肘、足などにできることがあります。

痛風は生活習慣病と原因が非常によく似ているので、痛風の人は、肥満や高血圧、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)を伴うことも少なくありません。
メタボリックシンドロームには注意が必要です。
 

痛風の検査方法

検査には大きく以下の三種類があります。

  1. 血液検査
  2. 関節のX線検査
  3. 問診による診断

血液検査

血液検査で尿酸値を調べます。また、血沈、白血球数、CRP(急性炎症反応物質)なども炎症の程度の指標になります。
 

関節のX線検査

関節のX線写真も撮影します。
進行して慢性化した痛風では、骨の破壊像が観察されますが、はじめのうちは、軟部組織の腫れがみられるだけで、骨の変化はみられません。
しかしながら、同じ関節の病変でも、変形性関節症や関節リウマチでは、特有な骨の変化を示しますので、X線写真は痛風診断の参考になります。
 

問診による診断

実は臨床検査よりも患者さんの性別、年齢、関節炎の部位、発作の経過などを知ることの方が重要です。痛風発作には3つの大きな特徴があります。

  1. 患者は中年男性に圧倒的に多い。
  2. 1回の痛風発作は、1つの関節に限られます。
    発作がおきやすい部位は足の場合が多く、特に足の親指の付け根が大部分です。
  3. 発作は、ゴルフや長距離歩行など足を酷使した後に起こりやすく、また、同時に肉類の過剰摂取や過度の飲酒をした夜間や翌朝に起こることが多い
     

ほかの病気との鑑別(区別)

関節リウマチは女性に多く、両手の指を対称的におかす特徴があります(痛風は一カ所)。
女性で足の親指が痛むのは、痛風である場合はほとんどなく、基本的には外反母趾です。

偽痛風は痛風とよく似た関節炎発作を起こし、関節が真っ赤に腫れて熱をもって痛み、細菌感染による関節炎もあります。
これは放置しておくと、敗血症のような重篤な状態となってしまう恐れがあるので注意が必要です。

 * 診断がつきにくいときは、腫れた関節に針を刺して関節液を採取して、液中に尿酸塩の結晶が多数みられれば、痛風と判断でき、感染症との鑑別に有効です(精度は85%程度)。
 

痛風の治療法

治療の基本は、(1)薬物療法と(2)生活習慣の改善の二つです。
 

(1)薬物療法

痛みや炎症を抑える対症療法と関節炎が治まってからの高尿酸血症の治療のための薬物治療の二種類があります。

○対症療法:

発作の前兆の時期や発作のごく初期であれば、患部を安静にして、肉食・飲酒を控え、鎮痛薬を服用することが肝心です(コルヒチンは以前まで発作時に使用されていたが、腹痛、下痢などの副作用が多いため、いまでは大量使用することはなくなりました)。

ただし、発作が始まってしまうとコルヒチンは効かないので、インドメタシンのような非ステロイド系抗炎症薬を使います。痛みが軽くなってきたら使用量を減らしていき、痛みが消えたら中止します。胃腸が弱い人では坐薬が勧められています。

非ステロイド薬が効かないときや、胃や十二指腸に疾患がある場合は、非ステロイド薬ではなく、ステロイド薬を使うことになります。
薬によって副作用は異なりますが、使用にあたっては、医師の指示のもとに適切な治療を行うことが大切です。

○薬物治療:

尿酸を下げる薬剤には、作用の異なる2つのタイプがあります。尿酸の産生を抑える薬(アロプリノール)と、腎臓から尿酸の排泄を促進させる作用をもつ薬(プロベネシドとベンズブロマロン)です。

尿酸排泄を促進する薬は、尿路結石や腎障害を引き起こしやすいため、尿アルカリ化薬を併用しながら服用するとよいが、腎臓のはたらきが悪い人では尿酸を下げる効果は見込めません。腎臓結石を起こしている人は、尿酸排泄が増加することでさらに結石ができる危険性が高まるので、使用しない方がよいといわれています。

いずれの薬を使う場合でも、使い始めは発作が起こりやすくなるので、痛みがなくてもコルヒチンかインドメタシンなどを少量常用する、もしくは発作の予感がしたら服用できるように携帯しているとよいでしょう。

副作用

アロプリノールとベンズブロマロンは、長期間服用しても比較的安全性の高い薬剤ではありますが、特異体質の人が服用すると重篤な副作用が起こることがあり、注意を要します。
アロプリノールでは、1ヶ月以内に発熱、皮疹、肝障害、腎障害などがみられる中毒症候群、ベンズブロマロンでは6ヶ月以内に劇症肝炎が起こることがあります。

いずれも早期に中止すれば回復しますので、服薬を開始して1年間ほどは月に1回は血液検査をする必要があり、からだの調子がおかしいと感じた場合はすぐに医師に相談することが大切です。
 

(2)生活習慣の改善

痛風は、かつて「帝王病」、「贅沢病」と呼ばれていたことからわかるように、美食と大酒が原因と考えられてきました。
たしかに、プリン体の過剰摂取により、尿酸が産生される量は増えますが、実は「美食」よりも「過食」の方が問題です。

つまり、食事やお酒の量的コントロールが、痛風治療のポイントです。

1日に摂取するプリン体の量は400mg以内を心がけ、野菜、海藻、水分を努めて多くとるといいでしょう。お酒は控えめ、ビールなら中ビン1本、日本酒なら1合、ウイスキーならダブル1杯が妥当でしょう。そして週に2日程度は酒を飲まない日を設けることが大切です。

さらに、尿酸の排出を促進するために、無酸素運動である激しい筋肉運動を控え、有酸素運動である、軽いジョギング、体操、軽い水泳などの軽い運動を行うことがすすめられます。

まとめると、

  • 食事量を減らすこと
  • 飲酒量を減らすこと
  • 有酸素運動を定期的にすること

が痛風の緩和に重要です。

 

※ 患部の管理

痛風発作が起きている関節、周辺部位は、「安静および冷涼に保持する」必要があり、患部を動かしたり温めたりする行為は炎症を重篤化させることが知られています。

特に、発作時に患部が動かされる、および温度上昇という双方を同時にもたらす入浴は禁忌となっています。

医療資格を持たない一般人が関節部に痛みが生じたときに、安易に民間療法的な発想で関節部に痛みを伴う関節リウマチの慢性期療法等の温泉療法を連想し入浴を行うと、痛風発作の症状をほぼ100%悪化させるので注意が必要です。
 

痛風の予防法(食事)

高尿酸血症患者の予防としては、痛風の治療方法がそのまま痛風発作の予防となります。非高尿酸血症者の予防についても、日常生活で尿酸値が急激に変化しないよう、体調・ストレスを管理することが重要だといえます。
 

高尿酸血症者の予防

尿酸産生抑制剤であるアロプリノール、尿酸排泄促進剤であるベンズブロマロン(分泌後再吸収阻害剤)、プロベネシド(分泌前再吸収阻害剤)を予防的に経口投与することで、高尿酸結晶は改善されます。

これらの使い分けについては、高尿酸血症の原因が尿酸産生過剰によるものなのか、尿酸排泄能力低下によるものなのか、あるいは薬の効果が患者へどれほど影響するか、を見極める必要があります。

また、「治療」でも述べましたが、血中尿酸値の急激な変動が痛風発作の原因となるため、これらの薬剤については、急激な尿酸値低下による発作の悪化や再発を引きおこさないよう、痛風発作の発現中ならびに症状が緩和された直後の数週間の間は服用しないことを推奨します。

さらに、帝人ファーマが創製し、同社が日本で、イプセンがヨーロッパで、TAP社が米国で開発したフェブキソスタットが新規痛風治療薬として米国では2009年、日本では2011年に承認されました。
 

非高尿酸血症者の予防

「適度な量の食事・飲酒」、「プリン体の摂取を控えめにする」、「十分な水分摂取」、「十分な野菜摂取」、「栄養バランスのとれた規則正しい食事」、「食塩控えめな食事」、「有酸素運動」、「ストレスの解消」がすすめられています。

※プリン体の多い食品としては以下のものがあります(総プリン体量:高尿酸血症・痛風のガイドライン 2010年版)。

<300mg含有/100mg>鶏レバー、マイワシ干物、イサキ白子、アンコウ肝酒蒸し、カツオブシ、ニボシ、干し椎茸

<200〜300mg含有/100mg>豚レバー、牛レバー、カツオ、マイワシ、大正エビ、マアジ干物、サンマ干物
 

おわりに

痛風は発作を発症してしまうと痛みを緩和するような対症療法がメインとなってしまいます。またカナリ辛い症状がでてしまいます。

そのため、まだ発症していない方も、一度発症して現在落ち着いている方も、痛風発作を発症させないために、必要に応じて治療薬も活用しつつ予防するようにしていきましょう。

 

参考文献

『家庭の医学』オールカラー版【第2版】 成美堂出版
『家庭の医学』【新赤本】第6版 保健同人社
『家庭医学大事典』新版ホームメディカ 小学館
『ハリソン内科学』第4版 MEDSi