赤ちゃんは花粉症になる?花粉症のメカニズム

花粉症は大人の病気というイメージがありますが、実際は子供や赤ちゃんでも花粉症を発症することがあります。近年では花粉症の低年齢化が進んでおり、鼻アレルギー診療ガイドラインによれば、スギ花粉の花粉症患者のうち5〜9歳は13.7%、0〜4歳は1.1%を占めています。

花粉症は、花粉が原因となるアレルギー反応によって起こる症状です。

アレルギーの原因となる花粉が体内に侵入することで、肥満細胞と呼ばれる細胞からアレルギー症状の原因となるヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質が放出されてアレルギー症状を引き起こします。

通常は何度も花粉にさらされ、自身の花粉に対する許容量を超えてしまった場合に花粉症になってしまいます。一度花粉症になると、以降もシーズンごとに症状が現れるようになります。

花粉シーズンを1回経験すると、次のシーズンに花粉症になる可能性がある、つまり2歳以降で花粉症を発症する可能性があるとされています。

花粉症は赤ちゃんに遺伝する?

花粉症などのアレルギーは、親の遺伝が大きく影響します。

両親のどちらかが花粉症の場合はアレルギー体質が子供に遺伝し、子供が花粉症になる確率が高くなります。

ただし、親が花粉症でも子供は花粉症にならないというケースも少なくないため、必ず花粉症を発症すると一概にいうことはできません。

赤ちゃんの花粉症の症状は?

赤ちゃんの花粉症の症状には、大人と同じようにくしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみなどがあります。

赤ちゃんは自分の症状を伝えることができないため、周りの大人がよく観察し、普段と違う様子に早めに気づいてあげることが大切です。

花粉症の症状だけではなく、「ミルクの飲みが悪い」など普段の様子との違いで見分けることも可能です。

また、赤ちゃんは風邪を引いているときも鼻づまりを起こすことが多くあるため、風邪と花粉症を見分けることが難しい場合もあります。

風邪や花粉症に限らず、他のアレルギーが原因となって鼻水やくしゃみを起こしていることも考えられます。

花粉症かどうか判断がつかないときは早めに小児科を受診しましょう。

アトピー性皮膚炎の赤ちゃんは注意

アトピー性皮膚炎の赤ちゃんは、花粉症のシーズンにアトピーの症状が悪化しやすい傾向があるという医師もいるため注意が必要です。

花粉症による鼻水・鼻づまりの花粉症状以外にも、皮膚が赤くなったりかゆみが出ることもあります。

花粉症の合併症

赤ちゃんや子供の花粉症では、滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)や副鼻腔炎(ふくびくうえん)を合併するおそれがあります。

滲出性中耳炎は中耳炎の一種です。鼓膜の奥のにある中耳という空間に滲出液という液がたまり、音が聞こえにくくなります。滲出性中耳炎は副鼻腔炎が原因で起こることもあります。

副鼻腔炎は蓄膿症(ちくのうしょう)という名前で知られる病気です。鼻の奥にある副鼻腔という空間が炎症を起こし、本来自然に排出されるはずのうみが溜まってしまいます。

副鼻腔炎になると鼻水が青っぱなのような、うみが混ざった鼻水がでるようになります。

赤ちゃんの花粉症の検査方法は?

赤ちゃんに花粉症の症状がある場合、まずはかかりつけの小児科を受診しましょう。鼻の症状などによって、必要があれば耳鼻科が紹介されます。

赤ちゃんの花粉症を診断するためには、アレルギーの検査を行います。

初めは問診で、症状が現れた時期や症状の程度、家族にアレルギーがあるかなど質問されます。

問診に次いで、鼻の粘膜の状態をみる検査や鼻水の検査、血液検査などが行われます。

赤ちゃんの体にとって花粉症の検査は大きな負担になるので、検査を行うかどうかは医師の判断によります。

鼻鏡検査(びきょうけんさ)

鼻鏡検査とは、鼻の粘膜の状態をみる検査です。花粉症であれば粘膜が青白く膨らんでいたり、鼻水が粘膜の周りを覆っていることがあります。

鼻汁好酸球検査(びじゅうこうさんきゅうけんさ)

鼻汁好酸球検査とは、風邪と花粉症を見分ける検査です。鼻水を採取し、鼻水の中の好酸球の数値を調べます。好酸球の数値が高ければ花粉症と診断されます。

血液検査

血液を採取することで、どの花粉にアレルギーがあるのか・花粉に対する抗体があるかなどを調べることができます。

特に血液検査は赤ちゃんへの負担が大きいため、検査を行うことが困難な場合があります。

赤ちゃんの花粉症の治療方法

赤ちゃんが花粉症になった場合、自然治癒することはないため、穏やかな効果をもつ抗アレルギー剤の飲み薬を用いて治療します。

通常の花粉症の治療では点鼻薬や点眼薬も用いられますが、赤ちゃんに点鼻薬や点眼薬を使用するのは難しく、有効性が確立されていません。

なお、赤ちゃんが使用できる花粉症の市販薬はないため、必ず病院を受診し処方された薬を使用してください。

赤ちゃんの花粉症で処方される薬

赤ちゃんの花粉症の治療で処方される薬には、次のようなものがあります。

薬剤の種類 一般名 商品名
ケミカルメディエーター遊離抑制剤 トラニラスト リザベン
ペミロラストカリウム アレギサール・ペミラストン
第1世代抗ヒスタミン薬 アリメマジン酒石酸塩 アリメジン
第2世代抗ヒスタミン薬 フェキソフェナジン塩酸塩 アレグラ
レボセチリジン塩酸塩 ザイザル

ケミカルメディエーター遊離抑制剤は、主に鼻づまりに効果があります。効果が現れるまで1〜2週間ほどかかることがあります。

第1世代抗ヒスタミン薬は、花粉症の症状全般に効果があります。眠気などの副作用が現れやすい薬です。

第2世代抗ヒスタミン薬は、眠気などの副作用が現れにくい薬です。効果が現れるまで1〜2週間ほどかかることがあります。

身近にできる赤ちゃんの花粉症対策

赤ちゃんが花粉症になった場合、大人と同じようにマスクをさせることは現実的ではありません。

赤ちゃんの花粉症の症状を軽くするためには、花粉症の原因である花粉にできるだけ接触させないようにすることが大切です。

・散歩などの外出は花粉が少ない午前中にする
・花粉の飛散予報を確認し、花粉の飛散が多い日は長時間の外出を控える
・帰宅時は玄関に入る前に衣服についた花粉をはらい落とす
・帰宅後は赤ちゃんの顔や手についた花粉をふき取ったり、洗い流したりする
・窓を開けっぱなしにしない
・洗濯物や布団を外に干さない
・こまめに床掃除をする

早めに発症を予防する

まだ花粉症になっていない赤ちゃんも、今後花粉症になることを予防するために花粉との接触を減らすことが大切です。

花粉症シーズンは家の中全体に気を配り、花粉を取り込まない対策を行いましょう。

花粉症になってしまった場合は、毎年早めに対策を行い重症化を防ぐことが大切です。花粉が飛散する時期の2週間前から治療を始めることで、花粉症の症状を軽減させることができます。

おわりに

0歳から1歳までの赤ちゃんが花粉症になることは少ないですが、1歳以降では花粉症になる確率が上がっていきます。

赤ちゃんは自分で症状を伝えられないため、周りの大人が観察してあげる必要があります。

まずは花粉症になりにくい環境をつくり、対策に努めましょう。