ヘルパンギーナ:子どもの病気の症状・予防・治療法をチェック

ヘルパンギーナは高熱と強い喉の痛みが現れる夏風邪の一種です。ここではヘルパンギーナの症状・原因・治療・予防、また保育園への登園についてなど詳しく解説します。

子どもの間で夏に流行する3大感染症「ヘルパンギーナ」「手足口病」「プール熱」。この記事では高熱や強い喉の痛みが出る「ヘルパンギーナ」について取り上げます。

国立感染症研究所の週間報告によると、2016年第24週(6月13日~19日)のヘルパンギーナ定点患者数の全国平均は0.91人。これは前週と比べて約1.7倍となり、同じ時期としては2011年以来の多い患者数となっています。

ヘルパンギーナは西日本から流行が始まる傾向があり、実際に都道府県別の感染者数は鳥取・香川・島根・大分と上位20位までを西日本が占めています。
ヘルパンギーナの原因ウイルスは、高温多湿の環境で増殖しやすいので、梅雨入りの早い西日本では東日本よりも流行が早く始まるのです。

同じ夏風邪の一種で、同じような症状が起こるヘルパンギーナと手足口病は判断が難しい場合があります。
確実な診断は病院を受診することをおすすめしますが、初期症状を見逃さないためにもヘルパンギーナの症状を正しく知ることは大切です。

感染症にうつらない・うつさないためにも、症状の特徴や原因、予防法などヘルパンギーナについて詳しく解説します。

目次

⒈ヘルパンギーナの症状
 ・症状の特徴
 ・症状の経過
 ・原因と重症化について
⒉ヘルパンギーナと手足口病の違い
⒊ヘルパンギーナの感染経路
⒋ヘルパンギーナで保育園を休む期間
⒌ヘルパンギーナの対処法
⒍ヘルパンギーナの予防

ヘルパンギーナの症状

ヘルパンギーナは高熱と強い喉の痛みが現れる夏風邪です。
ウイルスにより広がる感染症で、感染者の90%は5歳以下の乳幼児が占めます。乳幼児の中で最も多く感染しているのは、ほぼ同じ割合で0歳と5歳です。毎年5月ごろから感染が増加し、7月ごろにかけてピークをむかえます。

症状の特徴

39℃をこえる高熱が突然出て、あわせて喉の奥に水泡性の発疹が現れます。
発疹は直径1~2mm、大きいものでは5mmほどの大きさになり、充血して赤く見える状態になります。
水泡が破れると口内炎のような白い潰瘍になり、これが強い痛みをともなうので、唾液や母乳、飲み物や食べ物がしみるとさらに痛みが増していきます。

まだ自分の症状を言葉で伝えられない年齢の子どもの高熱時には、様子の変化に気づくことが大切です。

■ヘルパンギーナの可能性がある様子
・唾液を飲み込むと痛いためよだれが多くなる
・痛みで不機嫌になる
・ミルクや母乳を飲むことを嫌がる
・食べ物や飲み物を嫌がる

症状の経過

■潜伏期間:ウイルスに感染してから症状が出るまでの潜伏期間は2~4日

■発症期:突然の高熱と、喉に強い痛みをともなう発疹が現れる

■重症期:一番症状の重い時期で2~3日続く

■回復期:熱は2~3日で下がり、喉の発疹はそこからやや遅れて治る

合併症を起こすことはまれです。周囲に感染させないように注意しながら風邪と同じように安静にしていれば、ヘルパンギーナは数日で治る軽症の病気です。
しかしヘルパンギーナは主な症状が治った後、2~4週間は体内にウイルスが残っていて、主に便の中にウイルスが含まれています。そのため、発症から回復した後も含めて最低1か月は感染対策をしなければなりません。

ヘルパンギーナの原因と重症化

ヘルパンギーナの原因となるウイルスは1種類ではありません。
そのため1度感染して免疫ができても、別のウイルスが原因で再びヘルパンギーナに感染してしまいます。

ヘルパンギーナを引き起こすウイルスは、コクサッキーウイルスA群がほとんどで、他にもコクサッキーウイルスB群、エコーウイルスなどもあります。
このコクサッキーウイルスやエコーウイルスは、エンテロウイルスに属します。

ヘルパンギーナは夏風邪の一種であり軽度な感染症ですが、まれに無菌性髄膜炎、急性心筋炎などの合併症をおこすこともあります。
熱性けいれんがおこる、高熱が長期続く、嘔吐するなどの症状がみられる場合には早急に病院を受診しましょう。

ヘルパンギーナと手足口病の違い

同じ夏風邪の一種で、夏の子ども3大感染症であるヘルパンギーナと手足口病は症状も似ています。どのような症状で違いが判断されるのか確認しましょう。

  初期症状 発疹の進行  発熱
ヘルパンギーナ 突然の高熱と喉に白い発疹ができる 口の中にだけ発疹が増える
手や足など身体には広がらない
39~40℃の高熱
手足口病 喉に白い発疹ができる 口の中の発疹が増え、手や足、その他全身に広がる 37~38℃で高熱にはならない
発熱しない場合もある

同じ症状は口内に白い発疹が現れるということです。しかしヘルパンギーナは口内の発疹とあわせて40℃近い高熱、手足口病は全身に発疹が広がり、手足口病は高熱にはならず発熱しない場合もあるという大きな違いがあります。
また口内の発疹もヘルパンギーナは喉の奥に集中しやすいのに比べ、手足口病は頬の内側、歯ぐき、唇の上下など比較的全体に現れます。

ヘルパンギーナの感染経路

ヘルパンギーナはどのように感染するのでしょうか。感染経路は主に3つあります。

飛沫感染 咳やくしゃみなどでウイルスを含んだ分泌物を吸い込み感染
接触感染 皮膚や粘膜による直接的な接触、物体の表面を介した間接的な接触により感染
糞口感染 便の中にウイルスが排出しており、口に入って感染

ヘルパンギーナの感染が5歳以下の乳幼児で90%以上占めているのは、これらの感染経路が乳幼児が集団生活をする保育施設や幼稚園などにあるため、感染を防ぐのは極めて困難といえるでしょう。

【感染の原因となる行動例】

■誰かがウイルスのついた手でおもちゃを触り、そのおもちゃを別の子が触ってそのまま目をこすったり手を口にいれる
■咳やくしゃみをするときに瞬時に手やハンカチで覆うことができない
■おむつを替えるときに便の中のウイルスが浮遊する

これらを筆頭に感染原因となる乳幼児の行動を抑えることはできないため、保育園や幼稚園ではヘルパンギーナの感染が多いのです。

ヘルパンギーナで保育園を休む期間

ヘルパンギーナに感染したら保育園や幼稚園は何日休む必要があるのでしょうか。

症状が治まったら登園可能

ヘルパンギーナは学校保健安全法による出席停止が義務付けられている感染症ではありません。
規定の期間出席停止になる感染症は第1~3種までありますが、ヘルパンギーナは学校で予防すべき感染症に該当していません。そのため発熱もなく、発疹も消え、本人の体調が良くなった時点で登園は可能です。

登園前には要確認

ヘルパンギーナは基本的に数日で回復する夏風邪ですが、その後も2~4週間は便の中にウイルスが排出される感染症です。もちろん、発疹や高熱などの症状が出ているときと比べると、感染力は低下していますが、感染力があることは否めません。
しかしながら発症から便にウイルスが排出されなくなるまでの約1か月もの間、休むことは現実的ではありません。
保育園や幼稚園によって登園するためには医師の診断証明が必要など、対応が異なるので、症状が回復した後は事前に園に連絡をして確認すると良いでしょう。

関連記事:『ヘルパンギーナ:保育園は何日休む?感染期間と保育園への対処法

ヘルパンギーナ発症時の正しい対処法

ヘルパンギーナを発症したら、病院や薬、その他どのような対処をしたらいいのでしょうか。

ヘルパンギーナの治療法

ヘルパンギーナの主な治療方法は「対処療法」です。ヘルパンギーナに専用の薬はなく、病院へ行っても特別な治療方法はありません。
症状に合わせて痛みを和らげる鎮痛剤や、熱がひどい場合は必要に応じて解熱剤を使うなど、対処しながら自宅で安静にする治療となります。
まれに合併症がおこる場合もあるため、症状の経過観察はこまめにおこない、熱性けいれん、嘔吐、頭痛、呼吸が速いなど、少しでもこれまでと異なる症状が出た場合はすぐに病院で診察を受けるようにしてください。

食事には工夫を

喉にできる発疹は強い痛みをともないます。しかし高熱もあり身体が弱っているため、できる限り食事から栄養を取ることは大切です。
食べられる物は個人差が大きいので、おすすめ食品を参考に試してみてください。

■ヘルパンギーナ感染時のおすすめ食品
薄味、ぬるい、やわらかい、水分を多く含むような食品は食べやすいようです。
・うどん
・そうめん
・プリン
・ヨーグルト
・ゼリー
・アイスクリーム
・フルーツをミキサーでジュースにする

すっぱい物、硬さのある固形物やお米など、小さくても発疹に当たると刺激が強い形状の食品は避けましょう。

関連記事:『ヘルパンギーナは食事がつらい!喉が痛くても食べられる食品

脱水症状に注意

ヘルパンギーナの流行は夏のため、脱水症状に注意してください。
体内も食欲が落ちて水分不足になりやすく、環境が暑いと熱中症にもかかりやすくなります。水や麦茶などこまめな水分補給が重要です。少量しか水分が摂れない時は、OS-1などの経口補水液をこまめに飲みましょう。

入浴時の注意点

子どもがヘルパンギーナに感染した場合、お風呂では家族が接触感染をしないよう気をつけ、一番最後に入浴するようにしてください。
同じ洗面器やタオルを使うことは、物体の表面を介した間接的な接触感染をおこす可能性がとても高くなります。

お風呂に入ることは禁止されていませんが、高熱時はタオルで身体を拭く、少し下がったらまずはシャワーだけにするなど症状や体調をみて調整してみましょう。
発疹が消え熱が下がったあとでも2~4週間ほどは感染力が残っているため、一緒に生活している家族も気をつける必要があります。

プールは大きな感染源

発疹が消え、熱も下がればプールに入ることも可能です。
しかし症状が治まっても2~4週間ほどはウイルスは体内から排出されます。もちろん感染力は弱まりますが、いつからプールに入って良いかは医師の診察や通っている園の基準を参考にしましょう。
子どもの感染症が夏に流行する原因のひとつがプールだと考えられています。
感染経路のひとつである接触感染は、皮膚や粘膜からウイルスに感染することです。プールの中で口、鼻、目からウイルスが侵入し、感染が広がっていくのです。

ヘルパンギーナの予防

感染経路から考えて、乳幼児の集団生活において感染を完全に防ぎ切ることは困難です。あくまで夏風邪の一種なので、正しい知識を持ちつつ、「予防はするけれども感染は仕方のないこと」という意識で、あまり神経質にならずおおらかでいることも必要です。

手洗い

最も基本で、最も効果のある予防法です。子どもも周囲の大人もこまめに石鹸を使い丁寧な手洗いをしましょう。

おむつの処理

おむつ交換の際、使用済みおむつはビニール袋に入れ、しっかり口を閉じて処理しましょう。排便の後やおむつ交換の後は、入念に手を洗いましょう。

免疫力のために

免疫力が低下するとウイルスに感染しやすくなるので、免疫力を高く保つことが必要です。
そのためには生活リズムを崩さないための早寝早起き、バランスの取れた食事が大切です。
夏は基礎代謝エネルギーがあがるため、子どもの場合お昼寝は大切です。しかし夜の睡眠に影響するほどお昼寝をしてしまうと、生活リズムが崩れる原因となってしまいます。
お昼寝は1時間程度を目安に、日差しが和らぐ15時以降に再度外で遊ぶなどして、夜はしっかり熟睡できるよう調整してあげてください。

保護者の正しい理解と対応

子どもがヘルパンギーナかな?と思う症状を確認したら、まずは園に連絡をする、病院で診察を受ける、発症したら感染経路に気をつけるなど、保護者の正しい理解と対応が感染を広げないためにとても大切です。

おわりに

ヘルパンギーナについて、症状や原因、対処法、予防などを解説しました。
ヘルパンギーナは子どもの集団で流行する感染症のため、完全に防ぐことは困難ですが、病気の正しい知識を持ち予防法を実践しましょう。
また、基本的には子どもの感染症ですが、まれに大人も感染します。免疫力が低下すると大人もウイルスに感染しやすくなるため、免疫力を高く保つことが重要です。
とくにヘルパンギーナの流行する夏は、暑さで体力を消耗しやすいので規則正しい生活や食生活を意識してください。

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