1歳以下でもインフルエンザ予防接種はできる?
インフルエンザの予防接種がうけられるのは生後6か月からです。また、1歳未満のインフルエンザワクチンの接種は免疫の生成が難しいことから厚生労働省も推奨はしていません。
しかし赤ちゃんの持病などによっては、ワクチンを積極的に接種した方がいいケースもあります。以下に該当する場合は医師と相談のうえ、予防接種を検討してください。
・喘息や心臓病などインフルエンザで悪化する病気を持っている場合
・保育園や幼稚園などに通っておりウイルス保持者と接する機会の多い場合
他の予防接種との間隔は?
1歳未満の赤ちゃんは多くの予防接種を受ける必要があります。予防接種の種類ごとに開ける日数も定められています。
インフルエンザワクチンを接種する場合は、他の予防接種や定期の予防接種とのスケジュールもしっかり頭に入れておきましょう。
ワクチンには生ワクチンと不活化ワクチンがあり、インフルエンザワクチンは不活化ワクチンに分類されます。
インフルエンザワクチンを接種する前に生ワクチンを接種していると、インフルエンザワクチンを接種できるのが約1ヶ月後になるため、インフルエンザの流行時期も気にしながら予防接種の予約をとると良いでしょう。
次回接種までの間隔 | ||
別のワクチン | 同じ種類のワクチン | |
生ワクチン | 4週以上あける | ワクチンの種類ごとに異なる |
不活化ワクチン (インフルエンザワクチン) |
1週以上あける |
インフルエンザ予防接種と他の予防接種との間隔について、詳しくは関連記事をごらんください。
赤ちゃんの卵アレルギーに注意
赤ちゃんにインフルエンザの予防接種を受けさせる場合は、卵アレルギーが無いかどうか注意しましょう。
インフルエンザワクチンは、製造の過程で鶏卵の中で培養されているため、微量ではありますがワクチンに卵の成分が含まれることがあります。
卵アレルギーの赤ちゃんがワクチンを接種してもほとんどの場合は問題ありませんが、重度の卵アレルギーの場合は何かしらの異常反応が見られるおそれがあります。
担当の医師とよく話し合い、ワクチンを接種することの有益性が卵アレルギーの症状がおこるリスクより高いと判断した場合は接種しましょう。
インフルエンザ予防接種と卵アレルギーの関係について、詳しくは関連記事をごらんください。
赤ちゃんのインフルエンザ症状の特徴
赤ちゃんは言葉を発することができず、自分の体調の変化をうまく伝えることは困難です。周りの大人が赤ちゃんの異変に気づけるように気を配ることが大切です。
赤ちゃんのインフルエンザの特徴 |
◼︎体温の急上昇(38℃以上の発熱) |
熱性けいれんとは?
熱性けいれんとは、新生児〜約5歳までの子どもに多く見られる症状のひとつで、体温が38℃以上になったときに発症しやすいといわれています。
けいれんを起こすだけではなく、一点をずっと見つめていたり、白目を向いたり、体に力が入らないなどして呼びかけに反応がない場合も熱性けいれんの症状のひとつです。
1歳未満のけいれんの場合はすぐに救急車を呼んでください。救急車が来るまでの間は以下の処置をして待ちましょう。
・衣服を緩める(気道確保のため首周りを特に)
・吐いたものが気管に入らないように顔、体全体を横に向ける
・気道確保のため頭を背中側に少し反らせる
・けいれんの開始・終了時間を少しでも記録しておく
また救急車を呼ぶ間もなくけいれんが止まった場合でも、初めてけいれんを起こした子どもの場合は当日中になるべく早く医療機関を受診させましょう。
なお、けいれんを起こしたときに以下の処置は決してしないように注意してください。
◼︎舌を噛まないようにと口の中に指やタオルを入れる
◼︎体を強く抑え付ける
◼︎体を強く揺する
赤ちゃんは抗インフルエンザ薬を使用できる?
原則として1歳未満の赤ちゃんに抗インフルエンザ薬を使用することはできません。
しかし、インフルエンザはもともと子供に感染することが多く、発症後に命に関わる重大な合併症が起こりやすいことも知られています。0~4歳の子供においては、毎年100例近いインフルエンザ脳症の発症が確認されています。
インフルエンザ脳症を引き起こさないためにも、発症後に抗インフルエンザ薬の使用が役立ちます。抗インフルエンザ薬の使用が必要と医師が判断した場合はタミフルが処方されます。タミフルの中でもタミフルドライシロップだけが0歳〜1歳未満にも使用することが可能です。
厚生労働省では、平成28年11月24日から1歳未満の新生児と乳児に対してもドライシロップの使用を保険適用の対象と定めています。
タミフルドライシロップについて詳しくは関連記事をごらんください。
インフルエンザに感染したときのホームケア
水分補給
高熱や下痢、嘔吐で水分が失われるため、脱水症状に注意しなければなりません。母乳を飲んでいる赤ちゃんには母乳を、卒乳した赤ちゃんにはぬるま湯や経口補水液などをこまめに飲ませてあげましょう。
食事
食欲がない場合は無理に食べさせなくても構わないので、水分補給を中心に考えましょう。食欲がある場合は消化の良い食事を与えてください。
温度と湿度に注意
室温は22℃ほど、湿度は50〜60%に保ちこまめに換気を行いましょう。閉め切ったまま乾燥している部屋ではウイルスが繁殖しやすく、のども痛めやすいので注意してください。
体温調整
熱の上がり始めでは寒気が強く、熱が上がり切った後は体がほてります。体温に合わせて毛布をかぶせたり脇の下を冷やすなどの体温調整をこまめにしてあげましょう。
また衣服をこまめに取り替えることでウイルスが衣服に付着したままでいることを防ぐことができます。
家族ができる赤ちゃんのインフルエンザ予防策
赤ちゃんがインフルエンザに感染しないために、日常生活でも予防できる方法を紹介します。
家族が予防接種を受ける
赤ちゃんの最も身近にいるのは家族です。家族がインフルエンザに感染することで赤ちゃんの感染リスクも高くなるため、周りの方のインフルエンザ予防対策が最も大切です。
外出は人混みを避ける
人が多いところに行くと、インフルエンザウイルスを保持している人と接触する確率が上がり、感染リスクもあがります。赤ちゃんを連れて外出する際はなるべく人混みを避けましょう。
手洗いの徹底
手にウイルスや細菌が付着している状態のまま赤ちゃんに触れると、赤ちゃんへのインフルエンザ感染リスクが高まります。
外出から帰ったときなとは特に念入りに手を洗いましょう。石けんなどを使用して手洗いをするとさらに効果的です。手の甲→指の間→親指→指先と手の平→手首の順に30秒以上かけて洗います。水で流した後は清潔なタオルで水分を拭き取ってください。
おわりに
赤ちゃんのインフルエンザ予防には家族の協力と細心の注意が必要です。赤ちゃんに感染させないためにも、家族間の予防対策を徹底しましょう。
また、赤ちゃんの体の異変に気を配り、体調の変化が現れたらすぐに対処しましょう。