水虫は、白癬菌(はくせんきん)というカビの一種が皮膚に感染することで発症します。

特に、頭皮や髪の毛が水虫に感染する病気を「頭部白癬(とうぶはくせん)」または「しらくも」といいます。

この記事では、頭部白癬ができる原因や症状をはじめ、治療法や対処法などについて詳しく解説します。

頭部白癬ができる原因

頭部白癬は白癬菌が頭皮や髪の毛に感染することで発症します。

感染力が非常に強く、周囲の人にうつりやすいのが特徴です。

頭部白癬の発症率は思春期以前の男性に高く、特に幼児や子供に発症しやすい傾向があります。

頭部白癬になる主な原因は、水虫にかかっている人からの伝染です。

家族内で頭部白癬に限らず、足や手の水虫にかかっている人がいる場合、感染者から落ちた皮膚を踏んだり共用のタオル・バスマットなどを使用したりすることによってうつります。

また、柔道やレスリングなどの肌が接触する機会が多いスポーツでは、選手間で水虫の感染が拡大しやすいため注意が必要です。

ほかにも、犬や猫といった動物からうつることもあります。

頭部白癬の症状

頭部白癬にかかると、頭皮の表面にフケのような細かい皮膚片が生じたり、うろこ状の発疹が現れたりします。かゆみの自覚症状をともなうことは稀です。

症状が進行すると、徐々に斑状の円形脱毛がみられるようになるとともに、感染している部位周辺の毛髪が折れやすく抜けやすくなります。

もろくなった毛髪が切れて短い毛の切れ端が残ることによって、黒い点状の模様がみられるようになるのも一つの特徴です。

重症化することもある

頭部白癬が重症化すると「ケルズス禿瘡(とくそう)」と呼ばれる病気が生じることがあります。

ケルズス禿瘡になると、頭皮に痛みや炎症・膿をともなう大きな腫れ・水疱が現れます。

水疱が破れてかさぶたになったり、腫れが引いても瘢痕性脱毛症(はんこんせいだつもうしょう)による永久脱毛になったりすることもあります。

ステロイド剤は使用しないこと

頭部白癬の症状は、乾癬や円形脱毛症などの病気と症状が似ているため、見分けることが困難な場合があります。

見分け方の一つとして、フケ・発疹・脱毛の症状が同時に現れるようであれば頭部白癬の疑いが強いため、皮膚科を受診しましょう。

自己判断で乾癬などの他の病気と判断して市販のステロイド剤を使用すると、頭部白癬が重症化してケルズス禿瘡を発症してしまう原因になります。

フケ・発疹・脱毛などの症状が同時に現れる場合は、必ず一度皮膚科を受診するとともに、受診の際は医師に頭部白癬が心配である旨と考えられる原因を伝えましょう。

頭部白癬の治療法と治療期間

水虫を治療する場合は塗り薬の外用抗真菌薬を使用することが多いのですが、頭部白癬の場合、外用抗真菌薬を使用すると刺激により炎症が悪化することがあります。

また、毛包と呼ばれる体毛を生み出す皮膚の器官には外用抗真菌薬の効果がないため、頭部白癬に塗り薬は使用しません。

頭部白癬の治療法は、主に飲み薬を用います。

よく使用される飲み薬

現在、頭部白癬の治療に使用される主な飲み薬は「ラミシール」と「イトリゾール」の2種類です。

◼︎ラミシール

ラミシールは効果が高いのが特徴で、水虫の治療でよく使われる薬です。

ただし、ごくまれに肝機能障害や血球減少などの重篤な副作用を起こすことがあるため、治療前と治療開始後2か月は月1回の定期的な血液検査が必要です。

ラミシールは錠剤タイプで、治療期間は1日1回6か月以上の服用が必要です。

◼︎イトリゾール

イトリゾールは、ラミシールに比べて副作用の少ない薬です。

しかし、飲み合わせの悪い薬が非常に多いため、使用する際には細心の注意を払う必要があります。

イトリゾールによる治療では、薬を服用する期間と服用しない期間を周期的に繰り返す「パルス療法」という治療法が取られます。

薬の形状はカプセルタイプで、1日2回を1週間服用したあと3週間休薬するというサイクルを合計3回繰り返します。

治療期間は3か月程度で、ラミシールよりイトリゾールの方が短くなります。

薬を使用する際の注意点

症状がなくなったからといって、自己判断で薬の使用を中止するのはやめましょう。

水虫の薬は原因である白癬菌が完全にいなくなるまで使い続ける必要があり、白癬菌が完全に死滅していない場合は症状が再発してしまいます。

薬の使用期間については医師の指示に必ず従いましょう。

また、薬を使用に際しては、頭髪を短くすることとこまめに洗髪をすることがすすめられます。

頭部白癬の対処法は?

頭部白癬を治すために自分でできることは、基本的に皮膚科を受診することだけです。

頭皮の水虫は通常の足などの水虫と性質が異なるため、市販薬や民間療法で治すことは困難です。

中には水虫に効く成分のサリチル酸を含むシャンプーを使用する方もいますが、白癬菌は頭皮の奥深くに潜んでいて効果が届かないため、頭部白癬にシャンプーを使用してもほとんど効果が期待できません。

症状から頭部白癬が疑われる場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。

おわりに

頭部白癬は感染しやすい病気なので、身近に頭部白癬の人がいる場合は注意が必要です。

頭部白癬の人とタオル・帽子・まくらなどを共有するのを避けましょう。

また、柔道やレスリングなどの人と接触するスポーツをしている人は、運動後にシャワーを浴びたり柔道着などをこまめに洗濯したりするなどして予防につとめましょう。