高齢者のインフルエンザ症状の特徴とは?

インフルエンザの症状は年齢に関わらず基本的には同じですが、高齢者が感染すると重症化しやすく合併症も起こしやすい傾向があります。

インフルエンザの代表的な症状は、38.5℃以上の高熱・強い倦怠感・全身の筋肉痛や関節痛です。一般的にインフルエンザウイルスに感染すると、1~3日程の潜伏期間を経て、突然38℃以上の高熱や頭痛・関節痛・筋肉痛など全身の症状が現れます。

高齢者の場合、下痢や腹痛などの胃腸系の症状も同時に起こることもあります。また、高齢者のインフルエンザは典型的な高熱や全身症状が現れず、微熱や長びく呼吸器症状だけがみられる場合も少なくありません。

通常は3日目頃が最も症状が重く、発症から1週間程度で快方へ向かいます。

インフルエンザの症状について詳しくは関連記事をごらんください。

インフルエンザの死亡率は高齢者が最も多い

厚生労働省のデータによると、インフルエンザによる死亡者数は1800人近くなった年もあり、その内1600人ほどは65歳以上の高齢者でした。インフルエンザでの死亡者数の約9割が高齢者ということになります。

インフルエンザが直接の原因による死亡者数は200人以下の年もあるなど年によって変動が大きいですが、どの年も死亡者数は65歳以上の高齢者が圧倒的に多く、全体の9割程度を占めています。

高齢者にとって、インフルエンザは命に関わる重大な病気であり、しっかりと対策しなくてはいけないことがわかります。

高齢者のインフルエンザ合併症:肺炎に注意!

高齢者は一般的に免疫力が低下しているため、インフルエンザに感染すると症状が重症化したり合併症を引き起こしやすくなっています。

合併症の中でも肺炎はインフルエンザに関する死亡原因の約6割を占めています。

高齢者の中でも呼吸器に慢性の疾患のある方や、心臓病・腎臓病の方、糖尿病の方は肺炎を起こしやすくなっているので注意が必要です。

インフルエンザ肺炎とは

インフルエンザによる肺炎は3つに分類することができます。

・インフルエンザウイルスが原因となる肺炎
・インフルエンザの症状がでているうちに起こす細菌性の肺炎
・インフルエンザで体力が消耗したところに細菌が侵入しておこる肺炎

高齢者が引き起こす肺炎の原因のほとんどが、インフルエンザウイルス以外の肺炎球菌や黄色ブドウ球菌などの細菌の感染になります。抗菌薬に耐性がある細菌が原因となるため、治療が困難になる場合があることが特徴です。

インフルエンザ肺炎の症状

インフルエンザによる肺炎では主に以下のような症状がでます。

◼︎高熱が続く
◼︎咳や痰が出る
◼︎呼吸が苦しくなる
◼︎胸が痛い・苦しい

インフルエンザウイルスではなく細菌が原因となる肺炎の特徴は、インフルエンザの高熱がおさまってきた頃に再び熱があがってくることです。

痰の絡んだ咳がでることも特徴です。痰の色は細菌を退治した白血球が混ざった黄色から、赤みがかった褐色のサビ色の場合もあります。ネバネバした粘液性とドロッとした膿性が混じった痰粘膿性の痰です。

二次感染の肺炎予防

高齢者のインフルエンザ感染による肺炎の多くは、二次的に肺炎球菌に感染しておこる肺炎です。

肺炎球菌による肺炎を防ぐためには、インフルエンザ予防接種とあわせて肺炎球菌ワクチンを接種することです。

平成26年10月より高齢者の肺炎球菌感染症の定期接種制度が始まりました。肺炎球菌ワクチンをはじめて接種される方は、自治体によって公費助成が受けられるので、インフルエンザ予防接種と同じようにお住まいの自治体への問い合わせをお勧めします。

肺炎以外のインフルエンザの合併症

インフルエンザは肺炎以外にもいろいろな合併症を引き起こす可能性があります。

肺炎の他にも死亡の原因となる合併症として慢性呼吸器疾患の悪化、心疾患や糖尿病の悪化、呼吸不全、心不全などがあります。また、子供に多い合併症ですが脳症も死亡につながる可能性があります。

さまざまな合併症の中でも特に注意すべきものを紹介します。

気管支炎

インフルエンザでは、ウイルスにより鼻粘膜や気道が炎症を起こし気管支炎を発生させやすくなっています。また、インフルエンザが原因で発生する気管支炎は、発熱をともなうことがあります。

高熱と痰が絡んだ激しい咳が特徴です。

心合併症(心筋炎・心膜炎の合併症)

胸痛、息切れ、呼吸困難、などの心不全症状が発症します。特にもともと心疾患をもっている場合は、重症化の恐れがあるため特に注意が必要です。

胸に違和感を感じたらすぐに病院を受診してください。

重症化や合併症を防ぐ!インフルエンザ予防対策は?

インフルエンザによる重症化や肺炎などの合併症を防ぐには、なによりもまずインフルエンザに感染しないようにすることが大切です。

流行前の予防接種

高齢者に最も効果のある感染予防策はインフルエンザ予防接種です。

厚生労働省の発表資料によると、インフルエンザ予防接種は65歳以上の老人施設入所者の死亡を80%減少、肺炎やインフルエンザによる入院を一般高齢者で30〜70%・老人施設入所者で50〜60%減少することがわかっています。

■高齢者の予防接種料金は?

高齢者の中には、インフルエンザ予防接種が予防接種法に基づく定期予防接種の対象となっている方もいます。予防接種法に法律上の義務はないので、予防接種を希望して接種料金の助成を受ける場合は申請が必要になります。

予防接種の料金や申請方法は自治体によって異なります。条件によっては無料で予防接種ができる場合もあるので、まずはお近くの医療機関、かかりつけ医、役所窓口に問い合わせてみましょう。

手洗い後のアルコール消毒

インフルエンザウイルスの消毒には、アルコール消毒が効果的です。外出後の手洗いに加えて、アルコール消毒を行う習慣をつけましょう。

アルコール(エタノール)は脂溶性と水溶性の両方に作用する成分です。

このためインフルエンザウイルスの脂溶性の殻(エンベローブ)にもなじんで破壊するとともに、殻が壊れたウイルスは本体のたんぱく質も変性しやすくなり、感染力が低下します。

この仕組みがアルコールの抗ウイルス作用につながります。

マスクの着用

インフルエンザの主な感染経路は飛沫感染です。飛沫感染を防ぐために、厚生労働省が推奨しているのがマスクです。

特に満員電車や学校・職場などの人が多い場所では、マスクをすることでインフルエンザ感染の拡大防止に一定の効果があるとされています。

インフルエンザが疑われたら重症化する前に病院へ!

インフルエンザの流行は毎年12月〜3月です。この時期に急な発熱などインフルエンザと思われる症状が出た場合は病院を受診しましょう。

特に高齢者は重症化や合併症を引き起こす危険があるため、通常の風邪だと自己判断して放置せずに病院を受診することが大切です。

重症化の兆候は?

次のような兆候が現れた場合は入院の可能性があるため、入院施設のある医療機関を早急に受診してください。

・安静にしていても息切れする・呼吸が早いなどの呼吸状態の悪化
・水分がとれず、半日以上尿が出ないような脱水状態
・ぐったりして反応が薄い・意識がもうろうとするなどの意識状態の悪化
・動悸が激しい・顔色が悪かったり唇が紫色になるなどの変化

また、病院へ行く場合はマスクをし、なるべく公共の交通機関を使わないなど人混みを避けるようにしましょう。

おわりに

高齢者のインフルエンザは重症化や合併症など注意すべき点が多くあります。

まずは高齢者がインフルエンザに感染しないように、予防接種を受けることが重要です。それでもインフルエンザ感染してしまった場合は合併症をおこさない、または合併症にはやく気がつけるよう体調の変化に注意深くいることが大切です。

少しでも変化がある場合には、早めに病院を受診することをお勧めします。