不老長寿のカギとなるか、不健康な細胞を「間引き」する遺伝子の研究が進んでいます

古来からの人類の夢、不老長寿が一歩近づくかもしれません。

スイス・ベルン大学の細胞生物学の教授Eduardo Moreno博士らによる、セル誌に論文掲載された研究で、遺伝子操作によりハエの寿命を1.5倍に延ばすことに成功したそうです。

(Image Credit: Institute for Cell Biology, University of Bern)

エラーの起きた細胞は「間引き」されている

人間の体は数兆個もの細胞でできていて、ストレスや紫外線などの要因によりそれらの細胞に起きるランダムなエラーは、年齢とともに蓄積していきます。
しかしすべての細胞に平等にエラーが起きるわけではなく、エラーが起きた細胞と健康な細胞が混在した状態となっています。

どの細胞が死にどの細胞が生き残るか、細胞の健康度をベースに取捨選択を行い、ダメージを受けた細胞を「間引き」し健康な細胞を残すことができれば、エラーの起きた細胞が異常増殖することにより起きる癌を防いだり、組織の健康を保ち、老化を遅らせ寿命を延ばすことにつながるはずだと考えたMoreno教授らは、キイロショウジョウバエを使った実験で、ダメージを受けた細胞で活性化する遺伝子を特定しました。
Moreno教授らは、湖の魚を守るために釣り船を沈めるアステカ族の伝説の生き物「Ahuizotl」にちなんで、この遺伝子を「Azot」と名づけたそうです。


image by Wikimedia

通常、1つの細胞にAzot遺伝子は2つ存在するのですが、これを1つの細胞につき3つにすると、細胞の「間引き」はより効率的に行われるようになり、その結果、遺伝子操作でAzotを増やしたハエは通常のハエより平均寿命が50~60%長くなったそうです。

このAzot遺伝子は人間にも存在しているため、将来的には人間でも細胞の「間引き」の精度を上げ、神経変性や組織変性の防止により寿命を延長することができるのではないかと期待されています。
 

おわりに

日本は2013年に男性の平均寿命も80歳を超える(男性80.2歳、女性86.6歳)など、世界有数の長寿国となっています。
一方、介護を必要とせず自立した生活ができる生存期間を指す「健康寿命」は、2010年の統計で男性70.4歳、女性73.6歳とされています。

不健康な細胞の「間引き」の促進は人間の寿命を延ばす画期的な方法となる可能性があるとともに、健康寿命をのばすという面でも期待できるかもしれません。

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