インフルエンザA型とは?

インフルエンザは、A型・B型・C型の3種類に分類されます。
その中でも、もっとも流行性が高く、症状が激しいといわれているのが「A型インフルエンザ」です。
A型は毎年流行し、11月~3月頃までをピークに、4~5月にかけて減少します。インフルエンザは冬に多く流行がみられるものですが、近年は秋からの流行が始まるなど、流行の時期が早まっています。

新型が生まれやすいA型

インフルエンザA型は、変異しやすく新型が生まれやすいウイルスです。
2016年現在で、144パターンのウイルスが発見されており、近年は主にA香港型(H3N2)とA型(H1N1)pdm09の2種類が流行しています。

A型ウイルスは、毎年小さな変異を繰り返しています。特定のウィルスに感染して回復すると、人間の体にはそのウィルスに対して免疫ができ、2度と同じウィルスに感染することはありません。しかし、A型インフルエンザの場合、以前感染して免疫がある人も微妙に変異した別のA型ウイルスに感染してしまうことがあるため、何度も感染してしまうことがあるのです。

なお、10年〜40年周期で大きく変異し、世界的な大流行(パンデミック)を起こすことがありますが、これを「新型インフルエンザ」と呼びます。

新型インフルエンザとは?ガイドラインから予防接種や治療を解説

A型インフルエンザの症状

インフルエンザは、ウイルスに感染してから1~3日の潜伏期間の後に発症します。
インフルエンザA型は、感染力と増殖力が強いため、感染から発症までが短く、急激に症状が進行します。そして、初期症状から激しい全身症状が出ることが多くなっています。

主な症状は次のとおりです。

発熱(38℃~40℃の高熱)

感染してから1~2日の潜伏期間を経て一気に熱が上がります。高熱により、熱性のけいれんや、脱水症状も引き起こしやすくなります。この急激な高熱がインフルエンザA型の特徴の1つです。
通常、発熱してから3~4日で熱が下がります。

寒気・悪寒(自覚症状がある)

体はウィルスと戦う際に体内の温度を上げるため毛穴を閉じ熱が逃げないようにします。
この時、体の表面は寒い時と同じ反応になるため体が「寒い」と判断して悪寒が生じます。

高熱がすでに出ているにもかかわらず、身体の表面に異常な寒気や悪寒が襲います。初期段階で自覚症状があり、また熱が上がる合図でもあります。

ひどい関節痛と筋肉痛

ウイルスを抑制するために体内で免疫とウイルスが激しく戦う際に、免疫システムが発熱・発痛物質「プロスタグランジン」を分泌して炎症を起こし、筋肉や関節に強い痛みが発生します。
大人に多く見られ、高熱・悪寒と共に、筋肉と関節の痛みが出ることが、インフルエンザの特徴的な症状です。

その他の主な症状

・呼吸困難
・ひどい咳、痰
・強いのどの痛み
・頭痛、めまい
・全身倦怠感
・腰痛
・鼻水、鼻づまり、くしゃみ
・食欲不振
・腹痛、嘔吐・下痢

インフルエンザA型は、高熱、悪寒、筋肉痛・関節痛の全身症状に加えて、咳などの呼吸器症状が強いのが特徴です。風邪よりも強い喉の痛みやひどい鼻づまりを伴います。
A型は症状が特に激しいといわれています。

11月〜3月の間で上記のような症状が出たら、インフルエンザを疑いましょう。

合併症や重症化について

インフルエンザによる合併症は、インフルエンザウイルスによる「一次性」のものと、「細菌感染による二次性」のもの、または「混合感染」などがあり、以下の合併症がよく見られます。

・細菌性肺炎
・インフルエンザ脳症
・気管支炎
・関節炎
・中耳炎
・副鼻腔炎
・急性胃腸炎
・心筋炎

特に高齢者に頻度が高いのは「肺炎」で、インフルエンザ感染による死亡原因の90%を占めています。
1~2歳の乳幼児は「インフルエンザ脳症」を発症しやすく、まひ、運動障害、知的障害など重い後遺症が残ったり、命に関わることもあります。

高熱、5~10分以上続くけいれん、呼吸困難、異常行動、意識障害などが見られたら夜間でも至急病院へ行って下さい。

通常インフルエンザは、発症から1週間程度で治癒しますが、免疫力が低下している人は合併症にかかりやすく、症状も重症化しやすいため、年齢問わず注意が必要です。

インフルエンザB型との違い

B型の症状も、発熱・悪寒・筋肉痛・関節通・頭痛・鼻水・のどの痛み・咳、痰など、A型と同じような症状が出ますが、B型には次のような特徴があります。

◼︎高熱が出ないケースがある​
◼︎下痢、腹痛、胃炎などの消化器症状が強く出る傾向がある

インフルエンザの一番のポイントは、38~40℃の急激な高熱です。ところがB型は、微熱程度の場合があり、風邪と間違いやすくなります。B型は下痢・嘔吐・腹痛・胃炎などの消化器症状が強く出る傾向があります。

 

インフルエンザA型の潜伏期間

インフルエンザA型は、ウイルスに感染後1~3日の潜伏期間があります。
潜伏期間の後に発症し、感染から5~7日経つと回復に向かいはじめます。症状のピークは発症から48時間〜72時間とされています。

なお、発症後48時間以内にイナビル・タミフル・リレンザなどの治療薬を使用した場合は、1~2日ほど治りが早くなります。
合併症を起こさなければ、治るまでの期間は1週間から10日ぐらいといえます。

ただし、A型は重症化しやすいので注意が必要です。

インフルエンザA型の感染経路

インフルエンザの感染経路は、感染者のくしゃみや咳に含まれるウイルスを吸い込む飛沫感染や、電車のつり革やドアノブなどウイルスが付着したところを触る接触感染です。

いつまでうつる?

インフルエンザウイルスは、潜伏期間中や解熱後も感染力があります。個人差もありますが、インフルエンザでは発症前日から発症後3~7日間は鼻やのどからウイルスを排出するといわれています。

少なくとも次の期間は外出は控え、休暇を取りましょう。
◼︎熱が下がってから2日目まで
◼︎発熱や咳、喉の痛みなど、症状がはじまった日の翌日から7日目まで

 

インフルエンザA型の治療

インフルエンザA型の治療には、インフルエンザウイルスの増殖を抑え症状を緩和させる効果がある抗インフルエンザ薬が使用されます。薬の効果を最大限に得るためには、症状が出てから48時間以内に服用することが望まれます。​

抗インフルエンザ薬は市販で購入することはできないため、病院を受診して医師の診断を受ける必要があります。インフルエンザ症状が出始めてからの時間や病状によっても効果が異なるため、どの薬を使用するかは医師の判断で行います。

現在、インフルエンザに有効な抗インフルエンザウイルス薬には、次のようなものがあります。

・飲み薬…タミフル
・吸入薬…リレンザ、イナビル
・点滴…ラピアクタ(薬の服用が困難な方に有効)

これらの薬は、A型・B型ともに効果があります。他に、シンメトレルという飲み薬がA型の治療薬としてありますが、現在はインフルエンザの治療にはあまり使われず、パーキンソン病の治療薬としての目的が主になっています。

最近では薬に対して耐性を持つウイルスが発生し、薬が効かないケースも見受けられます。服用に関しては医師に相談しましょう。

解熱鎮痛剤について

A型インフルエンザの症状は激しいため、高熱や頭痛、関節痛などが辛い場合には、解熱鎮痛剤で症状を和らげたくなるかもしれません。

ただ、薬の成分によってはインフルエンザ脳症の予後の悪化やライ症候群の併発を引き起こす危険性があるのでインフルエンザの疑いがある場合は自己判断せず病院へ行き、薬を出してもらいましょう。

高熱が出る場合はカロナールなどの解熱鎮痛剤が処方されますが、あまりにも関節炎などの症状が重い場合はステロイド系の抗炎症薬が処方されるケースもあります。

インフルエンザにかかった時に使用する薬の注意点

市販薬にはインフルエンザで禁止されている成分を含むものもあるので注意が必要です。特に解熱鎮痛剤成分の「アスピリン」は使わないようにしてください。

土日祝日など病院が空いていない時、どうしても急ぎで市販薬を使いたいときはアセトアミノフェンという成分のものを使いましょう。商品としてはタイレノールAなどがあります。

インフルエンザA型の検査

インフルエンザ流行のシーズンや家族など身近な人に感染者がいる場合、疑わしい症状が出たらインフルエンザに感染している可能性が高いといえます。
感染拡大を防ぐためにも、自然治癒を待たず早期に病院を受診しましょう。

検査を受けるタイミング

インフルエンザが疑われる場合、まずは医療機関で検査を受ける必要があります。

インフルエンザの検査には、「インフルエンザ抗原迅速検出キット」が使用されます。
長い綿棒で鼻や喉の粘液を採取する方法で、診断にかかる時間は15~30分程度です。この検査でA型かB型かも判別できます。

検査を受けるのは、発症から12〜24時間後が良いとされています。検査のタイミングが早すぎると体内のウイルスの数が少ないため、正しい診断ができません。

しかし最近では、初期段階で検査が受けられる高感度検査キットを導入している医療機関もあります。かかりつけ医に事前に確認してみましょう。

 

2016/2017シーズンのインフルエンザA型の予防接種

インフルエンザの最も効果的な予防法は、予防接種をうけることです。感染や流行を完璧に抑えることはできませんが、もしかかってしまっても、重症化を防ぐ効果があります。

特に高齢者や慢性疾患の病気を持つ人は医師と相談し、早めの接種しましょう。

乳幼児の場合、他に接種すべきワクチンが多数あるため、かかりつけ医とスケジュールを相談し、接種し忘れが無いようにしましょう。

2016/2017のA型ウイルス流行予測

インフルエンザは毎年少しずつ流行の傾向が異なるため、ワクチンもウイルスの流行予測に合わせて作られます。

国立感染症研究所より発表された平成28年度(2016-2017シーズン)インフルエンザワクチンの内容は、次のとおりです。

A/California(カリフォルニア)/7/2009(X-179A)(H1N1)pdm09
A/Hong Kong(香港) /4801/2014(X-263)(H3N2)
B/Phuket(プーケット)/3073/2013(山形系統)
B/Texas(テキサス)/2/2013(ビクトリア系統)

2016-2017はA型2種、B型2種のワクチン株が含まれています。

今年も、昨年流行したインフルエンザA香港型が、引き続き流行すると予想されています。関連記事:インフルエンザA香港型とは?特徴・症状・予防法を解説

 

おわりに

A型インフルエンザウイルスは毎年小さな変異を起こすため、何度も感染する可能性があります。しかも、症状が重い傾向があるため、発症しても症状を軽くすることができる予防接種を受けておくことをおすすめします。

感染してしまった場合も重症化を防ぐため、早めに医療機関を受診するようにしましょう。