ノロウイルス感染症とは?

ノロウイルス感染症は1年を通して発生しますが、特に毎年11月頃から流行が始まり、12月〜翌年1月にピークを迎えます。

ノロウイルスは人の腸管で増殖することで胃腸炎を起こし、100個ほどの少量のウイルスでも症状が現れる感染力の強いウイルスです。

ノロウイルスの感染経路

ノロウイルスは主に口から侵入することで感染します。感染者の汚物に含まれるノロウイルスがさまざまな要因で共有物(ドアノブやリモコン、トイレなど)に付着することで感染が広がっていきます。

また、ノロウイルスに汚染されたカキやアサリなどの貝類を食べることによっても感染します。ノロウイルスは粒子が小さいため、ウイルスのみを除去することも難しいとされています。

その他にも、乾燥した汚物から空気中に浮遊したノロウイルスを吸い込むことによる「空気感染」や、直接汚物のしぶきなどを吸い込むことによる「飛沫感染」などもあります。

ノロウイルスの感染経路については関連記事をごらんください。

ノロウイルス感染症に予防接種はある?

2017年11月現在、日本にノロウイルスに作用するワクチンは存在していないため、ノロウイルス感染症の予防接種を受けることはできません。

現時点での感染予防策としては、ノロウイルスの消毒を徹底し、手洗いやマスクの着用がもっとも有効な予防対策になります。

なお、武田薬品工業株式会社では、現在ノロウイルスワクチンの研究開発が進められています。3段階ある臨床試験のうち、第2段階の後期の試験が開始されていると武田薬品が発表しています。(2016年6月21日時点)

ノロウイルス感染症の予防接種も近い将来可能になることも予想されます。

ノロウイルス感染は正しい消毒方法で予防!

ノロウイルスの感染予防には、身近な物などに付着しているノロウイルス自体を消毒して死滅させることが有効です。

しかし、ノロウイルスは通常のアルコール消毒では殺菌することができません。

感染者が触れたドアノブ・スイッチや、感染者の汚物によってノロウイルスに汚染された床などの殺菌には塩素系消毒剤を使用します。

市販の塩素系消毒剤では、「次亜塩素酸ナトリウム」という成分が使用されている漂白剤などを使用すると良いでしょう。

ノロウイルスの消毒方法について詳しくは関連記事をごらんください。

ドアノブ・スイッチ・器具などの消毒

ドアノブやスイッチ、感染者の触れた手すりや便座などを消毒する際には、塩素濃度0.02%の消毒液を使用します。

手袋やエプロン・マスクなどを装着し、手指や衣服にウイルスが付着しないように注意します。キッチンペーパーなどの捨てられるものに消毒液を浸し、ノロウイルスが付着しているおそれのあるところを拭き上げます。消毒液で拭いてから10分ほど経過したあとに、再度水で拭き上げましょう。

汚物が直接付着した部分の消毒

感染者の糞便や嘔吐物が直接付着した床などは、塩素濃度0.1%の消毒液を使用します。汚物を処理する際のペーパータオルなどにも消毒液を浸しておくと良いでしょう。

手袋やエプロン・マスクなどを装着し、手指や衣服にウイルスが付着しないようにします。

キッチンペーパーなどの捨てられるものに消毒液を浸し、床などの場合はノロウイルスが付着しているおそれのあるところを覆います。10分程度置いた後、水でよく拭き取ってください。

塩素が使用できない場合の消毒

塩素系漂白剤が使用できない場所や物の場合は、汚物が付着した部分を十分に乾燥させた後、85℃以上のスチームアイロンなどで1分以上当て続けると良いでしょう。乾燥させている間もノロウイルスは浮遊するため、必ず換気をしてください。

また、85℃以上を1分間以上保つことができる熱水洗濯なども有効です。

感染予防に役立つ食べ物は?

日頃から免疫力を高めておくことで、ノロウイルスだけではなく細菌やウイルスへの感染を防ぐことが期待できます。

特に、腸内環境を整えることは免疫力の向上を助けることにつながります。

なお、特定の食品を不定期に摂取するのではなく、継続的に摂取することで食品が持つ働きを生かすことが期待できます。一度に多量摂取することで働きが増えるわけではありません。

ヨーグルトの有効成分:ラクトフェリン

一部のヨーグルトやサプリメントに含まれる「ラクトフェリン」は、ノロウイルスなどのウイルスが細胞に付着することを防ぐ働きが期待され研究が進められています。

ラクトフェリンは母乳に多く含まれる成分で、特に初乳に含まれます。ラクトフェリンは新生児をさまざまな感染症から守る役目を果たすとも考えられています。

ラクトフェリンヨーグルト

ヤクルトの有効成分:乳酸菌シロタ株

ヤクルトなどの乳酸菌飲料やサプリメントに含まれる「乳酸菌シロタ株」には、免疫細胞の低下をおさえるという報告があります。

免疫力の低下を防ぐことによって、ノロウイルスの感染予防につながる可能性があります。

手洗いでノロウイルス感染を予防

手洗いはノロウイルス感染症だけではなく、さまざまな病気の予防効果が期待できます。

ノロウイルスはアルコールでは死滅しないウイルスのため、手洗い代わりにアルコール消毒をしても効果はありません。石けんを使用してこまめに手洗いを行うことが重要となります。

石けん自体にノロウイルスを失活化させる効果はありませんが、皮脂等の汚れを落とすことにより、ウイルスを手指から剥がれやすくする効果があります。

手洗いのときは、手のひらだけではなく、手の甲や爪の間、手首までしっかり洗いましょう。

指先・手のシワ・くぼみのウイルスに注意

ノロウイルスは非常に小さいウイルスのため、指先やシワの間、くぼみに残留しやすいといえます。手洗いの際は意識して洗いましょう。

また、手荒れや乾燥があると表面の凹凸が増え、ウイルスが入り込みやすくなります。日頃からの手肌の保湿を行うことも大切です。

手は使い捨てタオルで拭く

手を洗った後は、ペーパータオルなどの使い捨てのもので手を拭くようにしましょう。共用のタオルには、ノロウイルスが付着していることも考えられます。

また、自分専用のタオルでも何日も使っておいていることでノロウイルスが付着しているおそれもあります。

毎日タオルを取り替えるか、使い捨てのものの使用をお勧めします。

マスクでノロウイルス感染を予防できる?

ノロウイルスは空気中に浮遊することもあるため、感染予防にはマスクの着用も大切です。

特に感染者の汚物を処理しているときは、マスクを着用することが望ましいです。

なお、ノロウイルスは唾液やくしゃみのしぶきなどには含まれていません。マスク着用が有効なのは、嘔吐物や糞便のしぶきが原因となる感染の予防です。

ノロウイルスの空気感染について詳しくは関連記事をごらんください。

おわりに

ノロウイルス感染症は予防接種などのワクチンがないため、日頃からの予防習慣が大切になります。特に集団生活の場では、汚物処理時や室内の正しい消毒、手洗いの徹底が大切です。

ノロウイルスの流行シーズンは特に意識して体調管理を行いましょう。