毎年12月から翌年3月頃まで流行するインフルエンザは、9歳以下の子どもの発症が全体の約半数を占めます。

インフルエンザは感染力が高いため、常に集団で活動している子どもにとっては非常にかかりやすい病気のひとつだといえます。また、5歳以下の乳幼児はインフルエンザに感染すると重症化しやすく、インフルエンザ脳症などの合併症も起こしやすいため注意が必要です。

この記事では、子どもがインフルエンザになったときにチェックしておきたい症状と注意すべきポイントを解説していきます。

子どものインフルエンザの症状

インフルエンザの主な症状は、大人と子どもでは大きな違いはありません。

しかし、子どもは自身の体調の変化に鈍感なため、熱があっても普段通り元気に遊んだり話したりする場合もあります。特にインフルエンザシーズン中は、子どもの体調の変化に気を配りましょう。また、インフルエンザに感染しても高熱が出ない場合もあるため、高熱以外の症状やいつもとの発言や機嫌の違いなどに気づくことも大切です。

子どものインフルエンザの特徴

◼︎体温の急上昇(38℃以上の発熱)
◼︎咳や痰、鼻づまりなどの呼吸器の症状
◼︎下痢や嘔吐などの消化器の症状
◼︎手足の冷え
◼︎機嫌が悪い
◼︎熱性痙攣(ねっせいけいれん)(5歳くらいまでによくみられる)

1歳未満の赤ちゃんで注意すべき症状

赤ちゃんのインフルエンザでは、次のような特徴が見られることもあるので覚えておきましょう。

・高熱が出た場合に「けいれん」「意識の喪失」が見られる場合がある
・ぐずったり、機嫌が悪くなることがある
・呼びかけへの反応が悪いことがある

赤ちゃんは体調がつらくても言葉にできないため、保護者が体調の変化に気づいてあげなければなりません。次のような赤ちゃん特有のインフルエンザのサインを知っておくことが大切です。

◼︎37.5℃以上の発熱
◼︎機嫌が悪くぐずり続ける
◼︎泣き方がいつもと違う
◼︎ミルクの飲みが悪い・食欲がない
◼︎咳・呼吸が苦しそう
◼︎くしゃみ・鼻水・鼻づまり
◼︎嘔吐や下痢がひどい

1歳未満のインフルエンザについては関連記事をごらんください。

二峰性発熱(にほうせいはつねつ)

インフルエンザの症状の特徴として、熱をぶり返す二峰性発熱があります。

二峰性発熱とは、インフルエンザの高熱が出た後に半日~1日平熱に下がってから再び発熱する症状です。主に0~15歳の子どもに多くみられる症状です。

二峰性発熱の原因は明確には分かっていないため、治ったと思っても完治までは油断は禁物です。長期化することで、肺炎や中耳炎などの合併症につながるおそれもあるため注意しましょう。

インフルエンザの熱のぶり返しについては関連記事をごらんください。

注意すべきインフルエンザの合併症

子どもは大人に比べると免疫力が未発達でインフルエンザで合併症や重症化を起こしやすい傾向があります。合併症や症状が悪化して、最悪の場合は後遺症が残ったり死に至るケースも報告されています。

合併症や重症化を防ぐためにも症状と対処法をしっかり確認しておきましょう。

インフルエンザ脳症

インフルエンザ脳症は5歳以下、その中でも1歳〜2歳に最も多く発症する傾向にあります。男女に発症の差はありません。

高熱が出て数時間〜1日の間に神経に異常をきたし、異常行動(幻聴や幻覚を訴えたり、食べ物ではないものを口にする、突然怯えはじめるなど)がみられます。その後、一点をずっと見つめている・白目を向いている・体に力が入っていない・呼びかけに反応がないなどの痙攣(けいれん)を起こす場合が多くみられます。

けいれんや意識の消失といった症状が初めて起こった場合や5分以上続いた場合、けいれんが止まったにもかかわらず意識が戻らない場合には、すぐに救急車を呼びましょう。

インフルエンザ脳症は進行が早いため早期の発見が鍵となります。

インフルエンザ脳症については関連記事をごらんください。

肺炎

インフルエンザの症状が重症化すると、細菌による二次感染などで肺炎になる場合があります。

咳の症状が悪化したり、発熱などの症状が続く場合は小児科に相談し、必要に応じて肺炎対策の治療薬などを使う必要がある場合があります。

インフルエンザ肺炎については関連記事をごらんください。

喘息

もともと喘息を持っている子どもなどは喘息の症状が一緒にでてきたり、喘息の症状が悪化する場合があります。

呼吸とともに「ひゅーひゅー」「ぜーぜー」といった音の聞こえるときなどは喘息が疑われ、インフルエンザの治療に加えて喘息の治療を行う場合があります。

喘息を持っている場合のインフルエンザ対策については関連記事をごらんください。

乳幼児に起こりやすいその他の合併症

◼︎ライ症候群

症状がインフルエンザ脳症によく似ていて、原因は不明といわれていますが、アスピリン系の解熱剤の使用により引き起こされる例もあります。

◼︎中耳炎

乳幼児が耳を痛がったら中耳炎を疑いましょう。子どもの耳管(鼻の奥につながった場所)は、大人に比べ太く短いため、中耳炎を起こしやすくなっています。

◼︎心筋炎

心臓の筋肉にウイルスが感染して発症します。風邪に似た症状もあれば、胸痛、心不全のきざし、不整脈などがあり、むくみが出ることもあります。

病院に行くタイミングは熱がでてから12〜48時間

子どもが突然発熱すると慌ててしまいがちですが、確認できる症状が発熱のみでインフルエンザの可能性が高い場合は、熱がでてから12時間後を目安に受診しましょう。

熱がでてからすぐではウイルスの量が少なく正しい検査結果が得られない可能性が高く、検査が受けられない場合もあります。

そうなると時間を置いて再び検査を受けにいく必要があるため、母子ともに負担がかかります。

夜に発熱した場合は次の日の朝に、朝に発熱した場合は遅い時間か翌日の朝に診察を受けましょう。

ただし、意識が朦朧としている、ぐったりとしている、呼びかけに全く反応しないなどがあった場合は、救急車を呼ぶなどして早急に病院を受診してください。

インフルエンザの検査を受けるタイミングについては関連記事をごらんください。

小児科で検査はできる?

小児科でもインフルエンザの検査が可能です。インフルエンザシーズンは集団感染の事例も多く、特に子どもは感染しやすい状況です。病院内での相互感染を防ぐためにも、忘れずにマスクを着用して病院にいきましょう。

夜間や休日に感染が疑われたら?

夜間や休日に突然の発熱が起こったとき、自己判断で次の日に受診を伸ばすことが適切ではない場合もあります。

インフルエンザかどうか判断がつかない場合は、専門機関に相談しましょう。

小児救急電話相談

急な子どもの病気の対応について、小児科医師や看護師に電話で相談できるサービスです。

電話で「#8000」をプッシュして通話することで、各都道府県の相談窓口に電話が自動転送され、子どもの症状に応じた対処方法について相談することができます。

病院の診療を受けたほうがよい場合は、受診する病院などのアドバイスを受けることもできます。

こどもの救急

こどもの救急

生後1ヵ月~6歳までの子どもの急な体調不良に、気になる症状ごとの対応方法を検索することができます。

夜間や休日などの診療時間外に病院を受診するかどうか、判断の目安を提供しています。

子どもが使える抗インフルエンザ薬

抗インフルエンザ薬は、種類によって使用できる年齢が異なります。対象年齢は薬の使用方法やなどによって医師により判断が異なる場合もあるため、あくまで目安になります。

商品名 対象年齢 剤形
タミフルカプセル 1歳から カプセル(飲み薬)
タミフルドライシロップ 生後2週目から ドライシロップ(粉薬)
リレンザ 5歳から 吸入薬
イナビル 5歳から 吸入薬
ラピアクタ 全年齢で可 点滴

1歳未満の乳児は医師の判断による

1歳未満の乳児に対して抗インフルエンザ薬が使われるかどうかは、医師の判断によります。リレンザ、イナビルは1歳未満が吸引することが難しいため、処方の可能性があるのはタミフルのみになります。

タミフルを使用する場合の有益性がインフルエンザの危険性を上回る場合のみ家族に十分な説明を行った上で、使用される場合があります。

5歳未満はタミフルを使用

1歳〜5歳未満の幼児にはタミフルを使用します。

タミフルの添付文書には「低出生体重児、新生児、乳児に対する安全性は確立していない 」と記述されていますが、インフルエンザ治療指針によると、抗インフルエンザ薬のタミフルに関して生後6ヶ月までの乳児には使用を考慮し、生後7か月〜11か月の場合は安全性のデータが蓄積されてきたため、家族に十分な説明を行った上で使用を検討されます。

異常行動とは因果関係なし

抗インフルエンザ薬のタミフルを服用後に死亡につながる大きな事故が起こったニュースを記憶している人も多いのではないでしょうか。

厚生労働省では、異常行動の発生状況のデータから「抗インフルエンザ薬の種類や使用の有無と異常行動には特定の因果関係がない」としています。

しかし、抗インフルエンザ薬との因果関係は確認できなくても、インフルエンザの患者に異常行動がでることは事実としています。異常行動は特に未成年の子どもに多く現れることも報告されています。インフルエンザを発症してから、少なくとも2日間は一人きりにしないように配慮しましょう。

インフルエンザの異常行動については関連記事をごらんください。

インフルエンザに感染したときのホームケア

水分補給

インフルエンザのときは高熱や下痢、嘔吐で水分が失われるため、脱水症状に注意する必要があります。母乳を飲んでいる赤ちゃんには母乳を、卒乳した赤ちゃんや子どもにはぬるま湯やジュース、経口補水液などをこまめに飲ませてあげましょう。

元気っち! アクアライトりんご

乳幼児にも飲ませることができる経口補水液です。

食事

食欲があれば、離乳食に近い消化のよいもの、柔らかくしたものをあげましょう。食欲が無さそうであれば無理に食べさせずに、水分補給を行いましょう。

温度と湿度に注意

室温は22℃程度、湿度は50〜60%に保ちこまめに換気を行いましょう。閉め切ったまま乾燥している部屋ではウイルスが繁殖しやすく、のども痛めやすいので注意してください。

体温調整

熱の上がり始めでは寒気が強く、熱が上がり切った後は体がほてります。体温に合わせて毛布をかぶせたり脇の下を冷やすなどの体温調整をこまめにしてあげましょう。また衣服をこまめに取り替えることでウイルスが衣服に付着したままでいることを防ぐことができます。

子どものインフルエンザ予防接種

インフルエンザに感染すると重症化しやすい子どもは予防接種が推奨されています。予防接種は感染を完全に防ぐことはできませんが、発症や重症化を防ぐことができます。

予防接種は生後6か月から

インフルエンザの予防接種は生後6か月からしか接種することができません。また、1歳未満のインフルエンザワクチンの接種は免疫の生成が難しいことから厚生労働省では推奨はしていません。

しかし病院によっては少しでもインフルエンザの重症化の可能性を下げるため、生後6ヶ月〜1歳の間でも積極的に予防接種を行っているところもあります。

医師の方針や赤ちゃんの状況にもよるので、医師と相談しましょう。

予防接種の回数は年齢によって異なる

インフルエンザワクチンの摂取量と回数は、子どもの年齢によって異なります。

6か月〜3歳未満 1回0.25mlを2回
3歳〜13歳未満まで 1回0.5mlを2回
13歳以上 0.50mLを1回

予防接種を2回受ける必要がある13歳未満の子どもの場合、インフルエンザのピークが来る前に2回目の接種を済ませておくことが望ましいです。そのため、1回目の接種時期は10月中、遅くとも11月中には受けましょう。

2回目のインフルエンザ予防接種を受けるまでの間隔は、2~4週間空けてください。なお、2~3週間の間隔でも免疫を獲得できますが、4週間ほど間隔をあけるとより多くの免疫が獲得できるとされています。

子どものインフルエンザ予防接種については関連記事をごらんください。

おわりに

インフルエンザは特に子どもが発症しやすく集団感染が起こりやすい感染症です。また、乳幼児の場合は自分で体調の変化をしっかり説明することができないため、周りの家族がしっかりと観察して早めに気づき対処を行うことが大切です。