妊婦はインフルエンザが重症化しやすいので注意しよう

妊娠中は季節を問わず、さまざまな感染症に気をつけなければなりませんが、妊婦にとってインフルエンザの流行はとても気になりますよね。

もし、インフルエンザにかかってしまったら母子感染で赤ちゃんへうつるのではないかと心配される方も多いでしょう。

現在のところ、国立感染症研究所の発表によるとインフルエンザは母子感染の心配はありません

しかしながら、妊娠中は通常時よりも免疫細胞が半分程度しか機能していない状態です。そして、胎児の成長に伴って子宮が大きくなるにつれ、横隔膜を押し上げ肺が圧迫されたり、血液循環量が1.5倍にもなるため心臓にも負担がかかっています。

そのため、妊婦はインフルエンザの合併症である肺炎なども通常よりかかりやすく、重症化しやすいのです。

インフルエンザの重症化は早産率を上げる可能性がある

新型インフルエンザのH1N1型が大流行した2009-2010年は、インフルエンザによる妊婦の入院患者数が多いシーズンでした。

そして、インフルエンザで入院した妊婦の早産率はインンフルエンザにかかっていない妊婦に比べて2.5倍。中でも重症化した妊婦では5.5倍の早産率となったのです。

2013-2014年シーズンも同じH1N1型が流行し、このタイプは重症化しやすいことが分かっています。

インフルエンザの重症化を防ぐためには、予防接種を受けること抗インフルエンザウイルス薬を予防投与をすることです。

インフルエンザは母子感染の心配はなくても、母親が気をつけてあげなければなりません。

妊婦は予防接種でインフルエンザを防ごう

妊婦のインフルエンザ予防接種は、新型インフルエンザの大流行以降、重症化を防ぐためにもとくに推奨されています。

予防接種はインフルエンザの予防、または発症したときの重症化を防ぐだけではなく、接種を受けた母体から生まれた生後6か月までの乳児に対しても、発症予防効果が認められたとの報告もあります。

インフルエンザの予防接種は自己負担となりますが、医師と相談して取り入れるようにしたいですね。

インフルエンザワクチンは、胎児に影響を与えるとは考えられていません。 妊婦のインフルエンザ予防接種は、安全性と有効性が証明されています。

予防接種を受ける時期は、妊娠何周目でも問題ありません

ただし、妊娠初期はもともと流産をしやすい時期のため、避けた方が良いという慎重な考えがあるのも事実です。

予防接種が直接流産の原因とならなくても不安になる方もいるかと思います。そのため、妊娠初期は医師とよく相談をした上で接種することをおすすめします。

重度の卵アレルギーのある人は予防接種を避ける

インフルエンザ予防接種で、呼吸困難、血圧低下、意識消失など、アレルギー反応により起こる全身の強い症状、いわゆるアナフィラキシーショックが、100万人につき2~3人に起こることが報告されています。

ワクチンにはごく微量の卵成分が含まれているため、重度の卵アレルギーのある人は医師との相談が必要です。

予防接種が不可と判断された場合、抗インフルエンザ薬を予防目的で投与する対応がとられます。

インフルエンザワクチンに限りませんが、期待される効果と起こりうる副作用の両方を十分に理解したうえで接種するようにしましょう。

2015-2016年シーズンから4価ワクチンへ

これまでの予防接種のワクチンは、インフルエンザウイルスのA型・2種類とB型・1種類に効果がある3価ワクチンでした。

しかし、2015-2016年シーズンより、インフルエンザウイルスのA型・2種類とB型・2種類に効果を発揮する4価ワクチンが日本でも接種可能になりました。

また、チメロサールフリーワクチンという保存剤が含まれていないワクチンもあり、病院によっては妊婦や子どもにはこちらを推奨しているところもあります。

保存剤の中には微量の水銀が含まれているものもありますが、これは日本人の 1 日摂取量の半分にすぎず、 母体や胎児に影響のあるものではないとされています。

保存剤が含まれていても安全性に問題はないと考えられているため、どちらを選ぶかは個人の自由となります。

チメロサールフリーワクチンを希望する場合は、取扱いのある医療機関が限られていることと、価格も通常よりも高いため、事前に確認をするようにしましょう。

タミフルなどの抗インフルエンザ薬は予防にも使えます

家族がインフルエンザにかかったら、感染の確率が高くなります。

そのようなときは、インフルエンザから身をまもる予防投与として、タミフル、リレンザ、イナビルなどの抗インフルエンザ薬を使うことができます。

とくに妊婦や高齢者、慢性心疾患などがある人に優先的に処方されます。医師に相談するようにしてください。

予防投与は、あくまで感染を減少させるためで、予防接種などと同じく完全に予防できるとは言い切れません。また、予防が期待できる期間は、抗インフルエンザ薬を服用している間のみです。

健康保険は適応されないため自己負担ですが、予防投与でも自治体によっては公費負担となることもあるので確認しましょう。

しかし、どんなに気をつけていてもインフルエンザにかかってしまうことはあるでしょう。特に妊娠中は少しの症状でも放置せず、かかりつけ産婦人科医にまずは電話で相談してください。

発熱があり、インフルエンザが疑われる場合やインフルエンザと診断されたら、症状の出現から48時間以内の抗インフルエンザ薬の投与開始が重症化防止に有効です。

抗インフルエンザ薬の胎児への影響

妊娠中の薬の服用は注意を払わなければなりません。抗インフルエンザ薬も医師の処方通り、正しく使いましょう。

気になる胎児への影響ですが、新型インフルエンザが流行した年は、例年よりはるかに多い4万人の妊婦が抗インフルエンザ薬を使用しました。

日本産婦科婦人科学会によると、胎児に問題があったとの報告はないとしています。

インフルエンザに感染、または重症化すると早産率が上がる危険もあるため、早期の対処が重要です。発症後はただちに医師の診察を受けてください。

おわりに

インフルエンザの母子感染は心配ないからと油断は禁物です。

妊婦がインフルエンザにかかったら重症化しやすく、早産率が上がる可能性もあります。インフルエンザを防ぐためにもワクチンの接種を検討し、生まれてくる赤ちゃんのことを守ってあげましょう。

また、2009-2010年に大流行した新型インフルエンザのように、いつ新たな新型インフルエンザが起こるか誰にも分かりません。

普段から家族全員で手洗いうがいを必須として、流行期の不要な外出は避け、マスクでウイルス感染を予防しましょう。