インフルエンザと扁桃腺炎の違い

インフルエンザと扁桃腺炎はどちらも同じ冬季に流行する病気です。それぞれ共通する症状もあり、自己判断で見分けることは難しい場合もあります。

インフルエンザと扁桃腺炎の大きな違いは、初期症状の現れ方です。

インフルエンザの場合、初期症状で突然の高熱・全身のだるさといった全身症状が現れます。

扁桃腺炎の場合、扁桃腺の腫れ・痛みなど喉に初期症状が現れる特徴があります。

また、扁桃腺炎は他人に感染することはありませんが、インフルエンザは感染力も強くウイルスが含まれた飛沫などを介して感染が広がります。

  インフルエンザ 扁桃腺炎(急性)
潜伏期間 48~72時間 2日~7日(原因菌によって差がある)
初期症状 急な高熱、筋肉痛、関節痛、寒気 扁桃腺の腫れ、痛み
症状 鼻水、咳、喉の痛み、頭痛など 扁桃腺に白っぽい膿、発熱、頭痛、悪寒など
原因 インフルエンザウイルス
(A型、B型、C型)
細菌の場合:溶血連鎖球菌など
ウイルスの場合:アデノウイルスなど

扁桃腺の場所

インフルエンザの原因と特徴

インフルエンザの感染経路は、大きくわけて飛沫感染・接触感染の2つです。

飛沫感染・・・ウイルス保持者の咳などで飛び散ったウイルスを吸い込む
接触感染・・・ウイルスのついた物に触れる

インフルエンザの感染経路について詳しくは関連記事をごらんください。

インフルエンザウイルスの種類

インフルエンザの原因となるインフルエンザウイルスには大きく分けてA型、B型、C型があります。

最も流行しやすいインフルエンザA型の特徴は、突然の38.5℃以上の高熱、全身の筋肉痛や関節痛、倦怠感です。

比較的症状が重く、抵抗力の弱い乳幼児や高齢者は、重症化や合併症を引き起こす危険性があるため、事前の予防接種が望ましいです。

インフルエンザの種類と違いについて詳しくは関連記事をごらんください。

インフルエンザの潜伏期間

インフルエンザウイルスは風邪と比べると潜伏期間が短いことが特徴です。潜伏期間は1〜3日間程度で、その後症状が急速に現れます。

潜伏期間には個人差があるため、感染当日に症状がでる場合もあれば、5日間程度も症状がでない場合もあります。

身近にインフルエンザ感染者がいる場合は感染しているおそれがあるため、体調の変化に十分に注意しましょう。

インフルエンザの潜伏期間については関連記事をごらんください。

インフルエンザの主な症状

インフルエンザでは、高熱などの症状のあとに、鼻水や喉の痛みなどの呼吸器系の症状が現れます。

【インフルエンザの主な症状】

・高熱
・倦怠感
・筋肉痛、関節痛
・鼻水、鼻づまり
・咳、痰、くしゃみ
・喉の痛み
・頭痛、めまい
・腹痛、嘔吐、下痢
・目の痛み

インフルエンザの症状については関連記事をごらんください。

扁桃腺炎の原因と特徴

扁桃腺炎とは、舌の付け根にある両サイドのこぶ(扁桃腺)が炎症を起こし、大きく腫れた症状のことです。

インフルエンザと間違えやすいのは、扁桃腺炎の中でも「急性扁桃腺炎」と呼ばれるものです。小さい子どもや青年によくみられる症状で、高齢者の発症が少ないことが特徴です。

扁桃腺炎の原因

扁桃腺炎の原因は免疫低下にともなう細菌またはウイルスの増殖で、免疫低下は、風邪による体力低下のほかストレスや気候の変化などが原因で起こります。

扁桃腺炎の主な原因菌(細菌)は溶血連鎖球菌とされていますが、このほか肺炎球菌や黄色ブドウ球菌といった常在菌が引き金となるケースもあります。

扁桃腺炎の潜伏期間

扁桃腺炎の潜伏期間は、原因菌によって差があります。主な原因菌である溶血連鎖球菌の潜伏期間は、2日~7日間です。

インフルエンザと違い、潜伏期間もふくめ他人への感染の心配は無く、治療にかかる期間はおよそ1週間程度です。

扁桃腺炎の主な症状

扁桃腺炎は、扁桃腺の腫れや痛みで食べ物や飲み物が飲みこみにくいといった初期症状のあとに、発熱・頭痛といったさまざまな症状が現れます。

【扁桃腺炎の主な症状】
・発熱
・悪寒
・頭痛

扁桃腺炎の初期症状が悪化して急性扁桃腺炎へ

扁桃腺炎の初期症状でみられる喉の痛みが悪化し、さらに38~40℃の高熱が出ると「急性扁桃腺炎」になります。

急性扁桃腺炎では、以下のような症状がみられます。

【急性扁桃腺炎の主な症状】
・悪寒
・関節痛
・倦怠感
・頭痛
・頸部リンパ節の腫れ(首の辺り)
・扁桃腺に黄色や白い膿が付着する

通常の扁桃腺炎の症状に加え、扁桃腺に黄色や白い膿が付着するのが急性扁桃腺炎の特徴です。

急性扁桃腺炎を放置したり治療が遅れてしまうと、扁桃周囲炎や扁桃周囲膿瘍といった重症化を招くおそれがあるので、早めに治療を行いしっかり休養をとりましょう。

急性扁桃腺炎を繰り返すと慢性化する

急性扁桃腺炎を年に数回繰り返すようになると、慢性扁桃腺炎と呼ばれるようになります。

【慢性扁桃腺炎の主な症状】
・扁桃炎を繰り返す
・のどの奥に異物感を感じる
・倦怠感
・微熱
・口臭が気になる

慢性扁桃腺炎による症状が頻繁に起こる場合、扁桃摘出手術が勧められることもあります。

扁桃摘出手術を行うと、喉が痛いと感じる頻度が減ったり重症化が回避できるといったメリットが得られますが、扁桃摘出手術を行った場合は免疫力の低下や術後の喉の痛みといった点が懸念されます。

手術の際には、医師にしっかりと相談し慎重に判断してください。

インフルエンザと扁桃腺炎は併発する?

扁桃腺炎は、扁桃腺に細菌やウイルスが増殖したことで起こります。

扁桃腺で増殖したものがインフルエンザウイルスであった場合、インフルエンザと扁桃腺炎が併発が起こる可能性があります。

特に2歳までの小さな子供の場合、扁桃炎にかかる原因のほとんどがウイルスであるため、インフルエンザの流行シーズンには特に注意が必要です。

3歳以上になると、溶血性連鎖球菌などのような細菌による扁桃腺炎が多くなる傾向があります。

インフルエンザ流行期には扁桃腺炎の併発のおそれを意識して、しっかりと予防対策を行いましょう。

インフルエンザ以外のウイルスでは「アデノウイルス」なども扁桃腺炎の原因となります。アデノウイルスについては関連記事をごらんください。

インフルエンザ・扁桃腺炎の病院での対処

インフルエンザや扁桃腺炎を早く治すには、病院で医師の診断を受けて薬を処方してもらうことが一番です。インフルエンザや扁桃炎が疑われるときの病院選び、忙しくて病院に行けない場合の対処法もあわせて解説します。

病院は何科が良い?

インフルエンザ、扁桃腺炎ともに内科あるいは耳鼻咽喉科を受診しましょう。

子どもの場合は、かかりつけの小児科を受診してください。早い段階で受診することで、治療が長引かず、インフルエンザの場合は周囲への感染を最小限にとどめることができます。

インフルエンザに使用する処方薬

インフルエンザ治療薬として使用されるのは、タミフルイナビル、そしてリレンザです。いずれもA型・B型のインフルエンザに効果を発揮します。

タミフルはカプセル剤のほか、子ども用に飲みやすいドライシロップもあります。イナビルリレンザは、吸入によってウイルスが増殖する気道に直接有効成分を届ける薬です。

インフルエンザに使える市販薬

市販薬はインフルエンザに直接的な効果はありませんが、休日や深夜にインフルエンザの症状があらわれ、病院に行くまでに時間がある場合の対処療法として使用することがあります。

ただし、市販薬にはインフルエンザに使用できない解熱鎮痛成分が含まれている薬もあり、使用する市販薬は慎重に選ぶ必要があります。

インフルエンザのときでも安全性が高いとされている解熱鎮痛成分は、アセトアミノフェンです。

インフルエンザに使える市販薬と使えない市販薬については関連記事をごらんください。

扁桃腺炎の処方薬・市販薬

扁桃腺炎の治療に使用する薬は、原因が細菌かウイルスかによって異なり、細菌が原因の場合は抗生物質を、ウイルスが原因の場合は抗ウイルス剤を使用します。

症状によっては薬とあわせてうがい薬も処方されるケースもあり、口腔内を清潔に保つことで症状を緩和します。

さらに痛みが強いときや38.5℃以上の高熱が続くときは、鎮痛解熱剤が処方されます。

扁桃腺炎に効果を発揮する市販薬では、鎮痛や解熱に作用する「ロキソニン」が知られています。

ロキソニンS

解熱鎮痛成分が痛みや熱の原因物質をすばやくおさえ、すぐれた鎮痛効果と解熱効果を発揮。胃への負担が少ないプロドラッグ製法です。

ロキソニンSプラス

胃を守る成分(酸化マグネシウム)をプラス配合。速く効き胃にやさしい解熱鎮痛剤です。

このほか扁桃腺の炎症に働きかける、トラネキサム酸やカンゾウエキスが含まれる市販薬も有効です。

代表的なものに、小林製薬の「ハレナース」があります。

ハレナース

のどの腫れている部分に冷感が届きます。水なしでも飲むことができます。

インフルエンザ・扁桃腺炎の自宅での対処法

インフルエンザ治療中の過ごし方

インフルエンザによる発熱は、体がウイルスと戦っている証拠でもあります。解熱剤などを使用して熱を下げることは望ましくないケースもあります。38℃台ほどの場合は解熱剤を使わずに水分補給をしっかり行って安静にしましょう。

鼻づまりや喉の痛みを軽くするには、室内の加湿がおすすめです。ウイルスは湿度が苦手なので、湿度は50~60%を保ちましょう。

体力が回復して食欲が戻ってきたら消化の良いものから食べ始め、熱は37℃ほどの微熱になれば入浴も可能です。

インフルエンザの経過と過ごし方については関連記事をごらんください。

扁桃腺炎治療中の過ごし方

喉への症状が顕著に現れる扁桃腺炎の場合、喉へのケアを重点的に行いましょう。喉のケアの基本は「うがい」です。処方されたうがい薬のほか、水やお茶でも効果を発揮します。

このほか喉の乾燥を防ぐため、マスクの着用や部屋の加湿も心がけてください。

口呼吸が癖になっている人は、鼻呼吸を意識しましょう。

熱は体と原因菌が戦っている証拠なので、解熱剤の使用は38.5℃を超えてから検討しましょう。ただし、高熱が2~3日つづく場合は医師に相談してください。

扁桃腺が腫れて食べ物を飲み込むのがつらいときは、ゼリーやアイスクリームのような冷たいものを食べるのがお勧めです。

ご飯類はおかゆのようなやわらかいものにすると食べやすくなります。

体調が戻ってきたら、再発を予防するためにも免疫をつけることを意識しましょう。睡眠を十分にとり、栄養バランスのとれた食生活を心がけてください。

また、喉への刺激が強いたばこは控えましょう。

おわりに

インフルエンザと扁桃腺炎はどちらも症状が似ていますが、原因や初期症状に違いがみられます。

喉が痛くて体調が悪いと感じたら、早めに病院を受診することをお勧めします。インフルエンザの確定診断は病院で検査を受ける必要があります。感染拡大を防ぐためにも医療機関を受診しましょう。