突然ですが、

Aグループ
久保田利伸さん(シンガー・ソングライター)
ハイヒールモモコさん(漫才師)
栗山英樹さん(プロ野球監督)
今井翼さん(歌手、俳優、タレント)

Bグループ
浜崎あゆみさん(歌手)
スガシカオさん(シンガー・ソングライター)
北川悦吏子さん(脚本家)
故・十八代目 中村勘三郎さん(歌舞伎俳優)

この各グループに属する方々の共通点、何だか分かりますか?

答えは、Aグループの方々は「メニエール病」Bグループの方々は「突発性難聴」になった経験のある方々です。
有名人の中にも闘病経験がある方が多い病気なので、どこかでこれらの病気のことを耳にしたことがある方もいると思います。

聞こえが悪い・雑音が入る・激しい耳鳴り・めまいや吐き気を伴う
どちらの病気も似た症状があるのですが、これが問題。
似ている要素があることで本来とは違う病気だと間違えてしまう恐れがあるのです。

これらの病気は早期発見出来れば完治が可能といわれています。
しかし、発見が遅れたり、病状が悪化すると完治や治療が難しくなる場合もあります。

正しい診断をすることで正しい治療を行う。
誤った自己判断をしないために、「メニエール病」と「突発性難聴」の違いや正しい治療の仕方を紹介していきます。

 

「メニエール病」と「突発性難聴」の違い

「メニエール病」と「突発性難聴」は、そもそもどんな病気なのでしょうか。

メニエール病とは

「回転性のめまい」「難聴」「耳鳴り」が連動して起こる病気です。

めまいの発作は不定期に繰り返され、何のきっかけもなく発症します。また、一回のめまい発作が約30分~6時間程度続きます。めまいから吐き気、冷や汗、嘔吐、脈が早くなる、顔面蒼白になるなどの症状も誘発されます。また、めまいの発作は冬や雨が続いて気圧が低い日も起こりやすいです。

難聴は内耳性で、特に低音部に障害が出ます。また、難聴や耳鳴りはめまいと連動していることが多く、耳に閉塞感を感じることもあります。稀に「難聴と耳鳴りはあってもめまいがない」など、上記の症状が揃わないケースもありますが、経過を追うごとに症状が揃い、典型的なメニエール病の症状をあらわしてきます。

これらの症状は、片耳のみに生じることが多いとされています。
 

メニエール病の原因

メニエール病の原因は現在のところ明確にされていませんが、研究者の間では精神的ストレス過労が原因であると言われています。

メニエール病を診断する材料として、「内耳に内リンパ水腫が発症しているか」があります。メニエール病では、内耳にある「内リンパ液」が過剰な状態になり、内リンパ水腫が発症します。そして、この状態を誘発するのがストレスや過労であると考えれています。


 

メニエール病はこんな人がかかりやすい!

仕事人間で生活が不規則になりやすい人や、神経質でストレスによる影響を受けやすい人に多い傾向があります。

年齢層 30歳~50歳に多く、子どもは稀。
性別 男性よりも女性に多い。
体格 肥満者よりも健康体の人の方が多い。
性格 几帳面、神経質、完璧主義といった人の割合が高い。
生活疲労 精神的・肉体的疲労を感じている人、ストレスを抱える人に多い。
睡眠

睡眠不足が続いている人におこりやすい。

発症しやすい職業

活動的な商社マン、営業職、教師、学者など

その他

介護疲れ、子どもを持つ親御さんは子どもの悩み(非行、登校拒否など)、対人関係トラブル

 

突発性難聴とは

明らかな原因が思い当たらないにもかかわらず、ある時突然耳が聞こえなくなる病気です。
高度な難聴と同時に、耳鳴りや耳が詰まった感じがあり、めまいや吐き気を生じることもあります。発症が突発的であることから、ほとんどの患者さんが発症の時期やそのときの状況を覚えていることが多いです。「いつからかはっきりせず、徐々に聞こえなくなった」という難聴は突発性難聴ではありません。なお、めまいは病気が治った後は繰り返さないという特徴があります。

また、厚生労働省研究班は、突発性難聴の診断基準を以下のように定めています。【主症状:突然の難聴である。高度な感音難聴である。原因が不明・不確実。】
【副症状:耳鳴り。めまい。吐き気や嘔吐。】

「主症状・副症状を全項目満たす」場合には「確実例」とし、「主症状もしくは副症状」に該当する場合、「疑い例」として扱います。
 

突発性難聴の原因

突発性難聴もメニエール病同様に明確な原因は分かっていません。しかし、現在2つの有力な原因説があります。

◼︎ウイルス感染説
この説があげられる理由は、

・難聴発症前に風邪のような症状を訴える患者さんが少なくない
・突発性難聴になったとしても、それが一回限りである(再発がほとんどない)
・おたふく風邪やはしかなどのウイルス疾患が突発的な高度難聴を起こす

というのが根拠となっており、ウイルス感染によって引き起こされると考えられています。

◼︎内耳循環障害説
「内耳血管の麻痺や塞栓」、「血栓」、「出血などによる循環障害」は突発性難聴の「突然の発症」という点において、うまく説明出来ることから「内耳循環障害」による所があるのではと言われています。

また、治療に血管拡張剤、抗凝固剤などの「循環を改善する薬剤が有効である」と報告されていることも根拠になっています。しかし、この説は「再発はほとんどない」という突発性難聴の特徴説明が困難だという側面があります。
 

突発性難聴はこんな人がかかりやすい!

はっきりとした結論は得られていませんが、難病情報センターによると下記のような傾向が強いと発表されています。

年齢層

50~60代に多い。

性別

男女に差はない。

飲酒・喫煙による影響

あまり関係がない。
睡眠

睡眠時間は関係ないが、発症前に疲労感を感じている場合が多い。

病気の既往

おたふくかぜ、はしか、みずぼうそう、じんま疹、胃腸炎、感冒、高血圧、糖尿病、心疾患の既往が突発性難聴の患者に多く見られる。

 

「メニエール病」と「突発性難聴」それぞれの治療法

メニエール病と突発性難聴は、基本的には投薬の治療になります。それぞれ病気の進行の度合いによって、段階を踏んだ治療を選択することになります。
 

メニエール病の治療方法

薬による治療が中心です。この病気の原因である「内リンパ水腫」に対しては、水ぶくれを軽くする目的で利尿剤系統の薬を多く使います。また、内耳の神経細胞や内耳神経の活動を改善する目的で、ビタミン剤や血流改善剤などを使います。

めまいが起こっている時には鎮静剤も有効です。また、めまいを誘発する原因として、長期にわたる精神的緊張や過労、睡眠不足があげられるので、何より規則正しいライフスタイルに改善する必要があります。

これらの治療に効果が得られず、必要と判断された場合は手術が行われる可能性もあります。

【一般的な手術の術式】

◼︎内リンパ嚢解放術(ないりんぱのうかいほうじゅつ)
内リンパ嚢に穴を開けて、増えすぎた内リンパ液を抽出する手術。難聴やめまいの原因である内リンパの圧迫を取り除きます。

◼︎前庭神経切断術
内耳神経は、「聴覚に関係する蝸牛神経」と「平衡覚に関係する前提神経」の2つから成り立っています。めまい発作が激しい場合、「前提神経」を切断する方法がとられます。
手術後の改善率は90~95%と、高確率で改善がみられますが、脳を包む硬膜を切開する非常に難易度の高い手術となります。そのため、内リンパ嚢解放術でよい効果が得られなかった場合に行われます。

【その他の手術】

◼︎内耳破壊術
内耳の機能を破壊してめまいの症状を消す手術。めまいの症状は消えますが、それと引き換えに聴力は完全に失われます。

突発性難聴の治療方法

突発性難聴の場合、まず急性期は「ウイルス感染説」と「内耳循環障害説」を想定した治療を行います。

【ウイルス感染説による、ウイルス性内耳障害改善治療】
副腎皮質ステロイドが広く用いられます。これは、強力な抗炎症作用がウイルス性内耳炎を軽減すると考えられているためです。一般的には内服や点滴で投与されますが、糖尿病、胃潰瘍、結核などの合併症がある場合、副腎皮質ステロイドの副作用によってそれぞれの疾患が増悪する可能性があるので注意が必要になります。


【内耳循環障害説による、内耳循環障害改善治療】
内耳循環の改善には血管拡張を目的とするため、「血管拡張薬」を使用します。また、血栓によって内耳循環障害がおこっていると考えられる場合は「抗凝固薬」を使用します。場合によって「代謝改善薬」や「向神経ビタミン製剤」が併用されることもあります。

薬剤以外の治療では、二酸化炭素による血管拡張を期待して、「酸素(95%)・二酸化炭素(5%)混合ガス吸入」が行われます。更に、「高気圧酸素療法」や「星状神経節ブロック」が行われることもあります。

高気圧酸素療法:
1気圧以上の高い濃度で酸素を吸わせて血液の中に溶けている酸素を増やします。それにより、血液の巡りが良くない組織の酸素濃度をあげて傷や治りを良くする方法。

星状神経節ブロック:
星状神経節に局所麻酔を注射し、交感神経を一時的に低下させる方法。血管拡張などを目的に行われます。

突発性難聴の治療で最も重要なことは安静にしていることです。突発性難聴は発症前に心身のストレス疲労を感じていることが多いため、特に急性期は安静にしていることが大事になります。安静にしているだけで、内耳循環障害の改善が期待できます。

難聴の度合いによっては入院治療が望ましい時もあります。

 

「メニエール病」と「突発性難聴」は間違えやすい!

メニエール病と突発性難聴には似た症状が沢山あります。その中で何と言っても、

◼︎めまい
◼︎難聴
◼︎耳鳴り

の3つの症状が代表的なものだと言えます。しかし、症状を細かく比べてみると、それぞれ症状に違いが見られます。

例えば「難聴」であれば、メニエール病は「特に低音部に障害が生じる」のに対し、突発性難聴は「高度な感音難聴になる」という違いがあります。

【メニエール病と突発性難聴の代表的な症状の共通点と相違点】

  メニエール病 突発性難聴
めまい 回転性のめまい。

動揺感のめまい。(回転性のこともある)

難聴

特に低音部に障害を生じる。

高度な感音難聴。

耳鳴り あり。 あり。
再発

再発するケースも多くみられている。

一度完治すれば再発するケースは稀。

メニエール病と突発性難聴の決定的な差は内耳に内リンパ水腫が出来ているか否かということです。内リンパ水腫は自分で確認することができないため、めまいや難聴などの症状が出たら早めに病院で診断を受けましょう。
 

早期発見と正しい治療が何よりも大切です!

メニエール病も突発性難聴も、放っておいて病気が進行してしまうと手術にまで発展してしまう危険な病気です。さらに、聴力を取り戻せなくなる可能性までもあります。怪しい症状が出たら病院で診断を受け、症状にあった治療を受けましょう。

多くの有名人がこれらの病気にかかり、休養を余儀なくされたり、仕事や日常生活において様々な苦労があったことも話題になりました。

社会生活を送る中ではストレスは付きものです。メニエール病や突発性難聴は誰でもかかる可能性のある病気です。もし突然の症状に襲われたら、事前情報や自分の症状をしっかり整理し、落ち着いて対応出来るようにしておきましょう。

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