食あたりの主な症状は下痢

食あたりでは、主に下痢の症状が現れます。

食あたりは、賞味期限の切れた食べ物、調理から時間の経過した料理、生ものなどを食べることにより起こります。

これらを食べた心当たりのある場合は、食あたりのおそれがあります。

食あたりは大きく、毒素型食中毒と感染型食中毒の2種類に分かれます。

毒素型食中毒では、病原体が産生する毒素が腸管を刺激して、腸液などの水分の分泌量が増加して下痢を引き起こします。

感染型食中毒では、病原体が腸管に侵入して増殖し、消化管に炎症を引き起こすことで血液の成分や細胞内の液体がにじみ出ます。すると便の水分量が増えて下痢を引き起こします。

激しい下痢・嘔吐・発熱がある場合は病院へ

食あたりは、軽度であれば数日で症状は改善します。

しかし一般に数時間から半日程度で症状の現れる食あたりですが、細菌やウイルスの種類によっては潜伏期間が1週間〜2週間以上あるものもあり、原因の特定が困難な場合もあります。

血便が出たり、吐き気・嘔吐、発熱、脱水症状が現れる場合には、病院での治療が必要となりますので、医療機関を受診してください。

特に感染性の下痢は、集団感染を引き起こすおそれもあります。

以下のような症状が現れた場合は、早急に医療機関を受診してください。

・1日10回以上下痢が続く
・血便がある
・激しい嘔吐
・呼吸困難
・意識障害
・水分が十分に補給できない

病院での治療法は?

病院では食中毒を起こした原因物質を特定し、治療を行います。

原因菌の殺菌のために抗生物質を使用したり、脱水症状を予防するために点滴を使用することがあります。

食あたりの対処法は?

下痢など食あたりの症状が出ているときは、脱水症状を起こさないために水分補給をすることが大切です。

吐き気や嘔吐のある場合は、吐いたものが喉に詰まるのを避けるため、寝るときは横向きになりましょう。

食あたりになったときの食事などの対処法については、関連記事をごらんください。

薬は使ってもいい?

細菌やウイルス感染によって起こる下痢は、細菌やウイルスを早めに体外に排出するために下痢止めを飲まない方がよいとされています。

しかし、体力の消耗や脱水などの危険性がある場合は、薬で下痢を止めて体力や水分が失われるを防ぐことも大切です。

下痢が止まらない場合は、病院に行くまでの応急処置として薬を使用することも選択肢のひとつとなります。

食あたりに使える市販薬について、詳しくは関連記事をごらんください。

食あたりを引き起こす原因となる細菌・ウイルス・寄生虫

食あたりの原因には、細菌、ウイルス、寄生虫、植物性・動物性の自然毒、農薬などの化学物質などが考えられます。

これらの症状を引き起こす代表的な細菌・ウイルス・寄生虫には、次のようなものがあります。

ウエルシュ菌

ウエルシュ菌による食中毒は、カレー・シチュー・煮物などの煮込み料理によって起こったケースが多く報告されています。

土の中や水の中に多く生息しており、主に肉類・魚介類・野菜類などが菌を保持しています。

ウエルシュ菌は酸素が苦手な細菌ですが、鍋などで食材が煮込まれることで酸素が追い出されてウエルシュ菌の増殖しやすい環境ができます。飲食店など、一気に多くの量を調理する施設で多く感染がみられます。

ウエルシュ菌に感染すると、6〜18時間の潜伏期間を経て、主に腹痛・下痢を引き起こします。

セレウス菌

セレウス菌には、下痢型と嘔吐型の2種類があります。

下痢型のセレウス菌による食中毒は、主に肉類・野菜類・スープ・弁当・プリンなどによって起こったケースが多く報告されています。

家庭用の消毒薬も効果がなく、90℃で60分間加熱しても死滅しない強い菌で、多くの場合が欧米で発生しています。

セレウス菌に感染すると、8〜16時間の潜伏期間を経て、セレウス菌が生成した毒素によって腹痛や水っぽい下痢を引き起こします。

嘔吐型のセレウス菌による食中毒は、主にチャーハンなどの穀物加工品・弁当・調理パンなどによって起こったケースが多く報告されています。

家庭用の消毒薬も効果がなく、90℃で60分間加熱しても死滅しない強い菌で、日本での発症が多いといわれています。

セレウス菌に感染すると、30分〜6時間の潜伏期間を経て、セレウス菌が生成した毒素によって吐き気・嘔吐を引き起こします。

ボツリヌス菌

ボツリヌス菌による食中毒は、缶詰・ビン詰め・レトルト食品などによって起こったケースが多く報告されています。

酸素のない状態になっているとボツリヌス菌が繁殖しやすい環境になります。

ボツリヌス菌に感染すると、8〜36時間の潜伏期間を経て、ボツリヌス菌が生成した毒素によって吐き気・嘔吐を引き起こします。

また、筋力低下・視力障害や呼吸困難などの神経症状なども現れます。

腸管出血性大腸菌

腸管出血性大腸菌による食中毒は、ユッケ・ハンバーグ・サラダ・そばなどによって起こったケースが報告されていますが、さまざまな食品によっておこるおそれがあります。

主に動物の腸管内に生息し、便などから食品や水を汚染することで食あたりを引き起こします。代表的なものではO-157があります。

腸管出血性大腸菌に感染すると、4〜8日間の潜伏期間を経て、激しい腹痛・血便・下痢を引き起こしますが、症状が軽度な場合もあります。

黄色ブドウ球菌

黄色ブドウ球菌による食中毒は、おにぎり・弁当・乳製品・食肉製品・生菓子などによって起こったケースが多く報告されています。

調理する人の手などに付着した黄色ブドウ球菌によって食品を汚染が汚染されると考えられており、黄色ブドウ球菌が発生させる毒素が食中毒の症状を引き起こします。

黄色ブドウ球菌に感染すると、1〜5時間の潜伏期間を経て、吐き気・嘔吐・腹痛・下痢を引き起こします。

腸炎ビブリオ

腸炎ビブリオによる食中毒は、魚介類によって起こったケースが多く報告されています。

海に生息する菌で、水温の高い夏場になると魚介類に付着して市場などに侵入します。

汚染された魚介類を食べることで感染する場合や、魚介類に触れた手やまな板などから二次感染を起こす場合もあります。

腸炎ビブリオに感染すると、8〜24時間の潜伏期間を経て、腹痛・水様下痢・発熱・嘔吐を引き起こします。

サルモネラ菌

サルモネラ菌による食中毒は、卵・卵製品・レバー・うなぎなどによって起こったケースが多く報告されています。

動物の腸管や河川・下水道などさまざまな場所に生息している菌です。

汚染された食品を食べることで感染する場合や、汚染された食品に触れた手やまな板などから二次感染を起こす場合もあります。

サルモネラ菌に感染すると、6〜72時間の潜伏期間を経て、激しい腹痛・下痢・発熱・嘔吐を引き起こします。

カンピロバクター

カンピロバクターによる食中毒は、鶏肉によって起こったケースが多く報告されていますが、潜伏期間が長いため原因となる食べ物が残っていない場合が多くみられます。

鶏や牛などの他に、ペットや野生動物なども保持している菌です。

汚染された食品や水によって感染する場合や、汚染された食品や水に触れた手やまな板などから二次感染を起こす場合もあります。

カンピロバクターに感染すると、1〜7日間の長い潜伏期間を経て、発熱・倦怠感・頭痛・吐き気・腹痛・下痢・血便などを引き起こします。

ノロウイルス

ノロウイルスによる食中毒は、カキなどの二枚貝によって起こったケースが多く報告されています。

また、ノロウイルス感染者の吐しゃ物や糞便などによって感染することもあります。

ノロウイルスに感染すると、24〜48時間の潜伏期間を経て、吐き気・下痢・嘔吐・腹痛・発熱などを引き起こします。

ノロウイルスについて詳しくは関連記事をごらんください。

赤痢菌

赤痢菌による食中毒は、衛生状態の悪い国の水・氷・食品によって起こったケースが多く報告されています。

近年は日本ではあまり見られなくなっていますが、海外旅行後などに発症した後、感染者の便に触れることなどによって二次感染を引き起こすことがあります。

赤痢菌に感染すると、1〜7日間の長い潜伏期間を経て、発熱・腹痛・下痢・血便などを引き起こします。

E型肝炎

E型肝炎による食中毒は、衛生状態の悪い国の水・氷・食品によって起こったケースが多く報告されています。

また、豚や牛などの動物がE型肝炎ウイルスに感染することもわかっています。

E型肝炎に感染すると、15〜60日間の長い潜伏期間を経て、発熱・倦怠感・食欲不振・吐き気・嘔吐を引き起こします。

クドア

クドアによる食中毒は、ヒラメの刺身によって起こったケースが多く報告されています。

クドアは寄生虫の一種ですが、寄生するのはヒラメのみで、人の体に寄生することはないとされています。

クドアによる食あたりでは、食後数時間(約2〜20時間)の潜伏期間を経て嘔吐・下痢を引き起こしますが、一過性のもので軽症のものがほとんどです。

アニサキス

アニサキスによる食中毒は、サバ・イワシ・カツオ・サケ・アジなどの魚介類によって起こったケースが多く報告されています。

アニサキス幼虫は寄生虫の一種です。アニサキス幼虫が寄生している魚介類を食べることで、アニサキス幼虫が胃や腸を攻撃します。

食後数時間〜数十時間の潜伏期間を経て、激しい腹痛・吐き気・嘔吐の症状が引き起こされます。

二枚貝

二枚貝による食中毒は、アサリ・カキ・ホタテ・アカガイなどによって起こったケースが多く報告されています。

「麻痺性貝毒」と「下痢性貝毒」の2種類があり、麻痺性貝毒では食後30分以内に唇のしびれや麻痺などの症状が現れ、下痢性貝毒では食後30分〜4時間の潜伏期間を経て 、腹痛・下痢・吐き気・嘔吐の症状が現れます。

麻痺性貝毒は呼吸の麻痺によって命を落とすおそれもあるため、異変を感じたらすぐに医療機関を受診する必要があります。

おわりに

食あたりの主な症状は下痢ですが、細菌やウイルスの種類によって嘔吐や発熱などの症状をともなうことがあります。

激しい下痢・血便・嘔吐・発熱などの症状のある場合は、早急に治療する必要があるため医療機関を受診してください。