卵(鶏卵)は重量の約12.6%がタンパク質であり、必須アミノ酸がバランス良く含まれた優秀なタンパク源。ビタミンやミネラルも豊富です。
しかし、卵には1個60g(可食部52g)あたり約220mgのコレステロールが含まれるため、「卵を食べるとコレステロールが上がる」と思っている人も多いのではないでしょうか?

その考え、時代遅れだそうです!
髪の毛を食べても髪は生えないように、卵からコレステロールを摂取しても血中コレステロール濃度には影響がないことがわかっています。

コレステロール値を上げるのはコレステロールでなく飽和脂肪酸!

過去には、食品から摂取されるコレステロールにより血中のLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)濃度が上がり、虚血性心疾患のリスクが高まると考えられ、コレステロールを豊富に含む卵(特に卵黄)が悪者扱いされる時代もありました。

しかし、コレステロールに富む食品の多くは、飽和脂肪酸も多く含んでいて、この飽和脂肪酸の方こそLDLコレステロール値に影響していることが判明しています。

血中コレステロールのほとんどは、食品から摂取されるものではなく、肝臓で作られるものです。

コレステロールを単独で摂取しても血中コレステロール濃度は上昇しますが、LDL(悪玉)だけでなくHDLコレステロール(善玉)も増えることによりバランスは保たれます。
また、その増加量は不飽和脂肪酸によるものと比べると僅かで、無視できるほどのものとのこと。

卵には重量比で9%ほどの脂質が含まれますが、飽和脂肪酸はそのうち28%と少なく、血中コレステロール濃度への卵の影響は臨床的に有意なものではないという見方が現在の主流です。
また、卵の栄養成分は飼料などにより変化し、近年は卵に含まれる脂質は減少傾向にあるというデータもあります。

卵のコレステロールはほとんどが卵黄に含まれるため、心臓病予備軍の患者に卵黄を避けるよう指導する医師も多かったのですが、卵黄には血中中性脂肪を減少させ心臓病予防効果のあるω-3脂肪酸(オメガスリーしぼうさん)も豊富に含まれていることがわかっています。
ω-3脂肪酸の中でも特に脳の健康や視力の維持にかかわるドコサヘキサエン酸(DHA)が多く含まれるため、魚が苦手な人にとっては貴重なDHAの摂取源となっています。
また、海から離れた内陸部に住む人々にとっては、卵黄は貴重なヨウ素(主に海藻から摂取される)の摂取源ともなってきました。

2013年にBritish Medical Journal誌に掲載された、それまでの多数の先行研究を統計学的に分析した論文によると、卵の摂取量は虚血性心疾患や脳卒中のリスクとは関連せず(ただし糖尿病患者においてのみ虚血性心疾患のリスクが高まった)、出血性卒中のリスクはむしろ卵摂取量が多いグループで低くなっていたとのことです。

卵に含まれるビタミン・ミネラルなどの栄養素とうれしい健康効果

卵には代表的なものだけで以下のような栄養素が含まれます。

  • ビタミンA:肌や粘膜の健康を保ちます。特に、目の病気(白内障や加齢黄斑変性など)の予防とかかわるルテイン・ゼアキサンチンの形で含まれています。
  • ビタミンB2(リボフラミン):エネルギーの代謝を助け、赤血球・視力・神経系の健康にかかわります。
  • ビタミンB12:エネルギー代謝・赤血球・免疫系・神経系の健康にかかわります。
  • ビタミンB5(パントテン酸):エネルギー代謝と精神機能にかかわります。
  • ビタミンD:カルシウムの吸収を助け骨と歯の健康を保ちます。
  • ビタミンE:生殖系・神経系と筋肉の健康を保ちます。
  • ビオチン(ビタミンB7):エネルギー代謝を助け肌・髪・免疫系の健康を保つ。
  • コリン:脂肪の代謝と肝機能を助ける。神経伝達物質アセチルコリンの原料となり、脳機能や胎児の脳の発達にかかわる。
  • 葉酸(ビタミンB9):造血と妊娠中の組織形成にかかわる。
  • ヨウ素:甲状腺の機能を助け、皮膚と神経系の健康を保つ。
  • :赤血球のもとになり全身に酸素を運ぶ役割を担う。
  • リン:骨と歯の健康を保ちエネルギー代謝を助ける。
  • タンパク質:筋肉・臓器・肌や抗体・酵素・ホルモンをつくるのに不可欠。
  • セレニウム:細胞を酸化的障害から守り、免疫系と甲状腺機能を助ける。

卵には、筋肉や骨・肌・目・脳の健康維持や胎児の発達に欠かせない栄養素が豊富に含まれています。
最近では、鶏に与える飼料によりヨウ素や葉酸、DHAなどを強化した卵も販売されているので、適宜とりいれてみてもよいでしょう。

また、卵に含まれる良質のタンパク質は筋肉量を増やすのに最適なだけでなく、満腹感が長く続きダイエットに効果的なこともわかっています。
100gあたり143kcal、M玉1個(可食部52g)あたり約74kcalと低カロリーなところもうれしいですね。

「カラザ」はとらないで!卵のヘルシーな食べ方

卵は1日何個食べるべきか、1日の摂取量に上限はあるのか?という質問には、残念ながら明確な答えは出ていません。
というのは、これまでに行われた研究では、多くても1日3個程度食べる人々のデータしかないためです。
前述のBMJ誌に掲載された論文では、1日1個(1週間に7個)までなら心臓血管系に悪影響はないとされています。

もちろん、適切な摂取量には個人差があり、1日25個の卵を食べてもコレステロール値は正常な88歳の男性の例もある一方で、糖尿病や心疾患のある場合は推奨摂取量は1週間に3個(卵黄3個、卵白はそれ以上食べてもよい)までとなっています。
厚生労働省のガイドライン(2010年版)によるとコレステロール摂取の基準値は成人男性で1日750mg以内、女性で600mg以内となっているので、健康な成人男性なら1日1~3個女性なら1~2個を目安に食べるとよいでしょう。

卵を食べるときに最も注意したいのが、サルモネラ菌による食中毒です。
よく火を通すことが一番の予防法となります。
食中毒の予防にくわえ、生卵は加熱した卵と比べタンパク質の吸収率が低いため、栄養学的にも卵は加熱して食べるほうが健康的です。
サルモネラ菌は卵の殻に付着している場合が多いため、買った時点でひび割れている卵の生食は避けてください。

生で食べる際は必ず賞味期限内の、できるだけ新鮮な卵を使いましょう(日本で販売されている卵の賞味期限は生食を想定した期限を表示してあります)。
新鮮な卵は割ると白身も黄身もぷくっと盛り上がります。逆に白身がほとんど水のようにサラサラしていたり、黄身に張りがなくシワが寄っていたりしたら、ちょっと古い卵だと思ってください。

また、卵かけごはんの卵をかき混ぜる際などに、カラザ(白いひも状の部分)を取り除く人も多いと思いますが、カラザにはシアル酸という成分が含まれています。
シアル酸は免疫系や脳の発達にかかわる栄養素で、最近ではがん抑制効果やアンチエイジング効果でも注目されています。カラザは取り除かずに食べましょう!

オリーブオイルとの組み合わせが◎、おいしく調理して毎日とりいれましょう

卵が循環器科医たち(特にアメリカ心臓病協会)から長い間敵視されてきた背景には、アメリカ人の朝食の定番としてベーコンやソーセージ、バターなど飽和脂肪酸たっぷりの食品と組み合わされてきたこともあります。
朝のスクランブルエッグや目玉焼きには飽和脂肪酸の多いバターやトランス脂肪酸の多いマーガリンでなく、一価の不飽和脂肪酸であるオレイン酸に富んだオリーブオイルを使いましょう。
牛乳やチーズでカルシウムを補い、野菜や果物でビタミンCや食物繊維を摂取すれば、理想的な栄養バランスの朝食となります。

和食なら、やはり不飽和脂肪酸であるリノール酸やオレイン酸を多く含むゴマ油と組み合わせるのも良いでしょう。カルシウムを含むじゃこを卵焼きに入れるのもおすすめです。
お弁当なら、ゴマ油で焼いた卵焼きと、ビタミンCを含むミニトマトやブロッコリー、カルシウムやビタミンCを含むほうれん草のおひたしとの組み合わせが相性抜群です。

(by sota via flickr)

ツナやサーモンと組み合わせたサンドイッチは、記憶にかかわるDHAと脳のエネルギー源となるブドウ糖を同時に摂取でき、受験生やテスト勉強中の夜食に最適です。

卵のコレステロールによる血中コレステロール濃度への影響は、卵に含まれるほかのさまざまな栄養素による健康効果と比べるとごくわずかなものです。
いろんな食材とバランスよく組み合わせ、毎日の食卓に卵の健康効果をとりいれましょう!

(image by freeimages)
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