漢方薬について「肥満症に効く」「冷え性に効く」「中国3000年の歴史」「副作用がない」「自然から生まれて身体に優しい」といったさまざまなキャッチコピーを目や耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか。

漢方薬は医療現場で使用されることもあり、薬局やドラッグストアでも大々的に宣伝していますが、「何が良いのか」「西洋薬となにが違うのか」「使い方がよくわからない」などの疑問を抱くこともあるかもしれません。

そこで今回は、漢方薬に関する疑問を解消するために「漢方薬について知っておきたい5つのこと」をご紹介します。

① 漢方薬とは?

「漢方薬」とは複数の「生薬」という漢方のベースとなる要素が決められた数量で合わさったもので、処方される症状なども西洋薬とは異なる薬です。

そもそも、西洋医学は「木を見る医学」、漢方医学(東洋医学)は「森を見る医学」と言われており、診療や処方の方法は全く違ったものとなっています。

西洋医学と漢方医学の違い

西洋医学では、病気の根源となるものを検査・特定して対処します。患者の調子を悪くしている原因となるものを検査により科学的に洗い出し、病名を「診断」してから病気を治す薬がはじめて「処方」されます。例えば熱が出れば検査し、その原因としてウイルス、細菌、炎症部位などを特定し治療するのです。

漢方医学(東洋医学)では、患者の自覚症状を重視して医者が判断し、薬を処方します。漢方独自の四診(望診・聞診・問診・切診)に基づいて、病気の原因を探るのではなく患者主体の症状を診断します。患者の舌の状態を見たり、脈を測ったり、患者が感じている症状を聞いたり、と病気の科学的な検査は基本的にはしません。

そのため、同じ薬でも違う病気に使われることもあり、違う薬を同じ病気に使用することもあります。あくまで、「患者主体での診断から薬の処方という流れ」となるので、オーダーメイドな診療になっていきます。

このように、西洋医学は科学的根拠に基づき病気の原因となるものを治していくことを重きにおいており、漢方医学は患者の体調に耳を傾け症状の改善を目標に薬を処方します。

② 漢方薬はどういう症状に効く?

漢方薬は、「未病(みびょう)」と呼ばれる病気になる前の状態に対しても薬を処方することができます。未病とは、言ってしまえば「病気というほどではないが、少し身体の調子が悪いと感じる症状」のことです。

「冷え」「だるさ」「イライラ」「ちょっとした寝付きの悪さ」などの症状を経験されている方は多いと思います。

西洋医学においてこれらの症状は「病気」として認識されず、「不定愁訴」としてくくられます。そのため、冷え性などは診断もされなければ薬も処方してもらえません。しかし、漢方薬はこれらの症状は「未病」として診断し、薬を処方することができます。

未病をずっと放っておくと本当に病気になってしまいます。「風邪っぽい」といった症状を放置して悪化させてしまった経験のある方も多いのではないでしょうか。漢方には「未病」を徹底的に治して、「病気」にならない身体を作るという特徴があるのです。

また漢方は、なかなか治りづらい病気(慢性疾患)に適用があり、アトピーなどのアレルギー疾患、自律神経系、生活習慣病などの治療に用いられています。一方で、急性の病気やがん治療などには向いていません。ただし、がん治療の緩和ケアに使用されることなどはあります。

③ 漢方薬はどこで買える?

漢方薬は西洋薬と同様に、病院・診療科で処方されるものと、処方箋なしで薬局やドラッグストアで購入できるものがあります。

またOTC(一般用医薬品:処方箋なしで購入できる薬のこと。有名な薬ではイブやバファリンなどが相当します)は薬局やドラッグストアで購入できます。

処方薬は医者に診断されて、処方箋に沿って薬をもらいます。処方薬には、生薬を煎じる「煎じ薬」や「エキス顆粒」などの剤形が一般的です。

余談ですが、煎じ薬は現在、原材料の生薬の原料価格の高騰で、一部保険が適用されないケース(処方薬が原価で提供されるケース)もありますので、煎じ薬を希望する場合は医療機関等に相談されてから受診されることをお勧めします。

処方箋なしで購入できる一般用医薬品(OTC)は最近、様々な製薬メーカーが商品を出しているので、ドラッグストアや薬局で比較的手に入り易くなっています。

OTCの煎じ薬はなかなか普通の薬局では手に入りませんが、エキス顆粒、錠剤、カプセル剤など、服用しやすいタイプで販売しているものは多く、こだわりがなければそれほど困りません。最近は液剤(ハルンケアなど)としても売られているものも多くなっています。

④ 漢方薬の飲みやすさは?

煎じ薬は漢方特有の服用方法であり、その他は西洋薬と一緒です。

煎じ薬は普通の薬とは服用方法が違っていて、少し手間がかかります。煎じ薬は刻んだ生薬がパックの中に入った形で提供されます。このパックを水600mLくらいとろ火で煮出し、300mLくらいになるまで煮込みます。その煎液を1日3回温めて服用するのが基本です。手間がかかりますが、漢方特有の香りなども合わさって効果が得られるといわれています。

他は西洋薬と同じ剤形のものが多くなってきたので、水や白湯で飲むのが一般的です。漢方薬で比較的多いエキス顆粒は白湯に溶いて飲むことが良いとされていますが、忙しい方などは粉薬と同じように水や白湯で飲んでも問題ありません。どうしても味や匂いが気になる人は、オブラートなどで包んで服用すると良いでしょう。

また、漢方薬は吸収などを考慮して食前または食間(食前の30分前・食後の2時間後)に服用することがすすめられています。ここが西洋薬と決定的に違うところかもしれません。さらに個人差はありますが、漢方薬は自分の症状と服用する漢方薬が合っていると、美味しく感じることがあるのです。

⑤漢方薬を飲む際に注意することは?

漢方薬は不定愁訴から慢性疾患まで適用が広く、西洋薬に比べ作用が優しいと言われるものが多いです。副作用の発生頻度も西洋薬より低いことも事実ですが、安易に服用できるものでもありません。特に西洋薬と飲み合わせる時は注意が必要です。

漢方薬は大昔より副作用もそこまで多くなく、先代が服用してきた処方の生き残りです。そのため経験的な意味からすると「安全」かもしれません。しかし、近代に生まれた西洋薬とは違って、「科学的な安全性」が担保されているわけではなく、飲み合わせによっては思わぬ副作用を引き起こす可能性があります。

こういった事態を避けるため、購入の際は必ず医療機関や薬局で医者・薬剤師に相談することをおすすめします。また、単に作用が弱そうだからといって、多量に服用することも副作用が生じる原因となるのでやめましょう。

おわりに

いかがでしょうか?

西洋薬と漢方薬はお互いメリット・デメリットがあり、そのバランスを考慮しながら薬を服用することが大切です。自分の体調は自分で守れるように、薬の特性をちょっと理解して上手く薬と付き合っていきたいですね。