ノロウイルス感染症の特徴は下痢と嘔吐
ノロウイルスに感染すると急性胃腸炎症となり、さまざまな症状を引き起こします。
ノロウイルスの潜伏期間は1〜3日程度と比較的短く、感染したら数十時間で症状が現れることもあります。症状がでている時間も短く、平均すると1〜2日程度で症状は治ります。
ノロウイルス感染症の症状の特徴は、下痢と嘔吐です。ほとんどの場合、前兆もなく突然吐き気や嘔吐を引き起こします。
症状の程度には個人差がありますが、胃がひっくり返るほど強烈なケースもあります。
ノロウイルス感染症の下痢はかなり水っぽいことも特徴です。水様の下痢が起こり、腹痛をともなうこともあります。
下痢や嘔吐がひどくなると、脱水症状を引き起こしやすくなります。
発熱は37~38℃
ノロウイルスに感染すると発熱することもありますが、ほとんどの場合は37~38℃の微熱で済みます。発熱にともない、頭痛が起きることもあります。
そのほかの症状
ノロウイルス感染症では、悪寒・筋肉痛・喉頭痛・倦怠感といった、風邪に似たような症状が出ることがあります。
また、筋肉痛からくる腰痛や足の痛みが起こることもあります。
ただし、症状が出てもほとんどは軽度で、重症になることはあまりありません。
ノロウイルス感染症で症状が出ないこともある
ノロウイルス感染症では、下痢や嘔吐などの具体的な症状が出ない「不顕性感染(ふけんせいかんせん)」となることもあります。
また、症状があっても微熱や腹痛程度で、風邪だと考えてノロウイルスの感染を自覚しない場合もあります。
しかし、症状がでなかったり軽度の場合でも、嘔吐物や糞便の中にはノロウイルスが含まれています。そのため、知らないうちに自分が感染源となり、感染拡大につながっているおそれもあります。
ノロウイルスがもっとも流行する12~2月にかけては、軽い風邪のような症状や心当たりのない腰痛がある場合は、ノロウイルス感染症を疑う必要もあります。
大人と子どもの症状の違い
ノロウイルスに感染した場合、大人と子どもでは症状の現れ方が違うことがあります。特に子どもや高齢者など免疫力が低下している方では、症状が大きく出やすい傾向があります。
大人のノロウイルス
大人がノロウイルスに感染した場合、吐き気やお腹の張りを強く感じることが多くあります。
症状のほとんどが1~2日でおさまりますが、高齢者や体力が弱っている場合は症状が重くなりやすく、場合によっては点滴などの治療が必要になることもあります。
子どものノロウイルス
子どもがノロウイルスに感染した場合、1日20回以上も下痢を頻発することもあります。下痢や嘔吐が激しい場合、脱水症状を起こし病院での点滴が必要となることもあります。
脱水症状を防ぐためにこまめな水分補給が大切です。ただし、症状が激しいときは水分を含むと嘔吐してしまうこともあります。
また、ジュースや牛乳などの濃い飲み物を与えたり、一度に多量に与えることも控えましょう。
また嘔吐症状では、嘔吐物を喉に詰まらせて窒息する危険性もあるため、十分に注意してください。
重症化・後遺症はほとんど無し
ノロウイルスの症状は、基本的には1〜2日軽度で済むことがほとんどです。また、ノロウイルスの症状によって後遺症が残ることはありません。
ただし、子どもや高齢者、体力が弱っている人の場合、まれに症状が長引いたり、脱水症状や二次感染を起こすおそれもあります。
症状がおさまっても二次感染に注意!
ノロウイルスは症状がおさまっても、感染者の嘔吐物や糞便の中にウイルスがしばらく残っています。
ノロウイルス感染者の半分が、症状がおさまっても7日間はふん便の中にウイルスが残っていたという報告もあります。また子どもについては、1か月以上ふん便の中にウイルスが残っていたというデータもあります。
特に家庭内や集団施設では、共用するトイレなどで感染が拡大してしまうおそれがあります。
また、子どもは嘔吐物や糞便の処理が自分で行えないため、保護者への二次感染が多くみられます。
それ以外にも、嘔吐した絨毯や感染者が触れたドアノブがきちんと消毒できていなかった場合にも、ノロウイルスが周囲に広がって感染する可能性があります。
ノロウイルスの感染経路については関連記事をごらんください。
ノロウイルスに感染した場合は?
ノロウイルスに感染した場合は、自宅で安静に療養することが基本になります。ノロウイルスに作用する抗ウイルス薬は現在はまだないため、症状に対する治療を行いながらウイルスが体の外に排出されるのを待ちます。
ただし、自宅で間違った治療法を行うと回復を遅らせてしまうこともあるため、特に乳幼児や高齢者など免疫力の低下している方は、近くの病院やかかりつけ医を受診しましょう。
脱水症状に注意する
特に子どもや高齢者、体力が弱っている人はひどい嘔吐や下痢で脱水症状になりやすい状態です。
脱水症状がひどくなると、病院で点滴などの治療を行う必要があります。
嘔吐がひどいときは水分補給が必要となりますが、嘔吐を繰り返す場合には症状が落ち着いてから、少しずつ水分補給をしましょう。
下痢止めは安易に飲まない
ノロウイルスに感染して下痢止めを飲むと、ウイルスが腸内に溜まり、回復を遅らせてしまうことがあります。
下痢症状がひどい場合には下痢止めが使われることもありますが、必ず医師の指示に従い、自己判断で下痢止めを使うことはやめましょう。
おわりに
ノロウイルス感染症は症状が現れたときは脱水症状などに注意が必要です。その後、症状がおさまっても二次感染の危険性があるため、完治するまではしっかり対策しましょう。
ノロウイルス感染症の症状の出方には個人差がありますが、風邪などと間違えないようにノロウイルス感染症の症状の特徴を確認しておきましょう。