インフルエンザに感染すると、およそ1~3日の潜伏期間を経て症状が出始めます。

一般的には38℃以上の高熱が出たり、全身の痛みやだるさ、筋肉痛、頭痛、寒気が起こりますが、下痢などの消化器系の症状も多くみられます。

この記事では、インフルエンザによって起こる下痢や腹痛の原因や対処法について解説します。

腹痛や下痢が起こりやすいのはインフルエンザB型

インフルエンザはウイルスの種類によって、流行する時期や感染力の強さ、発症する主な症状に違いがあります。その中でもB型インフルエンザウイルスは腹痛や下痢などの消化器官に症状が出やすい傾向があります。

インフルエンザB型は2月~3月頃に流行し、鳥などにも感染するインフルエンザA型とは違い、人だけに感染するのが特徴です。

インフルエンザB型には、山形型とビクトリア型の2種類があり、毒性が弱く重症化しにくいといわれています。

熱や微熱が続き、腹痛や下痢・嘔吐などの消化器官への症状が現れます。ウイルスが体内に残りやすく、熱が下がっても腹痛や下痢の改善に時間がかかり、症状が長引くことがあります。

インフルエンザB型の詳しい症状については関連記事をごらんください。

A型とC型に下痢の症状はある?

インフルエンザA型は感染力が強く、38℃~40℃の高温の発熱や寒気があり、関節や筋肉に痛みを感じることがあります。めまいや頭痛、全身の倦怠感など強い症状が特徴です。

インフルエンザC型は通年性のインフルエンザです。5歳以下の子どもによくみられ、感染力も弱く流行することはあまりありません。症状は風邪のような鼻水といった軽いものです。

どちらも腹痛や下痢といった消化器官の症状はあまりみられません。

各インフルエンザの違いについては関連記事をごらんください。

インフルエンザの腹痛や下痢の原因

インフルエンザのときの腹痛や下痢・嘔吐などの症状には、主に3つの原因が考えられます。

インフルエンザウイルスによる腹痛や下痢

インフルエンザに感染して腹痛や下痢の症状が出てしまったら、トイレを我慢しないことが大切です。

下痢や嘔吐からはウイルスが検出されることがわかっています。下痢や嘔吐はウイルスを体外に出そうとする体の働きです。つらくてもこまめにトイレに行き、体の中に潜むインフルエンザウイルスを出してしまいましょう。

この際、繰り返す下痢を止めようと下痢止めを使用すると逆効果です。しっかりとウイルスが排泄されず回復が遅れてしまうので気をつけましょう。

トイレに行く回数が多くなると、脱水症状も起こりやすくなるので水分補給にも気を配りましょう。ウイルスと同時に、栄養や水分も一緒に排泄されています。スポーツドリンクや経口補水液などでしっかりと水分と電解質をとり、体力の回復を目指すことが大切です。

抗インフルエンザ薬の副作用による腹痛や下痢

タミフル・リレンザ・イナビルといった抗インフルエンザ薬は、副作用によって腹痛や下痢、嘔吐が引き起こしてしまうことがあります。

腹痛や下痢が発症するタイミングが、抗インフルエンザ薬の使用後であれば、抗インフルエンザ薬が原因と考えられます。

しかし、抗インフルエンザ薬の使用を途中でやめてしまうと症状がぶり返してしまうおそれがあります。

タミフルやリレンザのような継続して使用する抗インフルエンザ薬で副作用が出ていても、しっかり水分補給ができ症状に耐えられるようなら、治療薬は極力飲み切った方がよいでしょう。

腹痛や下痢があまりにもひどいときは、自己判断はせず治療薬の中止を医師に相談しましょう。

インフルエンザ予防接種で下痢や吐き気が起きる場合も

インフルエンザワクチンを接種した際にも、下痢や吐き気・嘔吐などの消化器症状が出る場合があります。

これは、ワクチンを接種することによる副反応としてみられるものであり、予防接種を受けた人のうち10〜20%に接種部位の周辺に腫れや痛みなどが現れ、下痢・吐き気・嘔吐などの消化器症状は5〜10%の人に現れるとされています。

ほとんどの場合は2日〜3日で治まりますが、症状が長引く場合やあまりにもつらい場合は医師に相談しましょう。

予防接種の副反応については関連記事をごらんください。

ビオフェルミンなどの整腸剤は飲んでも大丈夫?

比較的安全に使用できる市販薬としてビオフェルミンをはじめとする整腸剤があります。整腸薬には、下痢を止める作用はありません。腸内の環境を整え、症状の改善を目的とする薬です。インフルエンザの下痢は止めることなく出し切ることが大切なので、整腸剤はインフルエンザのときでも使用することは可能です。

しかし、インフルエンザの下痢に対して効果が高いとは言い切れません。下痢や嘔吐が激しい場合は薬が吸収される前に体の外へ出てしまうことや、抗生物質を使用しているとビオフェルミンの効果が落ちてしまうこともあります。

脱水症状を起こさないように水分補給をしながら、下痢を出し切ってしまうことを意識しましょう。

腹痛の対処法

腹痛がつらい場合は、腹部を温めると痛みが緩和されます。カイロや湯たんぽを利用して温めましょう。

また、腹部周辺の圧迫を避けるために締め付けの少ない衣服を選んで、体への負担を軽減すると楽になります。

すぐにできる対処としては痛みのある部位をさすると良いでしょう。お腹が痛いときはもちろん、残便感があるときにも効果的です。腹部を反時計回りに「の」の字を書くようにゆっくりさすると、出し切っていない便が出たり、痛みを緩和することができます。

インフルエンザ発症から5日後以降も腹痛・下痢が続く場合

インフルエンザの症状は通常、発症から3日~4日で治まります。

5日以上たっても腹痛や下痢が治まらない場合は、合併症やほかの病気の可能性が考えられるため、なるべく早く医師に相談しましょう。

また、インフルエンザが完治してもノロウイルスやロタウイルスなどの胃腸炎に2次感染する場合もあります。

ノロウイルスなどの胃腸炎のおそれも

腹痛や下痢が長期化しインフルエンザがなかなか治らないときは、インフルエンザと同時期に感染したノロウイルスが発症しているおそれがあります。

インフルエンザと同時期に流行するノロウイルスなどの感染性胃腸炎は、インフルエンザとよく似た症状の腹痛や下痢を引き起こします。

発熱の症状は出にくいとされていますが、インフルエンザの症状が長期化していると感じたら早めに医療機関を受診しましょう。

おわりに

下痢や腹痛はつらいものですが、基本的にはウイルスが出てしまえばおさまるものです。

下手に止めようとせず水分補給をしながら出し切ってしまい、長引く場合は早めに医療機関を受診しましょう。