花粉症は体内に取り込まれた花粉によって起こるアレルギー疾患ですが、症状を引き起こす花粉の代表が「スギ花粉」です。

現在、花粉症の約7割の方がスギ花粉症だといわれています。

今回はスギ花粉の飛散時期とエリア、初期症状と風邪との違い、治療法について詳しく解説します。

スギ花粉はいつから飛び始める?

スギ花粉の飛散が始まる時期の予測は、「積算最高気温」がひとつの手がかりになります。これは1月1日からの最高気温を毎日加算していった温度のことで、スギ花粉の飛散開始予測では以下の温度が目安になります。

・西日本:400~500℃
・東日本:300~350℃

1月の気温が高いほど早くスギ花粉の飛散が始まり、通常では飛散が始まったあと3~4週後にピークを迎えます。

2017年の場合は、2月上旬に九州北部・中国・四国・東海地方の一部から花粉シーズンが始まっています。

花粉の量・ピークを左右するものは?

花粉の量は前年度の夏の天気で決まる!

スギ花粉の量は、夏の気象条件に左右されます。スギは夏から秋にかけて十分な日照時間があり、気温の高い日が多いと花粉が大量に産出され、翌年春の花粉量が多くなります。

日本各地、地域ごとに天気が違います。自分の住む地域ではどんな夏だったのか、天気の傾向に意識を向けておくと、翌年春の花粉症対策がしやすくなります。

3Kで花粉の飛散数がピークに!

スギ花粉が大量に飛散する気象条件は「高温」「乾燥」「強風」の3Kといわれています。晴れて気温が高いとスギの雄花から花粉が飛び出しやすく、空気が乾燥して風が強いと遠くまで花粉が飛散しやすくなります。また雨の日の翌日はたまっていた花粉が一気に飛散します。

逆に、スギ花粉の飛散が始まってから寒い日が続くと花粉のピークがはっきりせず、ダラダラと長期間に渡って花粉が飛び続ける傾向にあります。

なぜスギ花粉が多いのか?

農林水産省の林野庁の情報では、日本の国土における森林率は約7割で、その中でもっとも広い面積を占めている樹木がスギ、ついでヒノキの順になっています。

特に人工林のほとんどがスギとヒノキで構成されていて、これには戦争で荒れ果てた野山を森に戻し、木材の需要にもつなげようと1960年代に植林が進められたことが関係しています。

スギは樹齢30年以上になると花粉をさかんに放出するようになり、100年は勢いが衰えないといわれています。日本の人工林のスギ林では樹齢40~60年にあたるものがほとんどで、まさにちょうど今、花粉を最も放出する時期を迎えています。

このスギの樹齢から、今後数十年はスギ花粉の大量放出が続くと予想されます。花粉症で悩まされる人はこれからさらに増えるといえそうです。

都道府県別 スギ・ヒノキ人工林面積

自然に育った森林では1本ずつ樹齢が異なりますが、人工林の場合は大量の木を一度に植樹するため同じ樹齢の木が多くなります。つまり森林面積における人工林のスギ・ヒノキ面積が広い方が花粉症のリスクも高まることが考えられます。

単位:ha

  森林面積 スギ人工林面積 ヒノキ人工林面積 スギ・ヒノキの
占める割合(%)
北海道 5542533 32571 0 1
秋田 839536 839536 35  44
茨城 187508 62052 31639 50
東京 79382 22490 9123 40
長野 1069673 60260 81426 13
静岡 501007 110615 142227 50
愛知 219035 51455 67986  55
京都 342604 63738 56924 40
大阪 57969 7745 12681 35
和歌山 363041 92624 120184 59
徳島  313863 139064 38326 57
愛媛  401114  113024 123373 59
高知  596783 155214 217636 62
福岡 221081 72288 61473 60
沖縄 104580 248 0 0

出典:農林水産省Webサイト(平成24年3月31日)

都道府県別のスギ・ヒノキ人工林面積をみると、北海道と沖縄ではスギ・ヒノキが占める割合が大変低くなっています。北海道と沖縄ではスギやヒノキが原因の花粉症が少ないのはこのためです。

東京の場合はスギの面積がヒノキの2倍以上あり、逆に大阪はヒノキの面積の方がスギよりも広くなっています。

個人差もありますが、東京と大阪では東京の方のほうがスギ花粉により注意が必要といえそうです。また静岡や愛知、和歌山、愛媛、高知などではスギ・ヒノキの人工林が多いうえにヒノキの割合が高いので長期間に渡って花粉症に注意が必要でしょう。

スギ花粉症の症状は?

天気の変化が激しい春は風邪をひきやすい時期でもあります。くしゃみや鼻水が出たり頭がぼーっとすると花粉症と風邪の見分けがつかず、対処に困る方も多いのではないでしょうか。

花粉症と風邪では原因が違うので対処法も異なります。症状のおもな違いは次の通りです。

花粉症と風邪のおもな違い

・花粉症は目や肌がかゆくなる(風邪ではかゆくなりにくい)
・鼻のムズムズが続きくしゃみを連発する(風邪ではムズムズが強くない)
・花粉症の鼻水は水の様にサラサラしている(風邪では粘性の鼻水になる)
・花粉症は晴れて風が強い日に悪化しやすい(風邪は天気の影響を受けにくい)
・花粉症は、花粉が飛散する期間(数週間~数か月)症状が続く

花粉症と風邪の大きな違いは「かゆみ」の有無です。「鼻がムズムズしてくしゃみが止まらない」「目がかゆくて充血している」などの症状は花粉症の特徴で、風邪ではほとんど起こりません。

花粉症ではなるべく花粉を体内に入れないようにし、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬などで体のアレルギー反応を抑えてください。

スギ花粉症の病院での治療

アレルギーの本当の原因がわからなければ、正しい対処はできません。花粉症の原因はスギ・ヒノキ・ブタクサ……とさまざまで、発症時期や注意すべき環境なども異なります。

「何となく花粉症?」と思っている方は、一度検査を受けてアレルゲンを特定してみてはいかがでしょうか。

スギ花粉症の検査

アレルギー検査は、内科・小児科・耳鼻咽喉科・皮膚科などで受けることができます。費用は病院で行う検査項目によって異なりますが、血液検査・アレルゲン検査の場合は3,000~6,000円くらいが目安です。

また、アレルギー検査は症状がでている場合は基本的に保険が適用されますが、症状がない状態で検査を受けると自費診療になる可能性があります。詳しくは各医院でご確認ください。

なお、アレルギー検査を受ける前に抗ヒスタミン剤など花粉症の市販薬は飲まないでください。正しいアレルギー反応がでない可能性があります。

スギ花粉症の根治に舌下免疫療法

最近「花粉症が治る」と注目されているのが舌下免疫療法です。これは、花粉症の症状を抑える一般的な対症療法とは違い、スギ花粉に対するアレルギー体質を改善することで花粉症を起こさせなくするものです。厚生労働省の研究では、スギ花粉の舌下免疫療法は70%以上の方に有効という結果がでています。

治療方法は、スギ花粉が含まれたエキス薬を毎日舌の裏に垂らすというもので、スギ花粉以外のアレルギーは対象外です。検査でスギ花粉のアレルギーを確認してから治療を始めます。

治療期間が3~5年と長期におよぶので根気が必要で、治療のスタートは夏からなど条件がありますが、スギ花粉のアレルギーが強い方とっては画期的な治療法です。治療が受けられる医療機関も全国に増えているので、気になる方は一度相談してみてはいかがでしょうか。

スギ花粉症におすすめの市販薬

花粉症の市販薬は数多くあり、最近では病院で処方される薬と同じ成分が同量含まれたものも販売されています。主流となっているのは抗ヒスタミン薬で、ヒスタミンの分泌を抑えることで鼻水や目のかゆみなどの症状を抑えるものです。

症状を抑える効果が強い薬は眠気などの副作用が出やすいので、自分の症状や目的に合わせて薬を選びましょう。

花粉症の初期におすすめの市販薬

アレグラFX 14錠 医療用アレグラと同成分配合 花粉症に (第2類医薬品)

アレグラFXは穏やかな効果で眠気などの副作用が出にくい薬です。第2類医薬品なので薬局・ドラッグストア・インターネットで購入できます。

花粉症の市販薬は妊娠中や授乳中に使用できないものがあります。また大人と子どもでは使用できる薬が違う場合があるので、使用前に必ず薬剤師に相談しましょう。

おわりに

花粉症は一度発症するとやっかいなものですが、生活習慣の見直しと少しの配慮で悪化を防ぐことができます。

・睡眠時間を確保する
・ストレスをためこまない
・衣類をはたいてから家の中に入る
・マスクの着用で花粉の吸いこみを防ぐ

以上のことに気をつけるとともに、症状が辛い場合は我慢せず、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。