梅毒が増加中?!梅毒の症状・検査・予防について

近年、梅毒の発症者の増加が注目されています。梅毒とはどんな病気なのか、症状、検査、予防法をくわしく解説します。

かつては不治の病といわれた梅毒の歴史

梅毒という性感染症についてどれくらいご存知でしょうか?
梅毒は、かつては不治の病として知られ、長い間梅毒は恐れられてきました。性感染症として、江戸時代の遊女や遊郭関係者ととても関わりの深い病気だったようです。

しかし時が経つにつれて、医療技術が飛躍的な進歩を遂げたことにより、現代では梅毒は昔の病気というイメージが強くなるまでになりました。
その梅毒にかかる人が、近年再び増加しているのです!

梅毒の始まり

梅毒の流行についての最初の記述は、1495年にイタリアとフランスの間で起こった戦争の記録の中にあり、このころから梅毒は世界的に流行するようになります。

当時は明確な治療法がなく、詐欺まがいの民間療法が横行し、中には「水銀療法」といって、梅毒治療のために水銀を飲ませた、ということもあったそうです。
こういった治療の過程で多くの人が亡くなりました。

日本では、性感染症ということもあってか、江戸時代の遊郭を中心に梅毒が蔓延していたようです。当時は黴毒(ばいどく)、瘡毒(そうどく)とも呼ばれていました。

1816年に書かれた「世事見聞録」によると、「遊女の全身が、痺れたり痛んだりして腫れ上がり、苦しむ」「髪の毛も多く抜け落ちてしまう」など梅毒の症状に関する記述があります。

梅毒にかかると妊娠しにくい体となり、遊郭経営者にとって非常に都合が良かったので、いつしか「梅毒にかかってやっと一人前の遊女になれる」として美化さえされたそうです。
こうして梅毒は江戸中に広まり、多くの犠牲者を出しました。


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再び流行する?!梅毒の脅威

1928年に、イギリスの医師であるアレクサンダー・フレミングが世界初の抗生物質「ペニシリン」を発見し、梅毒の治療にも使われるようになりました。
この発見で、梅毒は治療できる病気となり、患者数も激減します。現在では、梅毒は過去の病気として見られるようになり、梅毒を診療したことのあるお医者さんも少なくなっていきました。

しかし近年、梅毒の患者数が増えていることが注目されています。

国立感染症研究所によると、梅毒感染例は1999~2012年は500〜900例で推移してきたものの、2013年は1200例をこえたとしています。また、厚生労働省では、2012年に875例、2013年に1228例、2014年に1671例の報告があり、増加傾向にあるとして注意を促しています。

一見これらの数字は少ないように見えるかもしれませんが、報告漏れを含めると実際の感染者数はもっと多いとする見方もあります。

梅毒とはどんな病気?

梅毒は、梅毒トレポネーマという細菌に感染することが原因でおこる性感染症です。

この病原体は、人の身体か兎の睾丸でしか増殖することができず、低酸素状態でしか生きられません。また低温や乾燥にも弱く、殺菌剤で簡単に死滅します。

そのため感染経路はかなり限定的で、食器を共用したり同じプールやお風呂に入る程度では、ほとんど感染しません。
しかし全くないとは言い切れないので、感染していることがわかっている場合は公共のプールや入浴施設は避けることが望ましいです。

梅毒の感染経路

主な感染経路は性行為によるもので、皮膚や粘膜の小さな傷に病原体が入り込むことで引き起こされます。
特にアナルセックス(肛門性交)での感染が多いといわれ、口に梅毒の症状が出ている場合はキスでも感染します。
母子感染で赤ちゃんに起こる先天性梅毒は、今は妊婦検診が行われるのでほとんどありません。

梅毒の症状

梅毒は、症状が現れる顕性梅毒と、症状が現れない無症候梅毒があります。

顕性梅毒は、感染してどのくらい時間が経ったかによって1〜4期に分類され、それぞれの時期によって症状や発症場所も異なります。また、症状は男性でも女性でも全く同じです。

東京都感染症情報センターのデータによると、近年では「無症候」と「1期」「2期」で梅毒患者数の大多数を占めており、特に「2期」は最も患者数が多いです。

ここでは症状のある顕性梅毒について、1〜4期それぞれの症状について解説します。

第1期:感染してから約3週間後

感染して約3週間後〜約3か月後までの期間を第1期といいます。

◼︎初期硬結
感染したところ(性器、口、肛門、手指など)の皮膚や粘膜に、軟骨のようにこりこりした小豆〜そら豆くらいの大きさのしこりができます。その後、しこりの中心部分が硬く盛り上がります(硬性下疳)。このとき痛みはありません。

◼︎無痛性横痃(むつうせいおうげん)
しこりができてしばらくすると、太ももの付け根あたりのリンパ節が腫れてきます。このときも痛みはありません。
これらの症状は、放置しておくと2~3週間で自然に消えます。そして、第2期に入るまで無症状になります。

第2期:感染してから約3か月後

感染してから約3か月後〜約3年後までの期間を、第2期と呼びます。
この時期に梅毒の病原菌が血液に入り、全身に広がります。

◼︎バラ疹
体の中心線にあたる部分を中心に、ピンク色の丸いあざが顔や手足にできます。小さなバラの花に似ていることから、「バラ疹」と呼ばれています。

◼︎梅毒性丘疹
赤茶色で小豆からえんどう豆くらいの大きさの盛り上がったブツブツが顔や体にたくさんできます。

◼︎粘膜疹
頰の粘膜や喉、くちびる、上あごに白いブツブツができます。

そのほかにかすれ声、発熱、倦怠感、脱毛などの症状があらわれることがあります。
これらの症状は3か月から3年続き、自然に消えます。その後しばらく、無症状が続きます。
この後また第2期の症状が出ることもあれば、これを最後に症状が出なくなる(潜伏梅毒)こともあります。

しかし、この時期に適切な治療を受けない限り、病原体は体に残ったままになります。もし治療を受けなかった場合、数年後に臓器の障害があらわれる可能性があります。

第3期:感染してから約3年以上経過

感染してから約3年後より先の期間を、「第3期」と呼びます。現在では第3期に至る前に治療を行うため、ほとんどみられません。
ゴム腫(結節性梅毒疹)と呼ばれる大きめのしこりが、皮膚や骨、筋肉、内臓にできます。
江戸時代の遊女のエピソードとして、よく「鼻が落ちる、欠ける」といった話が出てきますが、これはゴム腫が鼻骨にできて骨が陥没するためと言われています。

場合によっては脳細胞に悪影響がおよび、視力や聴力がなくなる可能性もあります。

第4期:末期症状

感染して10〜15年後があらわれる時期を「第4期」と呼びます。梅毒の末期症状です。現在ではほとんどみられません。

心臓、血管、脊髄、神経、目が侵され、認知障害や運動障害が起こったり、血管に炎症や腫瘍ができるなどします。日常生活がままならなくなり、場合によっては死に至ります。

梅毒が疑われる場合は、まずは検査を!

梅毒は無症状である状態が度々あるので、知らないうちに人にうつしてしまったり、うつされてしまう場合があります。
梅毒の感染を知るためにも、定期的な検査を受けることが大切です。

梅毒の検査は病院や保健所で受けることができます。
内科、泌尿器科、産婦人科などで検査が可能です。病院によっては性病科を設置しているところもあるため、事前に検査の可否を問い合わせておくことをお勧めします。

検査では血液もしくは患部からとった膿を調べます。血液や膿の中に病原体がいないか確認します。
第1期の最初の数週間は、検査をしても正しい結果が得られないことがあるので、感染が疑われるきっかけから約3週間おいて検査を受けましょう。

また、梅毒に感染しているとHIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染しやすくなり、HIVに感染している人は梅毒に感染しやすい関係があります。
梅毒やHIV検査を受ける際は、両方の検査を一緒に受けることが望ましいでしょう。

病院や保健所の他に、検査キットを購入して自宅で検査をする方法もあります。梅毒検査もHIV検査もどちらもできるような検査キットを使用することをお勧めします。

梅毒にはペニシリン治療

梅毒治療は、早期発見した上で根気強く治療を受けることが大切です。早めの検査、早めの治療を心がけましょう。

基本的な治療法は、経口合成ペニシリン剤の服用になります。

1〜4期それぞれの症状に応じて服薬期間は変わります。
第1期梅毒は2〜4週間、第2期梅毒は4〜8週間、第3期以降の梅毒は8〜12週間、病期がわからない梅毒も8〜12週間を目安に服薬します。

効果の確認に時間がかかるので、定期的な診察や検診で完治したかどうかを確認します。
医師が治療を終了とするまでは、きちんと処方されたお薬を飲みましょう。また、患部の場所によっては、入院のうえ点滴でペニシリンを投与することもあります。

感染・再発予防のために

コンドームの着用

性感染症の対策として最も簡単で効果的な予防法は、コンドームを着用することです。

しかしコンドームで覆われていない部分の傷から感染することもあるので、確実に感染しないわけではありません。

また性器以外の病変部との接触で感染することもあるので、コンドームをしたからといって安全だと思い込まないようにしましょう。

健全な性生活

不特定多数の人と性交渉をおこなうと、梅毒に感染する危険性が高くなります。
自分やパートナーが梅毒にかかっていないか一緒に検査して確認し合って、性行為をするパートナーを限定するなどしましょう。

もし自分やパートナーに梅毒が疑われる場合は性行為を控え、早めに病院に行って一緒に治療を受けてください。
梅毒の治療を行っている場合も性行為はしないようにしましょう。

おわりに:梅毒の予防は心がけ次第

梅毒は一度かかると血液中に一定の抗体ができますが、再感染を予防できるのもではありません。
油断して予防を怠れば再び梅毒に感染する恐れがあります。

梅毒を予防できるかどうかは心がけ次第。節操のある性生活を送ることが、梅毒に限らずあらゆる性感染症の予防につながるのです。

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