咳や痰(たん)は、インフルエンザでも現れる症状です。

インフルエンザの初期症状や治りかけの症状として現れることも多く、周囲への感染を広める原因となります。

この記事ではインフルエンザによる咳・痰の症状が合併症を引き起こす理由、咳が止まらないときの対処法などについて解説します。

咳・ 痰はインフルエンザでも現れる

インフルエンザでは、咳が止まらない、痰(たん)が絡むといった症状が現れます。インフルエンザによる咳や痰の症状は、インフルエンザウイルスを異物と捉え、体内にこれ以上侵入させないようにする体の防御反応として現れます。

ただし、咳や痰は風邪でもよく見られる症状であり、これだけでインフルエンザであると判断することはできません。

咳・痰の症状に合わせてその他の症状を確認し、病院でインフルエンザの検査を受けることで確定診断ができます。

インフルエンザと風邪では、痰の色の特徴が異なります。風邪の場合は、細菌が多く含まれた黄色や緑の膿みのような痰が出ますが、インフルエンザの場合は白くて粘り気のある痰が出ます。

インフルエンザと風邪の違いについては関連記事をごらんください。

インフルエンザの症状の特徴

A型インフルエンザ B型インフルエンザ
症状 ・38℃〜40℃近い高熱
・寒気、悪寒、震え症状
・頭痛
・めまい
・全身の強い倦怠感
・強度の関節痛
・筋肉痛、筋肉の熱感
・腰痛
・上気道炎
・微熱(高熱がでる場合もある)
・寒気、悪寒、震え症状
・頭痛
・腹痛、下痢
・咳、痰(たん)
・全身のだるさ、倦怠感
・関節痛
・筋肉痛
・腰痛
・胃炎
・上気管支炎
・気管支炎
特徴

・ウイルスが変異するため流行が広がりやすい
・呼吸器系の合併症を起こすこともある
・高熱がでる
・強い関節痛がでる  

・腹痛や下痢など、消化器症状が起こりやすい

インフルエンザA型・B型ともに咳や痰の症状がみられます。

B型はA型よりも発熱の症状が軽く、気管支や消化器関係の炎症を起こしやすい傾向があります。

どちらのインフルエンザでも、咳や痰の症状が悪化すると気管支炎などの合併症を併発するおそれがあります。

止まらない咳・痰が引き起こす合併症

インフルエンザの症状が治まったにもかかわらず咳・痰の症状が続く場合は、ウイルスがまだ体内に潜伏していることや、気道が炎症を起こしていることが考えられます。

また、胸や肺の痛みをともなう場合や「ゼーゼー」といった音がする場合などは、他の病気を発症しているおそれがあります。

感染後咳嗽(かんせんごがいそう)

気管支の細胞が傷つくことで炎症が起こり、咳が止まらなくなることがあります。痰を排出する細胞が傷つくことで痰がうまく排出されず、刺激となって咳が止まらなくなることもあります。

上気道咳嗽症候群(じょうきどうがいそうしょうこうぐん)

鼻の粘膜が炎症を起こすことによって起こります。後鼻漏(こうびろう)という鼻から喉に落ちる痰のような鼻水が出ることにより、咳が止まらなくなります。

咳喘息(せきぜんそく)

インフルエンザの咳が引き金になり、乾いた咳が長時間続きます。気道が敏感になることで、息を吸った刺激や寒暖差によって咳が出たりします。

気管支炎のような「ゼーゼー」「ヒューヒュー」などといった音はなく、発熱や痰はほとんどありません。発作が激しいと胸部が痛んだり、嘔吐や失神をする場合もあります。

気管支炎

気管支が炎症を起こし、乾いたようなコンコンという咳から、ゴホゴホとした重い咳になります。

発熱や全身の倦怠感などの症状もあり、咳がひどいと胸部の痛みを感じ、胸からゼーゼーとした音も聞こえるようになります。

肺炎

インフルエンザによる肺炎の原因には、インフルエンザウイルスが肺に侵入したもの、二次感染によるものの2種類があります。

インフルエンザウイルスが肺に侵入した場合の肺炎は、インフルエンザ発症後3日以内に急激に進行し、高熱・呼吸困難・チアノーゼ(唇や手足が青白くなる)が起こります。

二次感染の場合は、インフルエンザの症状がいったん落ち着いた後に膿みのような痰が出たり、重い咳が止まらなくなったりします。また、再び熱が上がる場合もあります。

止まらない咳・痰への対処方法

咳への対処法

① 部屋を乾燥させない

部屋の空気が乾燥していると、咳が出て痰が絡むことがあります。部屋の湿度は50〜60%に保ってください。

また、部屋でもマスクを着用し、暖かい飲み物を摂取することで喉を潤わせて症状を緩和させましょう。

② ハチミツを摂取する

ハチミツに含まれるグルコン酸には殺菌消毒作用があります。また、ハチミツにはビタミンB群やアミノ酸なども含まれています。

直接舐めることでも喉が潤うことにつながりますが、暖かいお湯に溶かすとさらに飲みやすくなります。

③ 冷たい飲み物を控える

冷たい飲み物は気管を刺激・収縮させてしまうため、咳が出やすい環境になります。

インフルエンザによって熱がでると冷たい飲み物が欲しくなりますが、咳がでている場合は冷たい飲み物は控えましょう。

④ 病院で薬を処方してもらう

咳が治らない場合には、病院で症状に適した薬を医師に処方してもらいましょう。

ただし受診の際はマスクをつけ感染の拡大を防ぐよう心がけてください。

痰への対処法

インフルエンザによる熱は発症から2日ほどで治まりますが、インフルエンザウイルスはまだ体内に残っています。

インフルエンザウイルスとともにダメージを受けた粘膜細胞を排出しようとして、咳や痰が発生しているため、症状をそのままにしていると悪化する場合もあります。正しい対処法を覚えておきましょう。

① 痰を飲み込まない

インフルエンザによって出る痰は、肺に入った菌やホコリ、白血球の残骸が混ざったものです。痰を飲み込むことで肺や気管支に菌やホコリなどの異物が入ってしまうことがあります。

痰が出た時は飲み込まずに、こまめにティッシュなどに出しましょう。

② 水分を多めにとる

痰は、粘り気が強くなるほど喉に絡んで切れにくくなります。水分を多めに摂取することで痰の粘度が下がり、切れやすくなります。

ただし、炭酸などの飲み物は喉に刺激を与えるので、常温の水や白湯など刺激の少ないものにしましょう。

③ 部屋を乾燥させない

咳の対処法と同様に、部屋の空気が乾燥していると気道が乾燥して咳が出たり、痰が絡むことがあります。部屋の湿度は50〜60%に保ちましょう。また、部屋にいるときもマスクを着けることで喉の乾燥を防ぐことができます。

 病院で薬を処方してもらう

痰が出るということは気道や肺に異物が入っているおそれもあり、異物を取り除かない限り痰が止まらない場合もあります。痰がたくさん出る場合や、症状が長期に渡る場合は医師の診断を受けましょう。

予防接種後にも咳・痰が現れる場合がある?

インフルエンザワクチンの接種によって副反応として咳や痰が現れるおそれがあります。

インフルエンザワクチンの副反応とは、予防接種の目的である「抗体を得る」以外の皮ふや全身に起こる反応のことです。発熱や咳、痰(たん)、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、筋肉痛、関節痛、倦怠感など、風邪のような症状があります。

副反応が現れる確率は全体の5〜10%で、ほとんどの場合が2〜3日程度でおさまります。

インフルエンザワクチンはウイルスを不活性化したものを使用しており無毒なため、副反応によって出た咳や痰などが他人にうつることはありません。

副反応に風邪薬は使用できる?

インフルエンザ予防接種による副反応で風邪のような症状がでると、日常生活に支障をきたすおそれも考えられます。

咳がひどい場合は、咳止めや解熱剤などの薬を使用することによって症状を緩和することができます。

インフルエンザワクチンの効果に影響が出ることもないため、学校や仕事、育児などのために症状をおさえたい場合も問題なく使用できます。

ただし、市販薬を購入する場合は薬剤師または登録販売者に相談して購入しましょう。また、副反応が長引いている場合は予防接種を受けた病院に相談することをお勧めします。

咳・痰でインフルエンザはうつる?

インフルエンザ感染者の咳やくしゃみなどの飛沫、痰、鼻水にはインフルエンザウイルスが含まれています。

咳やくしゃみ、痰などの飛沫を周囲にいる人が口や鼻から吸い込み、感染するのが飛沫感染です。

飛沫の飛ぶ距離は3〜5メートルと、かなり広い範囲で広がります。また、口を覆って手でくしゃみや咳をすると、手にウイルスが付着して直接感染の原因ともなります。

インフルエンザの感染者とその周囲にいる人は必ずマスクを着用するなど、周囲への感染拡大を防ぐ対策を行いましょう。

おわりに

咳や痰はインフルエンザの症状のひとつです。

初期症状や治りかけの症状として多く現れるものなので、過剰に心配する必要はありません。

ただし、熱がおさまっても咳や痰の症状が治らない場合には、他の病気を発症している可能性もあります。症状に不安がある場合は、再度医師の診断を受けましょう。