ノロウイルスが牡蠣から感染する確率は?加熱時間の目安を紹介

牡蠣からノロウイルスが感染する理由と確率を薬剤師監修のもとわかりやすく解説。牡蠣がノロウイルスを含む理由ほか、牡蠣の加熱時間の目安を国際機関のガイドラインをもとに紹介します!

冬に流行するノロウイルス感染症

ノロウイルス感染症は、1年を通して発症しますが、特に毎年11〜1月にかけて流行のピークをむかえます。

感染すると激しい嘔吐や下痢などの消化器症状がでます。他にも、発熱や腰痛、筋肉痛などがでることもあります。ほとんどの場合は重症化することはなく、症状は平均して1〜3日程度でおさまります。

ノロウイルスは、症状がおさまった後も糞便を通じて体外に排出され続け、他人に感染させるおそれがあります。感染力がとても強いウイルスであるといえます。

ノロウイルスが牡蠣から感染する理由

牡蠣は、1時間に約20リットルもの海水を吸い込み、エサとなるプランクトンを体内に残して出水管から排水します。

吸い込んだ海水にノロウイルスが含まれていた場合、牡蠣の体内にウイルスが蓄積し濃縮されていきます。

初めから牡蠣がノロウイルスを持っているわけではなく。ノロウイルスに汚染された海水を牡蠣が取り込むことで牡蠣の体内に入り込むのです。

牡蠣以外にもアサリやシジミなどの二枚貝も、ノロウイルスを体内に取り込みやすいとされています。

牡蠣の旬とノロウイルス感染症の流行時期が重なっている

ノロウイルスに感染する原因として牡蠣が注目される理由には、ノロウイルス感染症の流行する11月から1月頃が牡蠣(真牡蠣)の旬と重なっているということも考えられます。

ノロウイルスに感染した人の嘔吐物や糞便が下水処理場で浄化・塩素処理される際、通常の消毒に使われる塩素濃度ではノロウイルスは死滅せず、感染力を持ったまま海へ流れ出てしまうことで海が汚染されます。

そして同じ時期に海から牡蠣が大量に水揚げされて流通することで、牡蠣を介したノロウイルスの感染が広まると考えられています。

牡蠣が原因でノロウイルスに感染する確率はどのくらい?

ノロウイルスは食品から直接検出することが難しく、過去のノロウイルス感染症の調査結果を見ても約7割は原因となった食品の特定ができていません。

実際に牡蠣がノロウイルス感染症の原因となった事例は全体のうちどれくらいなのでしょうか。

牡蠣が原因でノロウイルスに感染する確率

  総件数 うち二枚貝(%)
平成17年 274 42(15.3)
平成18年 499 22(4.4)
平成19年 344 8(2.3)
平成20年 303 20(6.6)
平成21年 288 33(11.5)
平成22年 399 57(14.3)
平成23年 296 50(16.9)
平成24年 416 41(9.9)
平成25年 328 25(7.6)
平成26年 293 24(8.2)
平成27年 481 68(14.1)

厚生労働省「ノロウイルス食中毒の原因食品別発生件数の年次推移(件)」より抜粋

平成17〜27年に発生したノロウイルス感染症の原因食品別発生件数では、年によってバラつきはあるものの、二枚貝が原因となったものは全体の2〜16%程度とされています。二枚貝には牡蠣以外の貝も含まれるため、牡蠣に限定した場合はさらに少ないことが考えられます。

ノロウイルス感染症が流行するといっても、牡蠣が原因となる割合自体はそれほど多くないのです。

牡蠣は、生息している場所の海水が汚染されていなければ、ノロウイルスを持っているわけではないといえます。

牡蠣からノロウイルスを除去する方法

「紫外線殺菌海水」を使った浄化

ノロウイルスは今のところ培養方法が確立されていないため、明確な不活化(殺菌)の条件はわかっていません。

しかし、ノロウイルスと同じカリシウイルス科に属する培養可能なFeline Calici Virus(FCV)を使って研究を進めたところ、紫外線による不活化の効果が報告されています。

紫外線殺菌水による浄化とは、海水を循環させながらエサを食べる牡蠣の生態を利用して、紫外線で殺菌した殺菌海水に生きた牡蠣をつけて人間が生で食べる際に不要となる細菌などを吐き出させる方法です。

残念ながら、現段階では牡蠣からウイルスを完全に除去する方法といえるわけではありませんが、地域や生産者によって可能な限りの対策をとっているところは少なくありません。

しっかり加熱する

ノロウイルスに汚染された二枚貝による食中毒は、いずれも生や加熱不足のもので発生しています。

国際機関の定めたガイドラインによると、ノロウイルスは85〜90℃で90秒以上加熱することで失活化するとされています。

確実にノロウイルスを避けて牡蠣を食べたい場合は、中心部までしっかりと火を通しましょう。

おわりに

ノロウイルスが海水に流れ出すと、そこに生息する牡蠣も汚染されてしまいます。

しかし確率としてはそれほど高くなく、流通の際にも地域や生産者によってさまざまな対策がとられています。

確実に安全かどうか見極めるのは難しいのが現状ですが、「牡蠣を食べたら必ずノロウイルスに感染する」など過度に警戒する必要はないでしょう。

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