冬とともにやってくるのがインフルエンザの大流行シーズン。
今年は流行のはじまりが早く、9月の段階でインフルエンザによる学級閉鎖が行われた学校もあるほどです。
11月下旬には厚生労働省からインフルエンザの流行シーズン入りが発表されましたが、毎年気になるのがインフルエンザの何型が流行するかですね。
インフルエンザは大きく分けて、A型・B型・C型の3種類のウイルスが存在し、比較的大流行しやすいのがA型です。
しかし、昨シーズンである2015/16シーズンは、A型だけでなくB型も広く流行しました。
そこでこの記事では、今年のインフルエンザに備えるためにも昨シーズンのインフルエンザについて振り返っていきたいと思います。
2015/16シーズンのインフルエンザはB型が大流行!
2015/2016シーズンのインフルエンザの大きな特徴は、インフルエンザB型の流行です。
2014/15シーズンに流行したのはインフルエンザA香港型でしたが、2015/16シーズンはA香港型のウイルスはほとんど検出されませんでした。
2014/15シーズンはインフルエンザB型は2月以降に小規模な流行を見せているほどであり、シーズンによってインフルエンザの流行が違うことが分かります。
インフルエンザB型について、詳しくは関連記事をご覧ください。
流行したのは山形系統?ビクトリア系統?
インフルエンザB型ウイルスには、”山形系統”と”ビクトリア系統”があります。
この2種類は遺伝子配合が異なるため、例えば山形系統に感染してもビクトリア系統に対する免疫はつきません。
2015/16シーズンのインフルエンザB型は、どちらのウイルスも検出されています。
■1月中はビクトリア系統が多め
ビクトリア系統・山形系統ともに1月中旬から流行しはじめましたが、1月中はビクトリア系統の方が少し多くウイルスが検出されています。
2014/15シーズンはB型ビクトリア系統のウイルスはほとんど検出されていないため、2015/16シーズンの大きな特徴といえます。
■2月下旬からは山形系統が多め
2月半ばほどまでほぼ同様のウイルス検出数でしたが、2月下旬からは山形系統の方が多くなりました。
インフルエンザB型は例年2月~3月にかけて流行するため、例年通りのB型流行時期に山形系統が流行したといえます。
例年より早いインフルエンザB型の流行
2015/16シーズンのインフルエンザB型は、流行の規模が大きいだけでなく流行し始める時期が早かったという特徴があります。
例年インフルエンザB型はA型の流行が落ち着きはじめた2月後半~3月の春先にかけて流行することが多いですが、2015/16シーズンのB型は1月中旬から流行を始めています。
インフルエンザB型はA型に比べて流行期間が長く、2015/16シーズンも4月中までウイルスの検出が多数報告されています。
参考:国立感染症研究所 週別インフルエンザウイルス分離・検出報告数、2011/12~2015/16シーズン
2015/16シーズンのA型インフルエンザはA(H1)が流行
インフルエンザB型の流行が特徴的な2015/16シーズンのインフルエンザですが、A型インフルエンザも流行しました。
2015/16シーズンのA型インフルエンザの特徴は、A(H1N1)pdmウイルスの流行です。
インフルエンザA型について、詳しくは関連記事をご覧ください。
2015/16シーズンのA型の特徴
2015/16シーズンはインフルエンザA型の中でも、A(H1N1)pdmというウイルスが流行しました。
これは2009年に当時新型インフルエンザと呼ばれていたウイルスで。
2009年以降も毎年冬に流行したため、季節性インフルエンザのひとつとしてA(H1N1)pdmと呼ばれています。
2014/15シーズンはA型の中でもA香港型が流行しましたが、2015/16シーズンはA香港型のウイルスはあまり検出されていません。
A型の流行の中心となったのは、A(H1N1)pdmでした。
参考:国立感染症研究所 週別インフルエンザウイルス分離・検出報告数、2011/12~2015/16シーズン
2015/16シーズンインフルエンザの症状の特徴
インフルエンザB型の症状の特徴
B型インフルエンザは、ウイルスに感染すると1~3日の潜伏期間を経て、以下のような症状を引き起こします。
・38℃以上の高熱が出る
・微熱が続く(高熱が出ないこともある)
・悪寒
・筋肉痛、関節痛
・全身倦怠感
・頭痛
・鼻水
・のどの痛み咳、痰
・胃炎、腹痛
・嘔吐、下痢
大まかな症状はA型インフルエンザとほぼ同じですが、B型に見られる特徴としては38℃以上の高熱が出ないことがあるということです。
発熱が微熱程度や平熱とあまり変わらない程度であることが多く、そのためインフルエンザだと気づかずに適切な治療を行わないため悪化するケースがあります。
さらに熱はそこまで上がらないものの、解熱時間がA型よりも長引くことがあり、A型は解熱まで平均1日であるのに対し、B型は平均2日というケースが多く見られます。
体内にウイルスが残る日数が長い分、周囲に感染させてしまう危険性が高いため、少しでも身体に異常を感じたら病院で適切な治療を受けるように心がけましょう。
■B型インフルエンザは下痢や嘔吐などの消化器症状が特徴
B型インフルエンザのもう1つの特徴としてあげられるのが、下痢や嘔吐などお腹の症状があらわれやすいということです。
B型ウイルスが胃腸にダメージを与えるために消化器症状があらわれるとかんがえられています。
インフルエンザA型の症状の特徴
A型インフルエンザの大きな特徴は、
・38℃以上の急激な高熱
・悪寒、寒気
・全身の筋肉痛や関節痛
の3つです。
これに加え、A型はB型よりも喉の痛みや咳などの呼吸器症状が出やすいという特徴があります。
A型は高熱という比較的分かりやすい症状が出るため、B型よりはインフルエンザだと気づきやすいでしょう。
しかし高齢者など免疫機能に異常がある場合は高熱が出ないことがあるため、注意が必要です。
2015/16シーズンの予防接種について
インフルエンザの予防接種に配合されているワクチン株は、WHOなどが予測したそのシーズンに流行するウイルスに効果的なものとなっています。
2015/16シーズンは初めての4価ワクチン
2015/16シーズンのインフルエンザワクチンには、初めての4価ワクチンであるという特徴があります。
”4価”とは、4種類のインフルエンザウイルスについて免疫を獲得できるという意味です。
2015年より前のシーズンでは、A型2種およびB型一種に対する免疫ができるワクチンが使用されてきました。
しかし近年インフルエンザB型が流行しつつあり、B型の2種類のウイルス両方に対する免疫を獲得できるワクチンが求められたため4価ワクチンが誕生しました。
2015/16シーズンのインフルエンザワクチン内容
2015/16シーズンのインフルエンザワクチンの内容は以下の通りでした。
A/California(カリフォルニア)/7/2009(X-179A)(H1N1)pdm09
A/Switzerland(スイス)/9715293/2013(NIB-88)(H3N2)
B/ Phuket(プーケット)/3073/2013(山形系統)
B/ Texas(テキサス)/2/2013(ビクトリア系統)
2016/17シーズンは、A型2種のうちの1種がA香港型に効果的なものに変わっています。
今シーズンのインフルエンザ予防接種について、詳しくは関連記事をご覧ください。
さいごに
2015/16シーズンはB型が流行しましたが、今シーズンはA香港型の流行が予想されています。
インフルエンザの型が違っても、手洗いやマスクの着用など予防方法は同じなので、今シーズンもしっかりとインフルエンザの予防対策をしていきましょう。