ノロウイルス感染症とは?

ノロウイルス感染症は、一年を通して発生はみられますが、11〜1月頃まで流行するウイルス型の感染性胃腸炎の一種です。

ノロウイルス自体は感染力が非常に強く、体内に侵入したウイルスが少数でも感染性胃腸炎や食中毒を引き起こします。

ノロウイルスの感染経路

ノロウイルスは、人や食べ物等を介して感染します。

◼︎食品からの感染
・ノロウイルスに感染している人や、ノロウイルスに触れた人が十分に手を洗わないまま調理しそれを食べた場合
・汚染された二枚貝(牡蠣やシジミなど)を、生食や十分な加熱処理をしないで食べた場合
・ノロウイルスに汚染された井戸水や簡易水道などを消毒不十分で摂取した場合。

◼︎人からの感染
・ノロウイルスが大量に含まれる便や嘔吐物から人の手などを介しての二次感染
・ノロウイルスに感染した人がいる家庭や共同生活施設などでの飛沫感染や接触感染

ノロウイルス感染症の主な症状

通常、ノロウイルスは感染してから1~2日で発症します。ただし、3割程度の人は感染しても症状がでないこともあります。

ノロウイルス感染症は、激しい嘔吐、下痢、差し込むような腹痛などが発生します。発熱は軽度ですが、筋肉痛、頭痛をともなうこともあります。

ただし、症状の程度には個人差があり、軽い発熱や風邪を引いた程度で終わる人もいます。

症状は1~3日程度続きます。ほとんどの場合が軽度で回復しますが、重症化すると脱水状態になり命に関わるケースもあります。

ノロウイルス感染症で病院は受診するべき?

残念ながら、まだノロウイルス自体に効果のある抗ウイルス薬や治療方法はありません。(2017年12月現在)

ノロウイルス感染症で病院を受診した場合、症状に合わせた薬の処方や対処が行われますが、基本的には自宅での療養が治療の基本になります。

しかし、年齢や状況によっては速やかに病院を受診したほうがいい場合もあるため注意してください。

病院を受診するべき症状

【脱水症状がひどい】

ノロウイルス感染症では、下痢や嘔吐などの症状が出るため、脱水状態になりやすい状況です。

水分補給をしてもすぐに吐いてしまうなど、脱水状態がひどくなった場合には、病院で点滴を行うなどの治療が必要となります。

【症状が長引く】

ノロウイルス感染症の症状は、通常3日程度で落ち着きます。嘔吐や下痢が長引いたり、ノロウイルスの症状以外の異変がみられる場合には他の病気が疑われます。症状が長引いたり悪化する場合は、早めに病院を受診しましょう。

病院の受診が望ましい人

幼児や高齢者、基礎体力の弱い方などはノロウイルスに感染した際に重症化しやすいため、病院を受診することが望ましいです。

体力や抵抗力が低下していることによって、嘔吐物を気道に詰まらせたり、肺炎を引き起こすおそれがあります。死亡例の報告もあるため、該当する方は病院を受診しましょう。

ノロウイルスに抗生物質は効く?処方薬はある?

抗生物質は感染症に効くというイメージをもっている人も多いかもしれません。

しかし、ノロウイルスに抗生物質は効果がありません。

抗生物質が効かない理由

抗生物質は細菌に対して非常に有効な薬ですが、ウイルスや真菌(カビなど)には効力がありません。

ノロウイルスはウイルスが原因となる感染症なので、抗生物質は効果がありません。手元に以前処方された抗生物質があったとしても、安易に使用することは控えましょう。

通常、ウイルス性の感染症であれば抗生物質ではなく抗ウイルス薬が用いられます。

なお、ノロウイルスに効果のある抗ウイルス薬はまだありません。

ノロウイルスのときに処方される薬

ノロウイルスそのものに作用する薬はありませんが、下痢が長引く場合には下痢止めや整腸剤を処方されることがあります。

ただし、発症後すぐに下痢止めや吐き気止めを服用すると、下痢や嘔吐によって体外へのウイルス排出を止めることになり、ウイルスが体内に長くとどまりかえって治りを遅くしてしまうおそれがあります。

下痢止めや整腸剤は、医師の診察により状況をみながら適した処方が行われます。

ノロウイルス感染症で入院することはある?

ノロウイルス感染症の症状が続く時間は比較的短く、10数時間から長くても数日です。脱水状態がひどい場合は、日帰りで点滴を受けることがありますが、症状が重症化して長期入院に至ることはほとんどありません。

ただし、乳幼児や高齢者など免疫力の低い人は合併症を併発したり、体力の低下などで二次感染を起こす場合もあるため、十分に注意が必要です。

ノロウイルス感染の予防法

十分な手洗い

ノロウイルス感染の予防には、手洗いが効果的です。調理や食事の前、トイレの後、外から帰ってきたときなど、よく手を洗いましょう。

また、手を洗うときは石鹸と流水で30秒以上かけて洗い、共用のタオルは避けてペーパータオルなどを使いましょう。

加熱・除菌の徹底

特に牡蠣などのノロウイルスが検出されやすい食品は十分に加熱しましょう。85℃で1分以上の加熱が目安です。

また、調理場や調理器具は調理前後にしっかり除菌をしましょう。消毒には、熱湯消毒や次亜塩素酸ナトリウム消毒が有効です。

嘔吐物や糞便を正しく処理する

ノロウイルスに感染した人の嘔吐物や糞便を処理する際は必ず手袋をつけましょう。

また、汚れ物を拭き取ったペーパータオルなどはビニール袋に密封し、廃棄物が充分に浸る量の次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度)を入れて捨てることが望ましいとされています。

汚れ物などが衣服についてしまった場合は、洗剤を入れた水の中で静かにもみ洗いしたあとに、85℃・1分間以上の熱水洗濯が適しています。

熱水洗濯が行える洗濯機がない場合には、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が効果的です。ただし次亜塩素酸ナトリウムには漂白作用があるため、使用の際には色落ちに注意しましょう。

おわりに

冬はノロウイルス感染症に限らず風邪やインフルエンザも流行する体調を崩しやすい季節です。元気に冬を乗り切るためにも、手洗いやうがいなど日頃からできることを徹底しましょう。

もしもノロウイルス感染が疑われる症状が出た場合には、二次感染に注意しながら水分補給と栄養補給をしっかり行い、重症化するようであれば病院を受診しましょう。