「何となく胃がもたれる」
「口に酸っぱいものがあがってくる」
「キリキリと痛む」

など、「胃のトラブル」は日常よく起こることです。

しかし、それらの症状を引き起こす原因を、あなたは理解していますか?
いつまでたっても治らない・・・と思っている方は、もしかしたら薬の選び方や対処法が間違っているかもしれませんよ。

今回は「胃もたれ」と「胸焼け」の原因の違いと、薬選びのポイントを詳しく解説。
正しいケアであなたの大切な胃を守ってください。

 

「胃」の基本知識:胃の働きについて

胃は食道と十二指腸のあいだにある袋状の臓器。
位置は、12対ある肋骨の11対目付近からおへその数センチ上まであり、食べ物が入ると1.5~2リットルほどに広がります。

消化では「タンパク質の分解」に関わり、「胃液の分泌」と「消化(ぜん動)運動」がバランスよく働くことで、スムースに消化が進んでいきます。

「胃液」のおもな成分と働き

胃液はph1という強酸性のため「胃酸」ともよばれます。

・水分:胃液の99%を占める
・消化酵素:タンパク質分解酵素ペプシンが含まれる
・塩酸:食べ物と一緒に入ってきたウイルスや細菌の増殖を抑える、消化を助ける
・粘液:胃粘膜の表面を多い、塩酸で胃壁が荒れるのを防ぐ

食道から胃に食べ物が入ると、運動や分泌をつかさどる迷走神経が刺激され消化(ぜん動)運動が始まります。
これにより胃液と食べ物が混ざり合い、どろどろの粥状になったものが十二指腸に送られ、消化が進んでいきます。

 

「胃もたれ」と「胸焼け」はメカニズムと対処法が違う!

胃の不快感には「胃もたれ」と「胸焼け」があります。
あなたは、この違いがわかりますか?

胃もたれはみぞおち部分の不快感で、胸焼けはもう少し上の部分がモヤモヤする感じ・・・ 
つまり場所の違い? このように思われている方が多いかもしれません。

じつは、「胃もたれ」と「胸焼け」は発症のメカニズムと対処法が全く違うトラブルなのです。

「胃もたれ」は胃の疲れと食べ物の停滞が原因

胃が重苦しい、むかつく、食欲不振などの「胃もたれ」は、揚げものを食べたときや、食べ過ぎたとき、お酒の飲み過ぎたときなどに感じることが多いのではないでしょうか。

原因は「胃の疲弊」。胃の働きが鈍り、胃酸が出にくくなったり消化運動が停滞するために、食べ物が胃に溜まってしまうことで起こります。

その他、ピロリ菌の感染やストレスによる自律神経の乱れでも胃がもたれます。

「胃もたれ」の薬と対処法

胃もたれは、胃が疲れて働きが鈍った状態なので、胃の働きを活発にし、消化を助ける薬や対処法を選びましょう

★薬は「健胃消化剤」を
胃の働きを活発にして食欲を増進させたり、胃の不快感を和らげる「健胃剤」に、消化酵素を補助的に配合したものが「健胃消化剤」です。

<配合されている薬の一例>

  • 苦味剤:苦味の強い生薬によって舌の味蕾を刺激し、消化液の分泌を促す
  • 芳香生薬:嗅覚の刺激で胃液の分泌を促し、胃の活動を活発にする
  • 酸剤:酸性度の高い薬を薄めたもので、胃の粘膜を刺激し胃液の分泌を促進。胃の中で食べ物が異常に発酵するのを防ぐ働きもある。
  • 重曹:胃の中で炭酸ガスを発生させて粘膜を刺激。
  • 消化剤:食物の消化をよくして食欲を高める。

★日常生活でのケアポイント
疲れた胃を休ませるには、消化しやすく、胃に負担をかけない食べ物を摂ることが大切です。
うどんやお粥、やわらかく煮た煮物などで、脂質や刺激物は出来るだけ避けましょう。
また、やわらかい食べ物でも「よく噛む」ことを忘れずに。
噛むことで唾液が出て、消化を助けます。

さらに、自律神経のなかの副交感神経が優位になると胃の消化運動が活発になります。
ストレス解消をはかったり、温かいものを食べる、ノンカフェインのハーブティーなどもおすすめです。

「胸焼け」は胃酸過多と胃酸の逆流が原因

胸の内側がピリピリする、胃酸があがってくるような感じがする、胸が締めつけられるような痛みがあるなどの「胸焼け」は、朝起きたときや空腹時などに強く感じることが多い症状です。

これらは胃酸の出過ぎや、胃と食道のつなぎ目がゆるんで胃の内容物が食道に逆流することで起こります。

最近増えている「逆流性食道炎」はこの胸焼けを慢性的に感じるもので、場合によっては背中の痛みも伴うことがあります。

「胸焼け」の薬と対処法

胸焼けは胃酸が出過ぎていることと、胃酸によって胃粘膜が刺激を受けることで引き起こされますので、胃酸の分泌を抑え、粘膜を保護する薬や対処法を選びましょう。

★薬は「制酸剤」や「H₂受容体拮抗剤(H₂ブロッカー)」を
制酸剤:胃酸を中和させ、酸性で消化力の強いペプシンの作用を軽減させる
H₂ブロッカー:ヒスタミンH₂(胃酸の分泌を促す物質)の働きを強力に抑えたり、止血作用のある薬。消化性潰瘍のほか、逆流性食道炎の治療などに用いられる。

★日常生活でのケアポイント
胃酸の出過ぎを防ぐには、暴飲暴食を慎み、アルコールなどの刺激物も摂り過ぎないことが大切です。
また胃酸の逆流を防ぐために、枕を少し高めにして寝たり、姿勢を正す(猫背はNG)などの工夫をしましょう。
胸焼けが起きたときの応急処置として、朝起きたときや空腹時に常温の牛乳や水を飲んで胃液を薄めるのも効果的です。

 

新説!「胃もたれは胃が空っぽでも起きる」

胃もたれは、胃の働きが鈍り、食べ物が胃に停滞したときに起きるのが一般的。

しかし最近「胃が働き過ぎて、胃の中が空っぽでも胃もたれが起きる」という、これまでと全く逆のパターンがあることがわかってきました。

新発見の胃もたれメカニズムは「働き過ぎ」がカギ

胃に入った食べ物は、強い酸性の胃酸によって消化され、小腸に送られます。
小腸ではアルカリ性の物質が分泌されるため、胃から送られた内容物は自然に中和。
ところが胃が働き過ぎて胃酸が多く出過ぎたり、一度に多量の食べ物が小腸に送られると中和が間に合わなくなります。

すると(たとえ胃の中に食べ物がなくなっていても)小腸から胃に「これ以上食べ物を送ってくるな!」という信号が送られ、同時に脳にも不快感が伝わります。
これが「胃もたれ」となって感じられるのです。

★胃の働き過ぎで起きる胃もたれには「制酸剤」の薬を

胃の働き過ぎで胃酸過多となった場合の胃もたれには、胸焼けのときと同じように「制酸剤」の薬を用います。
実際に、このタイプの胃もたれでは胸焼けの症状も一緒に見られることが多いため、症状をよく見極めて薬を選ぶことが大切です。

 

自分の体のサインに敏感になろう!

ひと言に「胃の不快感」といっても具体的な症状はさまざまです。
不快感や痛みは、体から出されたSOSのサイン。
どこが、どんな時に、どのように痛むのか、日頃からしっかりと観察することが、的確な対処につながります。

尚、市販薬を飲んでも症状が改善しなかったり悪化した場合は、専門の医師による診察を受けることをおすすめします。
その際も、日頃の症状についてのメモがあると役立ちますよ。

(image by photo-ac )
(image by photo-ac )
(image by photo-ac )