インフルエンザの感染経路と予防法

インフルエンザウイルスの感染には、おもに「飛沫感染」と「接触感染」の2つの経路があります。

飛沫感染:

感染者のくしゃみや咳で飛び散ったインフルエンザウイルスを吸い込んだり、目などの粘膜から直接インフルエンザウイルスが侵入することで感染。

学校や会社、電車やバスの中など、人が多く集まる場所が要注意です。

接触感染:

インフルエンザウイルスが表面に付着したものに触れることで、手を介して目や鼻、口などの粘膜からインフルエンザウイルスが侵入し感染。

インフルエンザウイルスは、乾燥した環境の中では長時間生き続け、例えばドアノブなどに付着したインフルエンザウイルスは2~8時間も感染力があるといわれています。

電車のつり革やテーブル、手すり、子どものおもちゃなどに付着したインフルエンザウイルスを別の人が触れて感染。そしてまた別の人に・・と、次々に感染が広がっていくパターンです。

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インフルエンザの予防では、この2つの感染経路を断つことが重要なポイント。

飛沫感染の予防には、マスクの着用でインフルエンザウイルスを吸い込まないように防御します。

一方の接触感染の予防で大切なのは、手や物の表面に付着したインフルエンザウイルスをいかに退治するか?!ということ。

この時に効果的なのがアルコール消毒です。

インフルエンザの予防でアルコール消毒が有効な理由とは

手や物の表面に付着したインフルエンザウイルスを退治するには

①洗い流したり拭き取るなど、ウイルスを物理的に除去する

②インフルエンザウイルスの働きを無力化する

この2つの方法がありますが、無力化したインフルエンザウイルスを物理的に除去すれば、一層効果的ですよね!

このとき威力を発揮するのがアルコール(エタノール)なのです。

どういうことなのか、インフルエンザウイルスの構造から見ていきましょう。

<インフルエンザウイルスの構造>

インフルエンザウイルスは、外側がエンベローブという脂溶性の殻で守られ、さらに糖タンパクでできた2種類の突起が突き出ています。

この突起が人や動物の細胞にくっつくことでウイルスが細胞の中に送り込まれ、感染が起こります。

<アルコール(エタノール)の抗ウイルス作用>

アルコール(エタノール)は脂溶性と水溶性の両方に作用する成分です。

このためインフルエンザウイルスの脂溶性の殻(エンベローブ)にもなじんで破壊するとともに、殻が壊れたウイルスは本体のタンパク質も変性しやすくなり、感染力が低下。

アルコールの抗ウイルス作用は、こうやって生まれるのです。

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一般的に消毒用アルコールといわれているものは、日本薬局方では消毒用エタノールといわれ、エタノール含有成分が76.9~81.4%と決められています。

20%程度の水分を含むことで接触面からの蒸発がゆるやかとなり、ウイルスに対して長く攻撃。その結果、消毒効果がもっとも高くなります。

石けんを使って手を洗うことでも、ウイルスを洗い流すことができます。また石けんの界面活性作用によってウイルスの殻も傷つくため、感染力が低下。インフルエンザの感染予防に充分効果的です。

しかし手洗いができない場所だったり、ドアノブや電車のつり革、また共有で使っている文具類やパソコンのマウスなど、洗うことができないものに関してはアルコール消毒が有利です。

最近では持ち運びに便利なタイプのアルコール消毒剤も販売されているため、いっそう手軽に消毒できるようになりました。

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手指のアルコール消毒法:正しい手順で効果アップ!

消毒用アルコールさえ使えばインフルエンザウイルスをすべてやっつけられる、というわけではありません。

正しい手順で、まんべんなくおこなうことが重要です。

日頃から爪は短く切り、アルコール消毒の前に指輪や時計をはずしておいてください。

①手のひらをこすり合わせます

アルコール消毒剤を適量手のひらに取り、両方の手のひらをこすり合わせて消毒剤をすりこみます。

②指の先までしっかりと

指を一本ずつ、爪の先から指の付け根、指と指の間までしっかりとアルコール消毒剤をすりこんでいきます。

とくに親指の付け根は忘れがちなので、注意してください。

③手の甲も忘れずに

インフルエンザウイルスは手の甲にも付着しています。左の手の甲は右の手のひらで、右の手の甲は左の手のひらで包み込むようにこすって消毒します。

④最後に手首も忘れずに

手首も露出している部分なので、インフルエンザウイルスが付着しています。反対の手で手首をつかみグリグリとアルコール消毒剤をすりこんでください。

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手洗い(アルコール消毒)のタイミングは?

帰宅後やトイレの後、調理や食事の前などは日常的に手洗いをおこなっていると思いますが、インフルエンザのシーズンはとくに丁寧におこないましょう。

周りにインフルエンザの患者がいる場合は、患者の部屋から出た後や、患者が触れたものに接触した後、咳やくしゃみをした後なども忘れずに、こまめに手洗い・消毒をおこないます。

アルコール消毒の素朴な疑問Q&A

Q.アルコール消毒をしすぎると体の免疫力が低下すると聞いたのですが、本当ですか?

A.そこまで心配する必要はありません。

家の中をどれだけ消毒したとしても、一歩外に出れば様々な菌やウイルスに接触しますので、自然と免疫力が刺激されます。

ですから体の免疫力が下がるほど消毒し過ぎる状況は、普通の生活を送っている上ではほぼありえないといえるでしょう。

Q.アルコール消毒の際に注意することはありますか?

A.アルコール(エタノール)過敏症の方は使用を避けてください。

エタノールによって発疹や赤みなど皮膚炎の刺激症状が現れることがあります。注射の消毒で皮膚が赤くなるような方は、手指の消毒でもアルコール(エタノール)を使うのは避けた方がいいでしょう。

石けんを使ってこまめに手洗いをおこなってください。

また、アルコール(エタノール)は皮脂を奪う作用があるため、肌が乾燥して手荒れを起こしやすくなります。

消毒をしたあとは保湿クリームなどでしっかりと潤いを補うようにしましょう。

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おわりに

アルコールを使った手指の消毒は、年齢に関係なくおこなうことが出来ますが、肌の弱い赤ちゃんや、自分でまだ手洗いができない子どもには、大人がしっかりとサポートして、様子をみてあげてください。

また手が汚れている時は、先に手を洗って汚れを落とし、水分をしっかりと拭きとったあとにアルコール消毒をおこないます。

こまめにアルコール消毒をおこなってインフルエンザの予防を心がけましょう。