冬を中心に流行するインフルエンザは、家族同士の感染にも注意が必要です。
しかし、毎年インフルエンザが流行しているにもかかわらず、正しい対処法はいまひとつ分からないという人も多いのではないでしょうか?
特に気をつけたいのが、日常のワンシーンである「お風呂」です。
この記事では、インフルエンザに感染した場合いつから入浴できるか、感染者がお風呂に入ることで家族にうつる危険性はないのかなど、インフルエンザにまつわるお風呂の疑問を解決します。
インフルエンザに感染!お風呂はいつから?
感染初期、熱が下がったあと、微熱しか出ない場合など、いつからお風呂に入れるのかチェックしていきましょう。
悪寒や寒気!インフルエンザ初期のお風呂は?
インフルエンザの初期症状に、強い悪寒や寒気があります。
インフルエンザは体内でのウイルス増殖のスピードが速いため、悪寒の直後に筋肉痛や倦怠感、そして38℃以上の高熱と症状が急速に悪化していきます。
入浴は体力を消耗するため、初期にお風呂に入ることはおすすめできません。
解熱後にお風呂に入れる目安は?
インフルエンザの症状には個人差があります。そのため「感染から3日後にはお風呂に入れる」といったような、はっきりした決まりはありません。
お風呂に入れるひとつの目安となるのが、37~37.5℃まで熱が下がることです。ただし、平熱が低い人にとっては37℃でもまだつらい状態なので無理は禁物です。
理想的なお風呂のタイミングは、熱が下がってから2日ほど経ち、体力も回復してきたころとなります。
微熱がつづくインフルエンザB型の場合は?
インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型がありますが、例年流行するのはインフルエンザA型とB型です。
インフルエンザB型に感染した場合は、微熱しか出ない、あるいは熱が出ないというケースがあります。
高熱が出なくても、悪寒や全身の倦怠感、頭痛や筋肉痛がつらい場合は、体力の消耗を避けるため入浴を控えましょう。
インフルエンザB型については、関連記事をごらんください。
お風呂に入らない方が良いのはどんな時?
次のようなときは、発症期間に関わらずお風呂に入るのはやめておきましょう。
高熱がつづいているとき
インフルエンザで高熱が出ると、汗でベタベタになるのでお風呂に入ってサッパリしたいと思うかもしれません。
しかし高熱があるときは、体がウイルスと闘って体力を著しく消耗しているので入浴はNGです。お風呂で体力をよけいに消耗してしまい、症状が悪化してしまうおそれもあります。
熱は下がったが体調がすぐれないとき
熱が下がった場合でも、だるかったり、食欲がないような場合は、体力を温存するためにも入浴を控えるのが理想的です。
お風呂に入る代わりに、お湯で濡らした温かいタオルで体を拭いてサッパリさせましょう。できるだけ体に負担をかけず安静に過ごすことが、回復を早めるコツです。
インフルエンザはお風呂で感染する?
閉めきった空間であるお風呂場は、インフルエンザがうつるのではないかと心配になる場所です。
しかし、お風呂でインフルエンザに感染する可能性は低いといわれています。
入浴中にインフルエンザに感染することは少ないとされる理由は、ウイルスの性質にあります。
インフルエンザウイルスはお風呂のような高温多湿の環境が苦手であり、湿度50%ではインフルエンザウイルスはほとんど生存できないという研究結果があります。
浴室の湿度は80%以上になるため、お風呂ではインフルエンザウイルスは生きられません。
お風呂場でのインフルエンザ感染を防ぐ対策
お風呂の環境が苦手なインフルエンザウイルスですが、脱衣所やタオルなどの共有などにより感染するおそれもあります。
家族間での感染を防ぐため、次のような対策をしておきましょう。
インフルエンザ感染者と同じタオルを使わない
インフルエンザ感染中は、ほかの家族と一緒にバスタオルを使ったり、ボディタオルを使うといったことは控えましょう。
タオルにインフルエンザウイルスが付着していることがあります。
ドアノブやスイッチなどを拭いておく
インフルエンザの感染経路のひとつに接触感染があります。接触感染とは、インフルエンザ感染者の咳・くしゃみ・鼻水などがついたものに別の人が触れることで、インフルエンザがうつってしまうことです。
入浴後はお風呂場のドアノブや電気のスイッチなどを、除菌シートなどで拭いておきましょう。
インフルエンザ感染時の5つの入浴の注意点
お風呂に入ったことでインフルエンザをぶり返してしまわないよう、5つの注意点を守って入浴しましょう。
インフルエンザ治りかけの入浴は短時間ですませる
インフルエンザウイルスと戦った後に長時間お風呂に入ると、さらに体力を消耗してしまいます。インフルエンザからの完全な回復に向けて体力をつけるために、まずは短時間の入浴で汗や汚れを流す程度にしておきましょう。
お風呂に入る前に脱衣所を暖めておく
インフルエンザウイルスは、気温が低い場所を好みます。お風呂に入る前には脱衣所を暖めておきましょう。入浴後の湯冷め防止にもなるので一石二鳥です。
入浴後はすぐに髪を乾かす
湯冷めと同じく、体を冷やす原因となるのが濡れた髪の毛です。入浴後はすぐにドライヤーで乾かすようにしましょう。体が冷えると、一度下がった熱もぶり返してしまうことがあります。
お風呂から上がったら水分補給を
インフルエンザの発熱で、体は水分を失っています。さらにお風呂に入ると汗をたくさんかくことになるので、体の水分は不足します。入浴後は、脱水状態を防ぐために水分補給は充分におこないましょう。
お風呂から上がったら安静に
短時間の入浴であっても体力を消耗しています。お風呂から上がったらゆったりとした服装に着替え、すぐに布団に入りましょう。体力を回復するために、安静にしてください。
おわりに
昔から「入浴は七病を除き、七福を得る」といわれ、お風呂に入るのは体に良いこととされてきました。
また、最近の研究では、体温を上げることが免疫力を高めることにもつながるとして、あらためて「入浴」の良さが知られるようになっています。
日頃から風邪・インフルエンザの予防としてゆっくりとお風呂に入り、体調の悪いときは少し我慢。そして治ったらまたお風呂に入って…と、体調に合わせてお風呂を楽しみましょう。