旅行者下痢ってどんな病気?

旅行者下痢渡航者下痢)は病原性大腸菌・ブドウ球菌・サルモネラ菌などのバクテリアや、ジアルジアなどの寄生虫、ノロウィルスなどのウィルスをはじめ、さまざまな原因で起きる下痢の総称で、ほとんどが糞口経路(糞便に汚染された食べ物・飲み物・食器・手指などから口腔を介してのルート)で感染する特徴があります。

また、広義の旅行者下痢は食べなれない食品(特にスパイシーなものや脂っこいものなど)や飲みなれない飲料(現地の酒や硬水など)によるもの、食べ過ぎ・飲み過ぎによる下痢も含みます。

症状は下痢と腹痛で、発熱や吐き気などを伴う場合もあります。

水分補給を心がけ安静にしていれば3~5日間で治る場合がほとんどですが、便に血や粘液が混じる、39度以上の高熱、腹部の激痛などを伴う場合は、すみやかに医療機関を受診する必要があります。
(渡航先によっては赤痢の可能性もあるので、その場合は至急医療機関に相談しましょう)


 

水と食べ物に気を付けましょう!旅行者下痢の予防法

旅行者下痢の予防のために、以下のことを心がけましょう。

  • 食事の前に必ず石鹸を使って手を洗う
  • トイレのあとも必ず手を洗う(水道がない場合はアルコール入りの除菌ウェットティッシュやハンドサニタイザーを使う)
  • 清潔な食器やカトラリーを使う
  • ボトル入りのミネラルウォーターや清涼飲料水を飲み、水道水や井戸水、を飲まない
  • 水道水で作られた氷も避ける
  • 生ものを避ける
  • 冷めた料理を避ける
  • 果物は皮ごと食べない
  • 乳製品は加熱殺菌処理されたもの(英語なら「Pasteurized」と表示されたもの)を選ぶ
  • 屋台・露店の食べ物を避ける
  • ブッシュミート(サル・コウモリなど)やジビエ(キジ・ウサギなど)を避ける


 

渡航下痢の「予防的投薬・予防薬」は特殊なケースに限ります

次サリチル酸ビスマス(整腸剤)やシプロフロキサシン(抗菌剤)などを旅行前から旅行中にかけて服用することで、旅行者下痢をある程度予防することができます。
ただし、予防的投薬には副作用もあり、みだりに抗菌剤を使うことは耐性菌の増大にもつながります。

  • 炎症性腸疾患などの腸疾患がある
  • 糖尿病などの疾患があり、下痢や脱水症状により重篤な症状が出る危険がある
  • 旅行者下痢になりやすい体質であり、かつ旅行期間が短いため下痢で1日も無駄にできない場合

などの条件に該当する場合のみ、医師に相談して予防的投薬を検討してみてもよいでしょう。


 

もし渡航下痢になったら脱水を防ぐことが重要!旅行者下痢の治療法

下痢を起こしているときには、脱水症状を防ぐために水分補給が重要です。

特に、大人と比べてもともと体の総水分量が少ない子どもは脱水症状になりやすいため、注意が必要です。

スポーツドリンクを水で2倍程度に薄めたものや、100%のリンゴジュースを水で3倍程度に薄めたものなどを、こまめに飲ませましょう。水は必ずミネラルウォーターや蒸留水を使用してください。

ロペミン(ロペラミド)、次硝酸ビスマス、正露丸(木クレオソート)、ストッパ下痢止めEX(ロートエキス)などの止瀉薬(ししゃやく)は下痢と腹痛に効果的ですが、症状が比較的軽い場合にのみ使用しましょう。出国前に持参していってもいいですね。

また、12歳以下の子どもへの使用は避けてください。

下痢は、病原菌を排泄するための防御機構です。薬で下痢を止めてしまうと病原菌が体内に留まることで症状が悪化する場合があります
止瀉薬の使用は、症状が比較的軽く、感染症以外の原因(食べ過ぎなど)が思い当り、時間の制約がある場合などに限るようにしましょう。

旅行者下痢は、水分補給を心がけホテルなどで安静にしていれば3~5日間で治る場合がほとんどで、自己判断での抗菌剤(抗生物質)の使用は推奨されません。

しかし、バクテリア(大腸菌・サルモネラ菌など)が原因の場合は抗菌剤が効果を示すので、下痢の症状がひどく、血便が見られる場合で、かつ近くに医療機関がない僻地を旅行している場合などには、成人に限って抗菌剤の使用を検討してみてもよいでしょう。


投与例はシプロフロキサシン(シプロキサン)1回500mgを1日2回・最大3日間、アジスロマイシン(ジスロマック)1回500mgを1日1回・3日間、リファキシミン(Xifaxan)1回200mgを1日3回・3日間(血便のある場合は禁止)などです。

なお、中南米やアジアなどの一部の国を除いて、抗菌剤の購入には処方箋が必要です。僻地への冒険旅行や、長期間のバックパッキングなどで旅行者下痢になる可能性が高い人は、出国前に医師に相談してみてください。

抗菌剤の効果は通常1~2日であらわれます。3日たっても症状に改善が見られない場合は医療機関を受診しましょう。
また、便に血や粘液が混じる、39度以上の高熱、腹部の激痛など赤痢が疑われる症状が出た場合は、すみやかに医療機関を受診してください。
 

おわりに

海外でも日本でも、下痢になってしまったときの基本は、水分をとって寝ることです。

せっかくの旅先でホテルにこもりきりというのは勿体ないので、手洗いの徹底と、信頼できる食品・飲料しか口にしないことを心がけ、旅行者下痢の予防に努めましょう!

(image by freeimages)
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