潰瘍性大腸炎とは

潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)とは、大腸の粘膜にびらんや潰瘍などの炎症が出来てしまう、大腸の炎症性疾患です。
年齢問わず発症しますが、近年特に20代~30代の人に多くみられ、また患者数も年々増加しています。
平成25年の調査では国内の患者数は16万人以上にのぼり、人口10万人あたりに100人ほど患者がいるという計算になります。

はっきりとした原因が解明されていないため、1973年にいわゆる難病と呼ばれる「特定疾患」に指定されました。

近年、芸能人や著名人なども潰瘍性大腸炎であると公表することが多く、患者が増加している背景とともに画期的な治療法や新薬の開発が望まれています。

クローン病との違いは?

大腸性潰瘍炎もクローン病も、ともに消化器官に炎症が発生する疾患です。

クローン病は10代~20代に多く発症し、理由は分かっていませんが男性の方がかかりやすい傾向にあります。
潰瘍性大腸炎が大腸のみに炎症ができるのに対し、クローン病は小腸や大腸だけでなく口から肛門まで消化にかかわるすべての器官に炎症や潰瘍が出ることがあります。

どちらも難病に指定されており、2つの疾患を併発するケースもあります。

潰瘍性大腸炎の原因


潰瘍性大腸炎の原因は、現在明らかになっていません。
腸内細菌の関与や自己免疫反応の異常、あるいは食生活の変化の関与などが考えられていますが、まだ原因は不明です。
しかし最近では、原因や病状を悪化させる可能性があるとされるいくつかのことが指摘されています。

遺伝

家族内で発症するケースも認めらており、何らかの遺伝的な要因が関与している、という考えが現在一般的になっています。
しかし、単一の遺伝子によって遺伝する病気ではなく、潰瘍性大腸炎の親から生まれた子どもが必ずしも同じ病気を患う可能性は極めて少ないといえます。

確かに遺伝も原因のひとつですが、そのほかにもさまざまな環境因子が複雑に絡み合った結果発症すると考えられています。

ストレス

潰瘍性大腸炎は、一度は症状が落ち着いたのにストレスにより再発するということが多く報告されており、発症の原因や悪化の要因としてもストレスが深く関わっていると考えられています。

大腸が炎症を起こす理由に免役機能の異常が挙げられており、ストレスはこの免疫機能に作用してしまうこともあるといわれているためです。
また、一度潰瘍性大腸炎の症状である下痢などを経験すると、いつ再発するかと常に不安にかられ、それがストレスになるために症状が悪化してしまう、ということもあります。

食生活

日本よりも欧米に患者数が多いことや、ここ20年ほどで患者数が増加していることなどから、欧米型の食生活が原因のひとつではないかと考えられています。

アルコールの過剰摂取や、辛いものなど刺激物の摂取、ファストフードの食べ過ぎなど、腸に負担をかける食生活が潰瘍性大腸炎を引き起こす可能性は否定できません。
また、発症したあとも症状が重い場合は食事制限と並行しての治療が必要になります。

潰瘍性大腸炎の症状:初期症状や完治について


潰瘍性大腸炎の主な症状は以下の通りです。

・下痢、下血を伴う下痢
・下血・血便
・粘血便(血の混ざった柔らかい便)
・腹痛
・微熱

下痢などの症状は、一度発生するとしばらくは収まらず、またすぐに再発するため、症状が重い場合は常にトイレの近くにいないと不安になってしまうことが多いです。

軟便の初期症状に注意!

潰瘍性大腸炎の主な初期症状は「軟便」です。
下痢のイメージの強い潰瘍性大腸炎ですが、初期のうちは便が柔らかくことが多いため、大腸炎であると思わない、という場合も多くあります。

症状の経過には個人差がありますが、しばらく軟便が続いたあと、下痢症状や、便に血や粘液・膿が混ざるといった症状が出ます。

便に違和感を感じたら、毎日の便の状態をよく観察し色や形状などを確認するようにしてください。
下痢が長く続く場合や、便の色が黒っぽい場合、血が混じる場合などは早めに病院へ行きましょう。

伴いやすい合併症は?

潰瘍性大腸炎の症状が進むと、腸管以外にも全身に影響がある合併症が起こることがあります。
併発しやすい病気の一部は以下の通りです。

■関節炎
合併症の中でも発症頻度が高いものです。
主に膝や足首など下半身の関節が痛むことが多く、腸を傷つける免疫機能の異常が関節にも作用するために痛む、という可能性が考えられています。

■口内炎
口内の、特に頬の粘膜に炎症が起こります。
周辺が赤く腫れ、舌や食べ物が触れると強い痛みが起こることが多いです。

潰瘍性大腸炎は長く付き合う病気

原因が解明されていないため、潰瘍性大腸炎が完治する可能性は高くありません。
多くの場合、5年ほど症状と付き合っていく必要があり、長い人では20年ほど症状が続きます。

一度症状が落ち着いても生活環境の変化やストレスで再燃することも多く、それぞれが自分の体質と向き合いつつ生活していくことになります。

一生治らないというと不安に思う人も多いかと思いますが、生存率は健常者と比べても差はなく、潰瘍性大腸炎が原因で死亡することは極めてまれだといわれます。

また、潰瘍性大腸炎と診断されてから、結婚・出産などを行った人も多く、体質にあった薬や治療法を見つければ普通の人とほぼ変わらない生活をすることも可能です。
また、職場の理解を得られれば仕事を続けることもできるそうです。

原因や悪化の要因と言われている1つとしてストレスがあるため、いたずらに不安にかられたりネガティブな気分になると症状の悪化を招くことにもなります。
医師や家族とよく相談しつつ、できるだけ前向きに治療に取り組んでいきましょう。

潰瘍性大腸炎の分類:重症度の基準は?

潰瘍性大腸炎は、病変の拡がりや病期など、いくつかの基準によりそれぞれ分類され、特に重症度の分類が一定以上の場合は社会保障制度により医療費の助成を受けることができます。

今回は、分類の中でも「臨床的重症度による分類」と「臨床経過による分類」について詳しく見ていきましょう。

臨床的重症度による分類

重症度を基準にした場合、軽症・中等症・重症の3つ分類されます。
このうち、中等症は軽症と重症の間という基準で分類されるため、軽症と重症の基準について見ていきます。

  重症 軽症
排便回数(1日) 6回以上 4回以下
肉眼で確認できる血便 頻繁 時々あり
発熱 37.5℃以上 37.5℃未満:発熱なし
脈拍数の増加 90/分以上 90/分未満:頻脈なし
貧血 Hb10g/dL以下 Hb10g/dL以下 の貧血がない
赤血球の沈降速度 30mm/h以上 正常

■劇症の基準
重症の基準全て満たしたうえで以下のような症状がある場合、「劇症」と診断され、症状の経過により「急性劇症型」と「再燃劇症型」に分類されます。

・1日に15回以上の下血を伴う下痢が続いている
・38℃以上の持続する高熱
・10,000/mm3 以上の白血球増多
・強い腹痛

臨床経過による分類

発症してからの症状の経過により、「初回発作型」「再燃寛解型」「慢性持続型」「急性劇症型の」4つに分類されます。

■初回発作型
最初に発症したあと、再燃しない場合は初回発作型に分類されます。
しかし、将来再燃し、再燃寛解型になる可能性が高いです。

■再燃寛解型(さいねんかんかいがた)
発症したあと、症状が治まったり再発したりを何度も繰り返す場合は再燃寛解型に分類されます。
潰瘍性大腸炎のうち、この再燃寛解型が最も多く、再燃までの期間や時期、きっかけには個人差があります。

■慢性持続型
6か月以上も症状が落ち着かず、下血が続く場合は慢性持続型に分類されます。
慢性持続型に分類された場合、手術適応になることが多くあります。

■急性電撃型
きわめて激烈な症状を急激に発症した場合、急性電撃型に分類されます。
中毒性巨大結腸症や敗血症(はいけつしょう)、腸などに穴が開く穿孔(せんこう)などの合併症を伴うことが多いです。
急性電撃型に分類された場合も、手術適応になることが多いです。

特定疾患の申請について

潰瘍性大腸炎と診断され、重症度が一定以上、または軽症ではあるが高額な医療を継続して行う必要がある場合は、国から医療費の助成を受けることが可能です。

申請は区市町村の窓口で行われており、病院でもらう診断書のほかにも住民票などの各種書類が必要になります。
また、認定されても助成を受けられる期間は1年で、継続する場合は更新手続きが必要になります。

特定疾患の申請をしたい場合は、まず最寄りの保健所に行きましょう。
保健所の難病課で、「特定疾患受給者」の申請用紙をもらい、主治医に診断書などを書いてもらい、保健所に提出するという流れになります。
また、病院で申請書や診断書を書いてもらうには、およそ3000円~5000円ほどかかるため、申請については主治医とよく相談して行うようにしてください。

■認定の基準について
<重症度による認定>
重症度については申請書を出してみないとわからない部分があり、申請を出したからといって必ず助成を受けられるとは限りません。
助成を受けられるほどの症状かどうかは一度医師に相談してみると良いでしょう。

<医療費による認定>
医療費については月ごとの医療費の総額が33,330円を超える月が1年に3回以上ある、という点を基準にして認定されます。
医療保険の自己負担割合が3割の場合は、自己負担する金額が10,000円以上の月が1年に3回以上ある場合となります。

食事について:良い食品・悪い食品やレシピ本を紹介!


消化管である大腸の疾患であるため、薬物療法と同時に食事療法を行っていく必要があります。

食事療法というと厳しい制限を想像し憂鬱になる人も多いかと思いますが、必ずしも厳しい制限や節制をしなければいけないというわけではありません。
厳しい食事制限によりストレスがたまり症状が悪化するケースもあるため、できる範囲で食事に気を付けていきましょう。

また、食べると症状が悪化する食べ物には個人差があります。
たとえば、一般的に潰瘍性大腸炎の場合はヨーグルトなどで乳酸菌をとると症状が改善するといわれますが、中には乳酸菌により下痢が悪化するという人もいるようです。
自分の体に合った食品を少しずつみつけ、潰瘍性大腸炎と上手につきあっていきましょう。

避けるべき食品

腸にダメージを与えるような食品をできるだけ食べないことが、症状の鎮静化につながります。

■油っぽいもの
油分が多い食べ物は消化に時間がかかり、腸に負担をかけるためできるだけ控えたほうが良いといわれています。
魚の油は問題ないですが、肉類などの動物性の油は症状を悪化させる原因になります。
日ごろから脂っぽいものが好きだという人は、急にやめようとするとストレスになってしまうため、医師と相談しながら少しずつ量を減らしていきましょう。
また、料理に使う油をリノール酸のものからリノレン酸のものに変えるなども対策として有効です。

創健社 えごま一番 (しそ油) 270g

しそ油には、腸の炎症の原因物質を抑えるといわれるα-リノレン酸が多く含まれています。
潰瘍性大腸炎の症状にも働きが期待できるほか、その他のアレルギー症状にも期待できます。

■食物繊維の多いもの
通常は便秘解消など腸内環境を整えるのに良いとされる食物繊維ですが、潰瘍性大腸炎の場合は腸が刺激されて症状が悪化してしまいます。
食物繊維はいわばタワシのように腸を刺激し排便を促す作用があるため、潰瘍性大腸炎の場合は逆効果といえます。
食物繊維の多い食品は以下の通りです。

・いんげん、あずきなどの豆類
・わかめや昆布などの海藻類
・エリンギ、えのきなどのきのこ類
・ごぼう
・柿

■辛いものなど刺激物は危険
通常でも辛いものを食べ過ぎるとお腹が緩くなる、という人は多く、そのため潰瘍性大腸炎の場合に辛いものを食べると炎症を悪化させてしまいます。
香辛料やスパイスなどを含む食べ物もできるだけ避けたほうが良いでしょう。

■牛乳などの乳製品
今までに牛乳などでお腹をこわしたことがある場合、牛乳は飲まないようにしましょう。
牛乳に含まれる乳糖をうまく分解することができず、下痢を悪化させる原因になります。
ヨーグルトは乳酸菌が乳糖を分解しているため、問題ありません。

■アルコール・炭酸飲料
アルコールや炭酸飲料は腸を刺激し炎症を悪化させます。
できるだけ避けるようにしましょう。

■カフェインを含むもの
コーヒーやチョコレートなども腸を刺激し炎症を悪化させる原因になります。
カフェインレスのコーヒーを選ぶなど、工夫していきましょう。

■ジャンクフード
ファストフードやスナック菓子、即席麺などいわゆるジャンクフードと呼ばれるものは、油分や塩分も多く腸を刺激してしまいます。
できるだけ避けるようにしましょう。

食べるべき食品

潰瘍性大腸炎の食事療法には、できるだけ高たんぱく食物繊維や油分が少ないものを食べるようにしましょう。
たんぱく質は傷口の修復に働く栄養素であるため、炎症を抑えるためにも積極的にとりたいですね。
症状が落ち着いているときであれば、油分に気を付けつつ外食をすることも可能です。

■魚は積極的に食べよう!
油分が少なくしっかりタンパク質をとれる魚は、日常生活においても積極的に食べたい食品です。
とくに、粘膜の修復に効果があるといわれているEPAや葉酸を含むハマチやイワシ、サバなどの青魚はおすすめです。

■ヨーグルトは効果的!
乳酸菌の力で腸内環境を整える効果のあるヨーグルトもおすすめです。
その際、冷たいままだと胃腸に刺激を与える可能性があるため、できるだけ常温のものを食べるようにしましょう。

■エネルギー補給にはバナナ!
エネルギーも多く、柔らかいため腸にも優しいバナナはおすすめの食材です。
さらに、下痢の抑制や腸内環境の改善、粘膜の修復に効果的なペクチンを含んでいるため、症状の改善にも効果的なのではと言われています。

レシピ本を活用しよう!

潰瘍性大腸炎の患者さんに向けたレシピ本が数多く発行されています。
腸に刺激を与えない食材で代用する料理法など、さまざまなレシピが掲載されているので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

安心レシピでいただきます!―潰瘍性大腸炎・クローン病の人のためのおいしいレシピ125

潰瘍性大腸炎やクローン病の患者向けのレシピ集です。
中華料理やカツサンドなどのレシピも掲載されており、食事制限中でも満足感のある食事が食べたい人の味方です。

安心レシピでいただきます!(おべんとう・パーティ篇)―潰瘍性大腸炎・クローン病の人のためのおいしいレシピ111

上記のレシピ本の第2弾です。 
お弁当用の料理やパーティメニューなどが掲載されており、潰瘍性大腸炎だけど大勢の人と食事がしたい!という場合などに活用できます。

クローン病・潰瘍性大腸炎の安心ごはん―「おいしく食べたい!」をかなえる (食事療法はじめの一歩シリーズ)

潰瘍性大腸炎などで食事療法を始める人向けのレシピ本です。
おいしさをあきらめない、安全なレシピが掲載されています。 

レトルト食品も充実!

潰瘍性大腸炎やクローン病の患者さんのために、脂肪や繊維を少なくするよう工夫して作られたレトルト食品が販売されています。
ラインナップも、ハンバーグやハヤシソース、ラーメンなど、食べたくても食べられない洋食が多いため、食事療法をしている人の強い味方です。

まんぞく君 パックおかず (チキンカレー)

外部リンク:まんぞく君 WEB SHOP

タバコに効果があるってホント?!

潰瘍性大腸炎の患者さんを見た場合、喫煙者と非喫煙者では喫煙者のほうが発症確率が低くなっています。
このことから、たばこが潰瘍性大腸炎の治療に効果的なのではと研究がされています。

実際に1994年には、皮膚からタバコの成分であるニコチンが吸収される貼り薬を用いた研究が行われています。
この研究によると、ニコチンが吸収される貼り薬を使用した場合と使用しなかった場合では、使用した場合のほうが8人多く症状の軽快が見られたということです。

しかし、​この論文を発表したグループはたばこ産業から資金をもらっていたことが明らかになっており、現在ではこの発表については否定されています。

また、たばこにより症状が悪化した例もあるため、安易な喫煙は危険だといえるでしょう。

治療方法:よく使われる薬や手術について


潰瘍性大腸炎と診断された場合、症状を軽くするための対処療法がとられます。
対処療法には薬による治療と手術による治療がありますが、多くの場合は薬による内科的治療が行われています。

■検査方法は?
潰瘍性大腸炎の疑いがある場合、まずは問診により日ごろの症状を確かめるところから検査は始まります。
その後、血液検査や検便が行われ、さらにX線検査や内視鏡検査が行われます。
内視鏡検査が行われる場合、医師から1日ほどの検査入院を勧められることもあります。

基本は薬物治療

原則として薬による内科的治療が行われます。
原因を取り除き完治することはできませんが、腸の炎症を抑える薬は存在します。
薬によりうまく症状をコントロールできれば、病気にかかる前と変わらない生活を送ることができるようになることも少なくありません。

内科的治療には、以下のような薬が使われることが多いです。

■ステロイド薬
代表的なものはプレドニン(成分名:プレドニゾロン)です。
経口薬だけでなく静脈注射などの剤形もあり、強力に炎症を抑える効果があります。
再燃を予防する効果は認められていませんが、急激な症状の悪化などには効果が期待できます。

プレドニン錠5mgの添付文書
ミナカラお薬辞典:プレドニン錠5mg

■アサコール
メサラジンという、従来から治療に使用されていたサラゾスルファピリジンを副作用が軽減するように改良した成分を主成分とする薬です。
持続する炎症を抑える効果があり、下痢や下血、腹痛などの症状を改善する効果があります。
再燃を予防する効果もあるため、広く使用されています。

アサコール錠400mgの添付文書
ミナカラお薬辞典:アサコール錠400mg

■レミケード
TNFαという炎症反応にかかわる物質の働きを抑える抗体製剤です。
注射薬であり、8週間ごとの点滴投与がとられます。

■漢方薬
潰瘍性大腸炎の治療には漢方薬が使用されることもあります。
免疫機能の誤りを正しく整える効果のある薬や、出血や下痢の症状を抑える薬などが使用されます。
使用されることがある薬は以下などです。

三物黄芩湯(さんもつおうごんとう):炎症を抑える効果がある。
槐角丸(かいかくがん):下血を抑える効果がある。
人参湯(にんじんとう):下痢を抑える効果がある。

現在漢方薬を処方されておらず、興味があって服用してみたい場合は必ず事前に主治医と相談するようにしてください。
漢方薬は副作用が少なく安全な薬といわれていますが、体質によっては症状を悪化させる可能性もあります。

外科的治療

症状の経過により慢性持続型や急性電撃型に分類された場合や、内科治療が無効な場合などは手術による治療が行われることもあります。

外科手術は主に大腸を全摘出する手術で、その際には小腸を用いて人工肛門を作る場合があります。
また、近年は小腸で便をためる袋を作成することもあり、この手術の場合、術後は通常とほとんど同じ生活を送ることができます。

■新しい治療法:便移植
2015年4月にカナダで、健康な人の便を腸内に移植する治療の有効性が報告されました。
この報告の元となった検証では、健康な人の便を肛門から1回につき50ml注入する、という方法で便移植が行われています。

気になる結果ですが、便移植を受けていない人は5%の確率で回復したのに対し、便移植を受けた人は24%の確率で回復したそうです。
つまり、便移植をすると、しない場合より17%も回復する確率が上がるということです。

現在、日本でも臨床研究が進んでおり、その有効性は順調に証明されています。
便移植により潰瘍性大腸炎が治る日も近いかもしれません。

運動は可能?

運動や筋トレの可能・不可能については、症状の具合によって異なります。
しかし、症状がそこまで重くなければ軽い運動なら問題なく、体を動かすことでストレスを発散できる場合は推奨されることもあります。

ただし、あくまでストレスを発散する目的であるため、体に過度に負担をかける激しい運動や、無理に体を動かすことのないようにしましょう。
体を動かして症状が悪化したと感じたらできるだけ安静にし、医師に相談するようにしましょう。

入院は必要?

症状が重症であり、高熱や意識の混濁などが見られる場合は入院する必要があります。
その他にも急激に症状が悪化した場合などは医師から入院を勧められることがあります。

また、治療薬にステロイド剤を使用した場合、最初の3週間ほどは薬の副作用を予防する意味で入院を勧められる場合があります。

しかし、症状が落ち着けば自宅で療養することが可能であり、現在も多くの患者さんが通院しながら自宅で薬物療法などを行っています。

おわりに

難病に指定され、まだまだ分からないことも多い大腸性潰瘍炎。
しかし、近年はその研究も進み、有効な治療法などが証明され始めています。

慢性的な症状がある、といわれると気が重くなりがちですが、できるだけ気持ちを前向きにし、上手に病気と付き合っていく方法を探していきましょう。