蒸し暑い夏が終わり、過ごしやすい秋に入ったとたんに咳が止まらない・・・
田んぼの近くを通ったら目がかゆくなった・・・

秋は春に次いで、アレルギー発症の第2のピーク時期です。
秋の花粉症はキク科の植物ブタクサが有名ですが、注意する植物はそれだけではありません。「収穫の秋」だからこそ気をつけたいのがイネ科の植物の花粉によるアレルギーです。

放っておくと喘息などを悪化させたり、小麦などの食物アレルギーを引き起こす可能性も!
それぞれの特徴を知って秋のアレルギーを防ぎましょう。
 

稲刈りは要注意!イネ科花粉症の特徴

《注意したいイネ科の植物》
イネ、ムギ、ススキ、アシ、カモガヤ、ホソムギ、スズメノカタビラ、スズメノテッポウなど


イネ


ムギ

イネやムギは、私たちの食生活と切っても切れない植物ですし、ススキも秋を代表する身近な植物。


ススキ

それらが体調不良を引き起こすアレルゲンになるとは何とも割り切れない気がしますが、いったんイネ科の植物の花粉によるアレルギーが発症すると、小麦などイネ科の食物アレルギーにもつながり、一層深刻な問題になります。

イネ科植物の花粉飛散の特徴

  • イネ科は種類が多いので飛散時期も幅広い(5月~9月)
    例:イネ 5~6月、カモガヤ 5~7月、ススキ 9~10月
  • アレルギー症状発症のピークは年2回(5月~6月、8月~10月)
  • スギやヒノキよりも花粉の飛散距離が比較的短い(遠くまで飛ばない)

スギやヒノキの花粉は100~500kmほど飛散しますが、イネ科の植物はせいぜい100m。
近くにいかなければ症状が強く出ないことも、イネ科花粉症の特徴のひとつです。

★イネは収穫の時期にも要注意!
イネ科の植物の代表である「イネ」の場合をみてみましょう。
花粉が最も多く飛ぶのは5月~6月で、田植えのあとイネの先端に花が咲き、風にのって周辺に花粉が飛散。
このタイミングが最も危険です。

しかしイネは秋も油断禁物!
稲刈りの際、イネについた花粉がもう一度舞い上がったり、脱穀やもみ殻を取る際に細かく裁断されたイネの一部を吸い込むことでアレルギー症状を引き起こすからです。

ハウスダストのアレルギーも持っている人は、塵やほこりも一緒に吸い込むため症状はさらに悪化。
日本の秋の原風景である稲刈りも、アレルギー体質の人は(稲刈りの最中には)出来るだけ近寄らないようにしましょう。

 

イネ科花粉症と風邪:症状の違いは目・鼻・熱に注目!

秋は朝晩の気温差が大きくなるため、風邪をひく人が急増する時期でもあります。
冷たく乾いた空気は呼吸器系にダメージを与えやすく、咳が出やすくなるのも秋の風邪の特徴です。
しかし、咳が2週間以上も続くなどなかなか治らない場合は、イネ科花粉症かもしれません。

イネ科花粉症と風邪の違いは、ここをチェック!

  イネ科花粉症 風邪
目のかゆみ あり なし
鼻水の状態 さらさらと水状 黄色っぽく粘性がある
くしゃみ 止まらなくなる 経過とともに改善
ほとんどない 高熱が出ることがある
長期にわたって発症 経過とともに改善

イネ科花粉症の症状は、基本的にはスギ・ヒノキなどの花粉症とほぼ同じです。
アレルギー症状を引き起こす物質・アレルゲンが体内に侵入することで免疫系が過剰反応を起こし、目や鼻などの粘膜に炎症が起こります。
このため、体内に侵入するアレルゲンがなくならない限り症状が継続するところが風邪との大きな違いです。

体内に侵入したアレルゲンの量が多いと喘息や、じんましん、嘔吐などのアナフィラキシーショックを起こすことが知られています。

さらにイネ科花粉症の怖いところは、同じイネ科である小麦の食物アレルギーを発症しやすくなることです。
イネ科花粉症の人が小麦を使った食品をたくさん食べたり激しい運動をすると、場合によっては呼吸困難など重篤なアナフィラキシーショックに陥る危険性があるのです。

イネ科花粉症対策:「生活上の注意点」と「治療薬」

アレルギー対策の基本は以下の3つです。

  1. まわりのアレルゲンを減らす
  2. アレルゲンの体内への侵入を防ぐ
  3. 症状を緩和する 

<対策1:まわりのアレルゲンを減らし、体内への侵入を防ぐ>
スギ・ヒノキなどの花粉症と同じく、出来るだけ体内にアレルゲンを入れないようにすることが、イネ科花粉症でも重要です。

  • 外出時にはマスクやメガネ、帽子を着用する
  • 水田や堤防、野原などが自宅の近くにある場合は、窓を閉めておく
  • 水田や堤防、野原などの近くで激しい運動をしない
  • 帰宅時には衣服を払ったりブラシをかけたりして、花粉が自宅に入らないようにする
  • こまめに掃除をし、部屋から花粉を除去する

花粉は晴れた日に飛び散ります。掃除などで窓を開ける際は、出来るだけ短時間に。とくに風の強い日は、窓を開けないようにしてください。
イネ科の花粉が飛び散る時期にグラウンドで激しい運動をしていた小学生がアナフィラキシーショックを起こして呼吸困難になった事例がありますので、体調に変化がみられたら決して無理をしないようにしましょう。

<対策2:症状を緩和する>
①まずは通院して検査を

始めて花粉症にかかった人はアレルギーの原因を正確に知るためにも、まずは医療機関でアレルギー検査を受けることをおすすめします。

②市販薬について
イネ科花粉症の薬の選び方は、スギ・ヒノキの場合と同じです。
点眼薬、点鼻薬、内服薬と症状に合わせて使い分けてください。
最近は医療薬(処方薬)から市販薬にスイッチされたOTC薬にも、花粉症に効果のある薬が次々に登場しています。

《主な市販薬》

商品名 主成分(一般名)
アレグラ      フェキソフェナジン塩酸塩
アレギサール ペミロラストカリウム
アレジオン エピナスチン塩酸塩
アゼプチン アゼラスチン塩酸塩
ザジテン ケトチフェンフマル酸塩

薬の効き方には個人差があります。
また、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなど複合的な症状で日常生活に支障が出るほど重度の人や、市販薬を1~2週間服用しても効果がない、悪化したなどの場合は通院して医師の診断のもと治療を受けてください。
 

食生活での注意点

アレルギー体質の改善では、食生活の見直しも重要です。
食物繊維をしっかりと摂り腸内環境を整えることも体質改善につながります。

<控えた方がよいもの>

  • 脂っこいもの(揚げ物、バター、ラード、マヨネーズなど)
  • 動物性タンパク質(乳製品、卵、肉など)
  • 加工食品
  • 糖質の多い食べ物
  • 小麦を使った食品

イネ科花粉症の人は小麦の摂取量にも注意してください。
パンやうどん、菓子類の他、カレーやシチューのルーなど、隠れた部分にも小麦が含まれています。
加工品を購入する時は原材料名の確認を。

おわりに

一度アレルギー体質になると、さまざまな物質に過敏になります。
私たちの身の回りにはアレルゲンになる物質がいろいろとありますが、予防の観点からも、一度血液検査を受けてアレルギー物質の確認をしておくことをおすすめします。


(image by photo-ac)
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