インフルエンザの点滴薬「ラピアクタ」の効果や副作用について解説

インフルエンザの治療薬のひとつであるラピアクタは、点滴によって投与される注射薬です。ラピアクタについて、効果や副作用、使用上の注意点などを解説していきます。

毎年冬に流行するインフルエンザ。
近年はインフルエンザに有効な薬の開発も進んでおり、さまざまな種類の治療薬があります。

そんなインフルエンザに効果的な抗インフルエンザウイルス薬のひとつがラピアクタです。
ラピアクタは抗インフルエンザウイルス薬の中では珍しい、点滴によって投与する注射剤です。

この記事では、ラピアクタの特徴や効果、副作用について詳しく見ていきたいと思います。

ラピアクタとは:インフルエンザに効果的な点滴薬

ラピアクタはペラミビルを主成分とした抗インフルエンザウイルス薬のひとつです。
点滴によって投与する薬であり、薬を口から飲むことが難しい場合に使用が検討されます。
2010年に異例のスピードで製造販売の承認を受けた薬であり、抗インフルエンザ薬製造の面では国産第1号の薬でもあります。

ラピアクタは、
・ラピアクタ点滴静注射バッグ150mg
・ラピアクタ点滴静注射バッグ300mg
の2種類の薬品名で販売されています。

薬を飲めない・吸えない場合に処方される

ラピアクタは注射剤であり、点滴静脈注射によって投与されます。
そのため、高齢者や喘息のある人など口から薬を飲む・吸うことが難しい患者さんに使用しやすいことが特長です。

しかし、点滴であることから医療機関で投与する必要があり、飲み薬のように自分で使用することができません。
また、1回で効果がある点滴として投与を希望する人もいますが、薬を口から服用できる場合にはラピアクタではなくタミフルやリレンザなどが処方されることがほとんどです。

ラピアクタの用法・用量や値段について

ラピアクタは点滴投与する薬であるため、医療機関にて医師の判断のもと投与されます。
用法・用量などは医師や看護師の指示があるため、その指示に従ってください。

ラピアクタの用法・用量

ラピアクタの用法・用量は以下の通りです。

成人

通常,ペラミビルとして300mgを15分以上かけて単回点滴静注する。
合併症等により重症化するおそれのある患者には,1日1回600mgを15分以上かけて単回点滴静注するが,症状に応じて連日反復投与できる。
なお,年齢,症状に応じて適宜減量する。

ラピアクタ点滴静注液バッグ300mg/ラピアクタ点滴静注液バイアル150mg添付文書

小児

通常,ペラミビルとして1日1回10mg/kgを15分以上かけて単回点滴静注するが,症状に応じて連日反復投与できる。
投与量の上限は,1回量として600mgまでとする。

ラピアクタ点滴静注液バッグ300mg/ラピアクタ点滴静注液バイアル150mg添付文書

ラピアクタの値段

ラピアクタの薬価は以下の通りです。

・ラピアクタ点滴静注射バッグ150mg/3338円
・ラピアクタ点滴静注射バッグ300mg/6216円

保険適用時は上記の3割額負担となります。

ラピアクタの効果:インフルエンザA型・B型に効果的

ラピアクタの効果について、添付文書には

効能・効果

A型又はB型インフルエンザウイルス感染症

ラピアクタ点滴静注液バッグ300mg/ラピアクタ点滴静注液バイアル150mg添付文書

という記載があります。

ラピアクタ以外の抗インフルエンザ薬と同じように、C型インフルエンザ感染症には効果がありません。

インフルエンザC型について、詳しくは関連記事をご覧ください。

A型・B型インフルエンザに効果的

ラピアクタにはインフルエンザA型・B型ウイルスの増殖を抑える効果があります。
体内でのウイルスの増殖が抑えられるため、インフルエンザウイルスによって起こるさまざまな症状の治りを早める効果が期待できます。

インフルエンザA型およびB型について、詳しくは関連記事をご覧ください。

また、多くの場合1回の点滴で効果を得ることができるというメリットもあります。
1回15分~30分ほどの点滴で効果が期待できるため、何度も薬を飲む必要がありません。
そのため、薬を飲むことの難しい高齢者などに使用しやすくなっています。

投与は発症から48時間以内

ラピアクタは、症状があらわれてから48時間以内に使用することで十分な効果を発揮します。

48時間以上経過してしまった場合については添付文書に以下のような記載があります。

本剤の投与は,症状発現後,可能な限り速やかに開始することが望ましい。
[症状発現から48時間経過後に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていない。]

ラピアクタ点滴静注液バッグ300mg/ラピアクタ点滴静注液バイアル150mg添付文書

48時間以上経過してしまうとインフルエンザウイルスの増殖を抑える効果が得られないことがあるため、抗インフルエンザ薬を使用したい場合には早めに病院を受診しましょう。
また、ラピアクタ以外の抗インフルエンザ薬も発症から48時間以内に服用することで十分な効果を得ることができます。

予防のための投与はできません

タミフルなどの抗インフルエンザウイルス薬は予防のために服用することも可能ですが、ラピアクタの場合は予防のために投与した際の有効性安全性が確立されていません。そのため、ラピアクタを予防のために使用することはできません。
予防のために抗インフルエンザウイルス薬を使用したい場合には、タミフルなどの服用を検討してみると良いでしょう。

ラピアクタの副作用について

ラピアクタ添付文書によると、承認時に行った調査では薬を使用した人に以下の割合で臨床検査値の異常変動を含む副作用が認められました。

■成人…24.7%(968例中239例)
主な副作用は、下痢、好中球減少、蛋白尿などです。

■小児…29.1%(117例中34例)
主な副作用は、下痢、好中球減少、嘔吐などです。

重大な副作用

発生頻度は低いですが、まれに次のような重大な副作用が起こることがあります。

  主な症状 発生頻度
ショック、アナフィラキシー 血圧低下、顔面蒼白、冷や汗
呼吸困難、蕁麻疹、など
頻度不明
白血球減少、好中球減少 発熱(好中球減少)のほか、血液検査値の異常 1~5%未満
肝機能障害、黄疸 肝機能検査値の異常 頻度不明
急性腎不全 尿が出ない、尿の出が悪い 頻度不明

投与終了後に副作用が起こることもあるため、投与したあともしばらくは体調の変化をよく観察するようにしましょう。

その他の副作用

添付文書に記載されているその他の副作用について、発症頻度ごとにまとめました。

■0.5%未満
・皮膚の湿疹、蕁麻疹
・食欲不振、腹部不快感、口内炎
・Al-P(肝機能検査値)上昇
・血小板減少
・めまい、不眠
・霧視(霧がかかったように見える)

■0.5~1%未満
・皮膚の発疹
・腹痛
・LDH上昇、ビリルビン上昇、γ-GTP上昇(肝機検査値の異常)
・BUN(尿素窒素)上昇
・好酸球増加
・尿中血陽性、CK(CPK)上昇、尿糖

■1%以上
・下痢(6.3%)、悪心、嘔吐
・AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇(肝機能検査値の異常)
・蛋白尿、尿中β2ミクログロブリン上昇、NAG上昇(腎臓機能の異常)
・リンパ球増加
・血中ブドウ糖増加

■頻度不明
・血管痛

ラピアクタの使用に注意が必要な人:子どもや妊娠中・授乳中など

ラピアクタを使用する場合に注意が必要な人は以下の通りです。

子どもへの使用

ラピアクタが発表された直後は「15歳以上から使用が可能」とされ、「小児への使用は控えるように」とされていました。
しかし、2010年の10月に添付文章が改正され、現在では小児から成人まで使用が可能とされています。

ただし、新生児や低出生体重児に関しては添付文書に以下のような記載があるため注意してください。

小児等への投与

低出生体重児,新生児に対する安全性は確立していない。[使用経験がない。]

ラピアクタ点滴静注液バッグ300mg/ラピアクタ点滴静注液バイアル150mg添付文書

妊娠中・授乳中の使用

■妊娠中の使用について
妊娠中のラピアクタの使用について、添付文書には以下のように記載されています。

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人に投与する場合には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]

ラピアクタ点滴静注液バッグ300mg/ラピアクタ点滴静注液バイアル150mg添付文書

また、動物実験の際には流産や早産の原因になることが報告されています。
妊娠中に使用する場合には、主治医とよく相談し説明を聞いたうえで行うようにしましょう。
また、ラピアクタを使用する際に妊娠している可能性がある場合には、必ずそのことを医師に伝えてください。

■授乳中の使用について
授乳中のラピアクタの使用について、添付文書には以下のように記載されています。

授乳婦に投与する場合には授乳を避けさせること。

ラピアクタ点滴静注液バッグ300mg/ラピアクタ点滴静注液バイアル150mg添付文書

ラットでの実験において乳汁中に薬の成分が移行することが報告されています。
授乳中のラピアクタの使用はできるだけ避け、どうしても使用する場合には授乳を中止するようにしてください。
授乳の再開時期に関しては、かかりつけの医師によく相談するようにしましょう。

その他使用に注意が必要な人

■高齢者
高齢者への投与は可能です。
しかし、一般に高齢者では生理機能が低下していることが多いので、患者の状態を観察しながら投与することが求められます。

■慢性疾患のある人
心臓、循環器系機能障害がある場合は心臓に負担をかけ症状が悪化するおそれがあるので、投与は慎重に行われます。
また、腎機能障害がある場合も症状が悪化するおそれがあるので投与には注意が必要です。

さいごに

ラピアクタは1回の投与でインフルエンザへの効果が期待できる注射剤ですが、薬を飲むことが困難な人に使用される薬です。
自分で薬を飲むことができる場合には処方されることはほとんどないため、注意しましょう。
また、ラピアクタが投与された場合には医師などの指示をよく守り、副作用などに注意するようにしてください。

インフルエンザに関するお役立ち情報

ピックアップ特集