頭痛の種類
頭痛が起こる日が続いてなかなか治らないという場合は、慢性的な頭痛になっているおそれがあります。
日本人の約4人に1人が頭痛に悩んでいるという報告があるほど、頭痛はありふれた症状です。
ひとことで頭痛といっても頭痛には種類があり、大きく「一次性頭痛(慢性頭痛)」と「二次性頭痛」の2つに分けられます。
分類 | 定義 | 代表的な種類 |
一次性頭痛(慢性頭痛) | ほかの病気がない慢性的な頭痛 | 緊張型頭痛・片頭痛・群発頭痛など |
二次性頭痛 | ほかの病気が原因で起こる頭痛 | 髄膜炎・慢性硬膜下血腫など |
頭痛の80〜90%が「一次性頭痛(慢性頭痛)」であり、痛みによって日常生活に支障が出ることがあるものの、命に関わることはありません。それに対して「二次性頭痛」は命に関わる危険性がある頭痛です。
頭痛の種類によって対処法は異なり、間違った対処をすることで症状を悪化させたり、命の危険につながるおそれもあるため、自分がどの種類の頭痛に当てはまるかを知ることが大切です。
それぞれの特徴から自分の頭痛の種類を知って、適切な対処をしましょう。
緊張型頭痛
一次性頭痛のうちの約8割が緊張型頭痛で、日本人で頭痛を訴える人の原因として最も多いものです。
痛む場所
緊張型頭痛は頭全体に痛みを感じることが多いですが、首筋から後頭部にかけて痛むこともあります。
緊張型頭痛の症状
頭全体が締めつけられるような圧迫されるような痛みが長く続くことが特徴です。ズーンと頭が重い感じがします。
頭痛とともに首や肩のコリをともなうことがあります。
緊張型頭痛の原因
長時間同じ姿勢やパソコンでの作業を続けること、精神的なストレスにより筋肉が緊張することが原因になります。
体の筋肉が緊張すると血管を圧迫して血行が悪くなり、老廃物である疲労物質が蓄積されます。それが痛みとなって現れるのです。
緊張型頭痛の対処法
■温め、コリをほぐす
緊張型頭痛では温めることや、コリをほぐして血行を良くすることが有効です。
ゆっくりお風呂につかったり、首や肩をホットタオルで温めると良いでしょう。
長時間同じ姿勢で作業をするときやパソコン作業をするときは、こまめに休憩を取ってストレッチをします。エスカレーターなどではなく、階段を使用するなど適度な運動もするように心がけましょう。
これらは緊張型頭痛の原因であるストレスの解消にもつながるため、積極的に日常生活に取り入れてましょう。
■市販薬を使用する
日常生活でコリを取ることが第一ですが、痛みがなかなか取れずにつらい場合は市販の頭痛薬や鎮痛剤で痛みを緩和することができます。
頭痛に効く市販薬については関連記事をごらんください。
片頭痛
片頭痛は男性よりも女性に多い頭痛です。
痛む場所
頭の片側だけが痛むことから片頭痛と名付けられましたが、実際には両側に痛みを訴える人が4割ほどいることがわかっています。
こめかみや前頭側頭部(おでこや頭の両側)が痛みます。
片頭痛の症状
片頭痛の症状の特徴は、下記があげられます。
・脈拍に合わせてズキンズキンと痛む
・症状がひどいと吐き気がする
・普段は気にならないほどの音や光、においに敏感になる
・動くと痛みが強くなる
片頭痛の特徴として、予兆が起きる方もいます。
予兆で起こる症状は、あくび・疲労感・首のコリ・集中できなくなるなどがあります。また、視界にジグザグの光が見える現象が起こることがあります。
片頭痛の原因
頭の血管が拡張して炎症することによって神経が刺激されて頭痛が起こります。
片頭痛を起こすと考えられている原因はさまざまあります。
・寝すぎや睡眠不足など生活習慣の乱れ
・ストレス
・生理によるホルモンバランスの乱れ
・熱いお風呂やサウナ
・アルコールやチョコレートなどの食品
・片頭痛持ちの家族がいる
ストレスの場合は、ストレスを感じているときよりもストレスから解放されて落ち着いたときに起こることが多い傾向があります。
生理前の頭痛に関して詳しくは関連記事をごらんください。
片頭痛の対処法
■安静にする
片頭痛は血管の拡張によって起こることが多いため、温めて血行が良くなると逆に症状が悪化するおそれがあります。
激しい運動や熱いお風呂、マッサージは避け、光や音を避けて安静にしましょう。頭を冷やすのも効果的です。
■片頭痛を引き起こす原因になる食品を避ける
片頭痛を引き起こす原因と考えられているのは、アルコールやカフェイン、チーズなどです。
しかし、片頭痛の要因となっていると自覚がない食品に関しては、過度に避ける必要はありません。痛みがある場合は一度とることを止めて様子を見るなど、検証してみると良いでしょう。
片頭痛の原因になるとされる食品やおすすめの食べ物について、詳しくは関連記事をごらんください。
■病院を受診する
片頭痛は軽度であれば市販の頭痛薬でも痛みを緩和できますが、症状が強い場合は市販薬ではあまり効果が期待できません。
重い片頭痛にも効果があるトリプタンという薬がありますが、市販では販売されておらず医師による処方が必要です。症状が長引く方や痛みが強い場合は病院を受診して治療を受けると良いでしょう。
群発頭痛
群発頭痛は、片頭痛とは異なり男性に多い傾向がありましたが、近年は生活習慣の変化によって女性の患者も増えているという報告が出ています。
痛む場所
群発頭痛は片側に痛みが起こることが多く、頭痛と同じ側の目の奥が痛みます。痛みは目の奥だけでなく、目の周りやこめかみ、上あごなどにも痛みが広がる場合があります。
群発頭痛の症状
群発頭痛は一定期間、毎日決まった時間に激しい痛みが起きることが特徴です。その期間は2〜4週間、人によっては数カ月にわたる場合もあります。痛みの王様といわれるほどのつらい痛みで、落ち着いていることができなくなってしまう傾向があります。
群発頭痛の原因
群発頭痛を引き起こす要因として、アルコール・タバコ・気圧の変化・ストレスや睡眠不足などによる体内時計の狂いなどがあげられますが、明確にはわかっていないのが現状です。
群発頭痛の対処法
自分でできる対処法としては下記があげられます。
・規則正しい生活をして、自律神経や体内時計を乱さないようにする
・アルコールやタバコを控える
・頭痛発作が起きそうになったら深呼吸をする
・入浴後に痛む場合はシャワーだけにする
一方病院での治療は、薬を使用する薬物治療や生活指導、酸素の吸入などが中心になります。
群発頭痛の症状の特徴や治療法などについて、詳しくは関連記事をごらんください。
頭痛をともなう危険な病気
ほかの病気が原因で起こる二次性頭痛は、命に関わる病気が隠れている恐れがあります。
髄膜炎
ウイルスや細菌が髄膜の中で炎症を起こし、高熱をともなって首筋が硬直したり後頭部が痛むなどの症状が現れます。
意識障害やけいれんが起こることもあります。
慢性硬膜下血腫 (こうまくかけっしゅ)
頭をぶつけたり軽い衝撃があったあと徐々に出血し、1〜数か月後に血のかたまりが脳を圧迫して頭痛を引き起こします。
高齢者の場合は痴呆のような症状や麻痺をともなうことがあります。
そのほか、頭痛に吐き気や嘔吐などがともなう場合はくも膜下出血や脳出血などが考えられます。詳しくは関連記事をごらんください。
こんな頭痛はすぐに病院へ!危険な頭痛の見分け方
命の危険がある病気の症状として起こる二次性頭痛は、そのままにしておくと取り返しのつかないことになる場合があります。
下記のような症状がみられた場合は、すぐに病院を受診してください。
・突然の頭痛
・今まで経験したことない激しい頭痛
・起こる頻度と痛みの強さが日ごとに強くなる頭痛
・50歳以降に初めて起こる頭痛
・しびれや麻痺、けいれんなどをともなう頭痛
・発熱や首の硬直、吐き気や嘔吐をともなう頭痛
頭痛で病院を受診する際の診療科については関連記事をごらんください。
おわりに
間違った対処法をすると悪化したり危険な場合がある頭痛。
緊張型頭痛は緊張をほぐすなどのセルフケアが大切ですが、それ以外の頭痛の場合には自己判断ではなく病院を受診し、適切な治療を受けましょう。