国立感染症研究所が17日に発表した直近のRSウイルス患者数情報によると、12月1日〜12月7日(2014年第49週)における全国約3000医療機関(小児科)が報告したRS患者数が「6851人」に達したことがわかりました。

過去最多の患者数記録を更新した前週(11月24日〜30日)の「5495人」を1.2倍強と大きく更新し、2003年の観測開始史上過去最悪ペースで患者数を更新することとなりました。

これにより前週、前々週、と続いていた過去最多の患者数を3週連続で更新し、例年の患者数の2.5倍レベルとなりました。

過去10年間のデータも含めた流行状況をグラフにすると以下のようになります。
赤色の線が今年のRSウイルスの週間患者数となっており、過去最高の患者数を続けています。
紺色の線は過去10年間の流行度の平均値となっており、今年は同週における例年の平均患者数の2.5倍レベルという状況になってきています。
なお、都道府県別で患者の数が多いのは「北海道」「大阪府」「東京都」となっています。
流行は感染のピークとなる来年1〜2月まで続くとみられています。

RSウイルスは生後2歳までにほぼ全ての子どもが感染する呼吸器の疾患で、乳幼児は繰り返し感染するという特徴を持ちます。

何度も感染を繰り返す中で免疫を獲得し、年長の子供や大人の大半は、鼻水や軽い喉の痛みや軽い発熱など普通の風邪の症状で治まるようになります。

しかし、初めて感染する6か月未満の乳幼児は肺炎や気管支炎などを併発しやすく重症化につながるリスクがあるため、この時期に風邪のような症状がでている場合は小児科などの医療機関で治療判断を仰ぐなど特に注意が必要です。

感染予防のワクチンや、ウイルス自体を叩く抗ウイルス治療薬はなく、対症療法での治療となるため「生後3カ月以内の乳児の感染は特に注意すること」「おもちゃや手すりなど、乳幼児が手や口にするものも消毒する方が好ましい」とされています。

また、呼吸器系の持病のある高齢者や、免疫不全となる持病を持たれている方も重症化のリスクがあるため同様の注意が必要で、2013年は16名が亡くなっている疾患でもあります。

なお、RSウイルスは消毒薬に弱く、「消毒用アルコール(手足洗い・食器・家具など)」「ポピドンヨード(イソジンなど=うがいなど)」「次亜塩素酸ナトリウム(ミルトンなど)」が有効とされています。

参考記事:お家で手軽に本格的な消毒液「次亜塩素酸ナトリウム消毒液」を作るためのレシピ
 

そこで今回も先週に引き続き、「RSウイルスに負けないために押さえるべきポイント」を改めてご紹介します。
 

赤ちゃんの「初感染」のときは特に注意しましょう

RSウイルス感染症は何度も感染・発病を繰り返す身近な病気で、2歳までにはほぼ全員が感染します。

初めて感染・発症したときは症状が重くなりやすいため、初めての感染時は喘息や肺炎などへの重症化を防ぐことが何より大切です。

また、乳幼児の場合は2回目以降も油断せず体調不良を起こしたら小児科を活用しつつしっかりとケアをしてあげてください。
 

感染経路は「飛沫感染」と「接触感染」

RSウイルスは、主に咳やくしゃみで感染する「飛沫感染(ひまつかんせん)」や、ウイルスがついているものに触ったりなめたりして感染する「接触感染(せっしょくかんせん)」で感染します。
おもちゃや身の回りの物を消毒して清潔に保つのと、家族全体でマスクや手洗いうがいを徹底することが大切です。

 

潜伏期間から発症、回復までの病気の経過を押さえよう

RSウイルス感染症の一般的な経過(潜伏期間→発症期→重症期→回復期)

RSウイルスに感染すると上の図のような経過をたどります。

発症すると、初期症状は「風邪」に似た咳や鼻水が出てきます。

「まだRSウイルスに感染したことがない」という赤ちゃんは、この初期症状でもなるべく小児科などで担当の医師と治療判断をしつつ、必要な治療を開始していくとより安心でしょう。
初めて感染したときの乳幼児では、約3割の方が咳を悪化させ、喘鳴、呼吸が苦しくなる症状等になりますので、落ち着いて早めに医療機関に向かいましょう。特に乳児期早期(生後数週間~数カ月間)に初感染した場合は、細気管支炎、肺炎といった症状を引き起こすことがあります。

何度か感染したことがあって免疫がつきつつある子も、咳の症状が重くなった場合は早めに小児科などに相談しましょう。
また、もともと喘息などをお持ちの子は初期症状の頃から喘息発作などの注意をしてあげてください。
 

治っても感染力が7〜21日続きます

RSウイルスが体内に止まる期間は比較的長く、7〜21日間続きます。ですので、症状がよくなっても他人に移したり、自分が再感染することもありますので、手洗い・うがい・マスクなどでの予防をしっかりとしましょう。
 

重症化リスクの高い方は予防薬の「シナジス」の利用を相談しましょう

残念ながらRSウイルスには予防接種のようなワクチンはないですが、重症化を防ぐシナジス(パリビズマブ)という注射があります。

シナジスは特定の条件を満たす方では保健医療が適用されますので、条件に合致する乳幼児の方は必ず小児科などに相談してシナジスの活用を検討してください。

シナジスの投与が保険適用となるのは以下のような条件を満たす乳幼児です。

  • 在胎期間28週以下の早産で、12カ月齢以下の新生児及び乳児
  • 在胎期間29~35週の早産で、6カ月齢以下の新生児及び乳児
  • 過去6カ月以内に気管支肺異形成症の治療を受けた24カ月齢以下の新生児、乳児及び幼児
  • 24カ月齢以下の血行動態に異常のある先天性心疾患の新生児、乳児及び幼児
  • 24ヵ月齢以下の免疫不全を伴う新生児,乳児および幼児
  • 24ヵ月齢以下のダウン症候群の新生児,乳児および幼児
     

大人こそ「自分の風邪や体調不良」や「手洗いマスク」などの予防に気をつけるべき

RSウイルスの感染経路は赤ちゃん同士より、大人からの感染の方が多い可能性があります。

というのも、大人もRSウイルスに感染するのですが、小児と違って「ちょっとした風邪」くらいの症状にしかならず、油断して対策を取らないことが多いからです。

風邪や咳があるとき時の、バスや電車などでの移動時や外出時は必ずマスクをするようにしましょう。

ぜひ社会全体で赤ちゃんをRSウイルスから守っていきたいですね。

もちろん乳幼児をお持ちの家族の方や親御さんは徹底して気をつけてください。
 

それでも感染した時は・・・

  • まずは小児科に相談しましょう
    秋になって風邪のような症状が出た場合は無理せず早めに小児科に相談しましょう。
    特にRSウイルスに感染したことがない方は必ず医療機関で診てもらいましょう。
     
  • 治療は基本「対症療法」をおこないます
    治療は基本的には対症療法(症状を和らげる治療)となり、咳止め、鼻水をとめる抗アレルギー薬、気管支を拡げるお薬、痰を切りやすくするお薬、炎症を抑えるステロイドが使われることが多いです。
     
  • こんな症状がでたら早めに病院にいきましょう
    普通の咳に痰がからまり咳が辛くなってきている、呼吸をすると「ぜーぜー、ひゅーひゅー」といった音が聞こえる、呼吸をするのが辛そうにみえる、熱が下がらないといった症状が出て来た場合は早めに再度病院で診てもらってください。
     
  • 自宅では重症化のチェックと家族全員の予防が大切
    ほとんどは軽症ですみますが、咳の症状などが重くなっていないかをよくみてあげてください。
    また、子供が感染したら家族全員で手洗いをしましょう。
    1歳以下の乳児にいかに感染させないようにするかが重要なポイントになります。​
     
  • 保育園・幼稚園への対応
    インフルエンザなどとは異なり、RSウイルスは登園登校に法律の定めがありません。
    通っている保育園・幼稚園に自主的なルールがあればそちらにしたがい、なければ一般的には症状がなくなってから念のため1日休めば登園・登校できるでしょう。

 

おわりに

過去最大の流行状況にあるRSウイルスもさすがにそろそろ落ち着いてくるかと思いますが、年末年始に感染・発症して慌てる前にしっかりとポイントを押さえて心の準備をしておきたいですね。