「腸は第二の脳」といわれる訳は?ストレスによる大腸の病気「過敏性腸症候群(IBS)」はセロトニンと深い関係が!IBSの原因・症状・治療法

はじめに

電車の中、通勤、通学中、会議中、プレゼン中、面接中などに突然腹痛や下痢が頻繁に襲ってくる…慌ててトイレに駆け込む…
こんなことが続いたら毎日が大変です。

これは「過敏性腸症候群:IBS(Irritable Bowel Syndrome)」という、近年、20代~30代と子供に増えている腸の疾患ですが、検査をしても腸には何の異常も見られず、つらい症状を繰り返す病気です。
主に先進国に多く見られ、ストレス社会を象徴する現代病の一つとされ、今や誰にでも起こる可能性があります。

過敏性腸症候群(IBS)の原因・症状・治療法を知っておきましょう。


 

「腸は第二の脳」といわれる訳とIBSとの関係は?

脳と腸は自律神経でつながっていますが、そこには神経伝達物質においてとても密接な関係があります。

まず、脳が受けた情報は腸に伝わり、逆に腸で起こった情報がまた脳に伝わっています。
そこには、神経伝達物質の「セロトニン」が深く関わっています。
セロトニンは精神の安定や安らぎをもたらす「幸せホルモン」として知られています。セロトニンは神経、生体リズム、睡眠、体温調節などに深く関わっている大切な神経伝達物質のため、セロトニンが不足すると、うつ病などを引き起こします。

体内セロトニンは、脳内、血液中、腸内に分布し、それぞれの部位での働きがありますが、脳の中枢神経に存在しているのはわず数%で、実に残りの約90%以上は腸内に存在しているといわれます。
特に脳がストレスを受けると、精神を安定させるために脳からセロトニンがたくさん出るのではなく、腸の粘膜から分泌されるのです。
これが、腸が第二の脳といわれる理由です。

過敏性腸症候群(IBS)」はこのような脳と腸の密接なかかわりにより起こるとされています。
 

過敏性腸症候群(IBS)の原因

脳がストレスを受けると、セロトニンが腸の粘膜から分泌されると前述しましたが、その際、セロトニンは、さらに腸にあるセロトニンからの信号の受け手である「セロトニン3受容体」と結合します。
すると神経の伝達が過剰に行われ、腸のぜん動運動など消化管の働きに異常や知覚過敏が起こります。その結果が腹痛や下痢となります。
このことから

脳がストレスを受ける

腸の粘膜からセロトニンが過剰分泌

セロトニンが「セロトニン3受容体」と結合 

腸の運動異常(腹痛、下痢、便秘)が起こる

また脳にストレスとして伝わる

というように脳と腸は互いに情報伝達をし合っているため悪循環が続く…これが過敏性腸症候群(IBS)の原因です。

 

過敏性腸症候群:IBSのタイプと症状

IBSのタイプは大きく3タイプ

■下痢型
突如として腹痛や下痢が起こる。突然の便意が心配で外出が困難になり、その不安がさらに病状を悪化させる。
男性に多く見られます。

■便秘型
腹痛や慢性的な便秘で、便はコロコロとした硬い便で、排便が困難。
女性に多く見られます。

■交代型
下痢型と便秘型を交互に繰り返します。
 

主な症状

・腹痛が1ヶ月以上続く
・腹部に差し込むような痛み
・お腹がゴロゴロなる(復鳴)
・1日3~4回以上の下痢、水様便
・膨満感
・ガスが溜まる、頻繁に出る
・便秘(週2回以下の排便しかない)
・排便時に残便感がある
・睡眠中は症状がない

このような症状があるにもかかわらず、検査をしても腸に炎症などの異常は見られず、長期に腹痛や排便の障害があるときは過敏性腸症候群(IBS)と考えられます。IBSは子どもにも増えています。
その他の症状はストレスによる自律神経の乱れにより、頭痛、疲労感、不安感、抑うつ、集中力の低下など、消化器以外の症状もみられることがあります。


 

大腸がん、潰瘍性大腸炎、クローン病の可能性に注意

前述した症状の他に

・腹痛で夜間に目が覚める
・体重減少
・血便

などが見られたら、大腸がん、潰瘍性大腸炎、消化管に潰瘍ができるクローン病などの可能性もあります。
腹痛や排便の異常に加え、このような症状が見られたら早めに受診しましょう。
 

過敏性腸症候群の検査方法と治療法

検査方法

問診にて、自覚症状や生活スタイルなど、詳しい状況を医師に伝えます。
便潜血検査、血液検査、腹部X線検査、大腸内視鏡検査などにより、腸に器質的な異常がないか調べます。
 

治療法

■腸の機能を整える食事療法
○バランスのよい食事を3食きちんと食べましょう
○食物繊維の多い野菜や乳酸菌などを多く摂るように
○便秘型の人は、1日1.5~2ℓの水を摂取しましょう
○下痢型の人は、脂っこいもの、香辛料、冷たい物、乳製品、アルコールを控えましょう

■運動療法、生活習慣の改善
○汗ばむ程度の適度な運動を行います
○十分な睡眠
○気分転換やリラックスできる時間を作りましょう

■薬物療法
下痢型や便秘型、交代型の症状に合せた適切な治療薬を処方します。
近年、下痢症状について、腸内セレトニンに注目した「セロトニン3受容体拮抗薬」が高い効果をあげています。
「セロトニン3受容体括抗薬」は、セロトニンが腸のセロトニン受容体と結合するのを防ぐ役目をして腸内セロトニンを安定させ、下痢や腹痛を抑えます。

■心理療法
薬による治療は有効ですが、あまり薬に頼りすぎると自然な排便ができなくなってしまうこともあります。
今、根本的に自分が何に緊張し、プレッシャーや不安を感じているかなど、具体的に身近な人と話し合ったり、カウンセリングなどを通して心のケアや思考習慣の改善をしていくことも大切です。
心の問題はすぐに解決できない場合もあるため、食事、運動、薬物療法と併用して治療しましょう。

 

さいごに

腸の不調は生活に大きな影響を与えます。ストレス社会といわれる中で、強いストレスに対して体には様々な症状(ストレス反応)が起こるのです。
無意識に起こっている体の不思議なメカニズムのひとつとして、まずは腸と脳の関係を知り、過敏性腸症候群(IBS)は若い人に増えているため、心と
腸内環境を整える生活を心がけたいですね。

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