滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)とは

「滲出性中耳炎」は、鼓膜の奥にある「中耳腔:ちゅうじくう」に分泌液(液体)が溜まる疾患です。

滲出性中耳炎は、溜まった液体が鼓膜から透けて見えます。

ただしこの液体は耳の外から入ったものではなく中耳腔内で作られたものです。

中耳腔からは鼻へつながる「耳管:じかん」があります。耳管は鼻とのどの奥と中耳までつながっている通気口のため、かぜを引いたときなどのウイルスや細菌が中耳に入り込む通り道にもなります。

出展:

健康・医療館

「中耳炎」は、耳管を通って中耳に入ったウイルスや細菌が鼓膜や鼓室に炎症を起こす疾患ですが、中でも子どもに多いのは「急性中耳炎」です。

急性中耳炎は高熱や耳の痛などが出る疾患ですが、滲出性中耳炎は急性中耳炎の後に起こりやすいと言われています。

滲出性中耳炎は、炎症が耳管を通って中耳腔内に入ることにより「中耳腔から炎症性の液体が滲み出る(にじみでる)ものを滲出液」といい、この滲出液が溜まっている状態です。

通常健康な状態で耳管の働きが良ければ滲出液は耳管を通って鼻から出ていきますが、鼻やのどの炎症などにより耳管の働きが悪くなると滲出液は排出されず溜まってしまうため滲出性中耳炎が起こります。

よって、「滲出性中耳炎」は耳管の働きが低下して起こる「耳管機能障害」といえます。

滲出性中耳炎になる主な原因

▶急性中耳炎を繰り返したり治療が不完全

▶かぜ(鼻かぜ・のどかぜ)

▶花粉症・アレルギー性鼻炎

▶急性副鼻腔炎

▶慢性副鼻腔炎(蓄膿症)

▶急性咽喉頭炎

▶アデノイド肥大症

▶鼻すすりの習慣

などは、すべて耳管の働きを低下させるため滲出性中耳炎につながる可能性があるのです。

滲出性中耳炎の症状は?

・耳の痛みや熱などはない

・鼻水が出ることがあるが目立った症状がない

・よく耳を触っている

・耳の詰まり感

・耳の中でガサガサという音がする

・テレビのボリュームをやたらと大きくする

・大きな声でしゃべる

何回呼んでも振り向かない、返事をしないこのような症状で初めて気づくことがあります。

「滲出性中耳炎」と「急性中耳炎」との違いは、高熱が出たり痛みや耳だれなの症状がほとんどないことです。

そのため気づかないことが多く、発見が遅れると大人になってから慢性中耳炎なることもあり、また「難聴」の程度が進んで言葉の発達に影響することもあるため注意が必要です。

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滲出性中耳炎の治療法は?

滲出性中耳炎の治療は、耳の治療だけではなく、耳、鼻、のどの全体的な治療が必要になります。

1、鼻、咽頭の治療

薬物治療、鼻水の吸引、ネプライザーなどで薬の吸入します。

2、耳管通気療法

鼻から耳に空気を通し滲出液を抜き、中耳内の機能を改善させます。

3、鼓膜切開

鼓膜に小さな切開を行い滲出液を吸引します。切開しても鼓膜は再生るすため心配は要りません。

4、チューブ挿入

切開しても滲出液が溜まる場合は、鼓膜切開をした部分に鼓膜ドレーンという小さなチューブを差し込み、持続的に滲出液を外耳道へ出すようにします。治療は6ヶ月~1年程度続く場合もありますが、滲出液が溜まりにくくなったらチューブを抜きます。治療後は鼓膜の穴は自然にふさがります。

滲出性中耳炎は経過が長く、また再発を繰り返すこともあるため、定期的に診断を受けながら根気よく治療を続けることが必要になります。

日常の注意は?

・鼻すすりや強く鼻をかまないよう注意してあげましょう

・チューブを入れている間は入浴時に水が耳に入らないように注意しましょう

・プールに入れるか、飛行機に乗れるかは医師と相談しましょう

・規則正しい生活をし、日頃からかぜや感染症にならないように抵抗力を高めることが大切ですかぜは冬に限らず夏かぜもあります。

また花粉症の季節にはアレルギー性鼻炎のある子どもは鼻の炎症が加速するため、滲出性中耳炎は年間を通して注意が必要です。

子どもの様子をよく見てあげましょう。

おわりに

滲出性中耳炎は、急性的な激しい症状が見えないため気が付きにくく、3歳児検診などで多く発見されています。

特に難聴などはなかなか気が付きにくいため、普段の子どもの様子に前述した症状が見られたら、放置せずかかりつけの小児科または耳鼻咽喉科を受診しましょう。