花粉症で病院を受診すると、ステロイドの薬を処方されることがあります。
また、ステロイド入りの点鼻薬が薬局などで販売されているのを目にした方もいるのではないでしょうか。
ステロイドと聞くと、強くて怖い薬だというイメージを持ち、使用をためらう方も少なくありません。
しかしながら、ステロイドは用法用量を守り正しく使えば安全な薬です。
ステロイドは、ヒスタミンによって引き起こされた鼻の粘膜の炎症や目の結膜の炎症を鎮め、免疫系の反応を低下させアレルギー反応を抑える強い作用があります。
そのため、花粉症治療の最後の切り札的な存在とされているのです。
この記事では、花粉症で処方されるステロイドの薬の効果や種類、注意点について解説します。
花粉症で処方されるステロイドの薬の種類
花粉症の薬には、点鼻薬・点眼薬(目薬)・飲み薬の3種類があります。
ステロイドの薬は点鼻薬や点眼薬として処方されることが主ですが、症状が重い場合には飲み薬が処方されることもあります。
点鼻薬
点鼻薬では、現在ステロイド剤を使用したものが主流となっています。
点鼻薬によるステロイドの使用は微量であり、鼻の中に噴射させて患部に直接作用するため、飲み薬に比べると全身への副作用が起こりにくいためです。
代表的な処方薬には「アラミスト」「ナゾネックス」「エリザス」「フルナーゼ」「リノコート」などがあります。
目薬
ステロイドの目薬には、炎症をとる強い作用があります。強い効果が期待されますが、その分、副作用も大きい目薬です。
正しく使用していれば安全に使用できますが、長期間の使用や使いすぎによって副作用があらわれることがあります。
主な副作用として、眼圧上昇、結膜充血、眼刺激感などの症状があらわれ、更にひどくなると緑内障なども引き起こされる可能性があるため、使用の際は用法用量を守り、医師の指示に従うことが大切です。
主な処方薬として「フルメトロン」「オドメール」「リンデロン」があります。
飲み薬
花粉症の症状が重い場合、ステロイドに抗ヒスタミン剤の両方が配合されている「セレスタミン」が処方されることがあります。
セレスタミンは抗ヒスタミン剤の効果により、即効性にもすぐれています。
通常、用法用量を守っていれば副作用があらわれることはほとんどありませんが、服用中の体調の変化には注意が必要です。
症状に応じて純粋なステロイド剤である「プレドニン」が処方されることもあります。
花粉症の市販薬でステロイドが入っているのは点鼻薬だけ!
ステロイド剤が入った花粉症の市販薬は、現時点では点鼻薬のみです。
市販の点鼻薬の中には、もともとは医療用医薬品として病院でしか処方されなかった有効成分を、一般用医薬品として店頭販売できるように切り替えたスイッチOTC医薬品もでてきています。
点鼻薬の対象年齢や1日の使用回数など、添付文書を確認した上で使用や購入をするようにしましょう。
とくにステロイドの場合、1年間に使用できる期間が明記されている場合がありますのでご注意ください。
ステロイドの入った市販の点鼻薬3選
主な成分 | ベクロメタゾンプロピオン酸エステル(点鼻ステロイド薬成分) |
使用回数 | 1日2回(朝・夕) |
対象年齢 | 18歳以上 |
特徴 | ・花粉など季節性アレルギーによる鼻づまり、鼻みず(鼻汁過多)、くしゃみに効果を発揮 ・眠気を誘発する成分は入っていない |
使用期間の注意 | 1年間に1か月を超えて使用しないでください |
主な成分 | ベクロメタゾンプロピオン酸エステル(点鼻ステロイド薬成分) |
使用回数 | 1日2回(朝・夕) |
対象年齢 | 18歳以上 |
特徴 | ・花粉など季節性アレルギーによる鼻づまり、鼻みず(鼻汁過多)、くしゃみに効果を発揮 ・眠気を誘発する抗ヒスタミン成分が入っていない ・患部でよく効いた後に体内で作用の弱い物質に分解される、アンテドラッグ型ステロイド配合 |
使用期間の注意 | 1年間に3か月を超えて使用しないでください |
主な成分 | 塩酸テトラヒドロゾリン(ステロイド)、プレドニゾロン(ステロイド) |
使用回数 | 3時間以上の間隔をおいて1日6回まで使用可能 |
対象年齢 | 7歳以上 |
特徴 | ・急性鼻炎、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎になどよる鼻づまり、鼻みず、くしゃみ、頭重に効果を発揮 |
市販薬の医療費控除について
「コンタック鼻炎スプレー」と「ナザールAR」は、セルフメディケーション税制対象商品です。
セルフメディケーション税制は、2017年1月1日から導入された医療費控除制度です。
セルフメディケーション税制対象商品については、一年間に1万2,000円(扶養家族分の合算)を超えて購入し、一定の条件を満たしている場合に医療費控除が適用されますので、購入時のレシートは保管しておきましょう。
セルフメディケーション税制について、詳しくは関連記事をごらんください。
おわりに:予防的な使用は厳禁
ステロイド剤には強い効果がありますが、その反面、副作用には注意が必要です。
長期連用はせず、使用の際は医師や薬剤師の指示に従い、用量用法を守って使用しましょう。
なお、ステロイドには、花粉症の予防効果はありません。予防として症状がでる前に使用することはやめてください。