インフルエンザの初期症状とは?
インフルエンザの初期症状には、次のようなものがあります。
・38度以上の高熱
・関節痛、筋肉痛
・倦怠感
・全身の悪寒
・頭痛
・吐き気
・下痢
・呼吸困難
・咳や痰やくしゃみ etc...
インフルエンザの初期症状の特徴には、急激に38度を超える高熱が起こること、風邪の時よりも全身の痛みやだるさ、筋肉痛が強く出ることがあげられます。
また風邪のときによく出る、咳やくしゃみや鼻水などの呼吸器系の症状は、インフルエンザの場合は、初期ではなく後期にあらわれる傾向があります。
悪寒や寒気
悪寒や寒気はインフルエンザの初期症状のひとつです。ひどい場合には震えが出たり、なかなか眠ることができないこともあります。
インフルエンザの寒気は熱が出る前触れであることが多いので、熱が上がりきることで悪寒や寒気の症状はほとんど感じなくなります。インフルエンザに感染するとおよそ24時間以内には発熱のピークに達するので、悪寒や寒気は数時間〜1日で治ることが多いようです。
ただし微熱があるのに強い悪寒や寒気を感じるという場合には、その後さらに熱が上がる可能性が高いので、注意しましょう。
インフルエンザで悪寒や寒気を感じる場合の対処法としては、とにかく体を温めることが大切です。
インフルエンザは熱がポイント:熱が出ない場合もある?!
インフルエンザは急激な高熱がポイントです。
インフルエンザを発症すると、免疫のはたらきで体温が急激に上昇し、38度以上の高熱や全身の痛み、倦怠感などの症状が急激に進行します。
インフルエンザのシーズンに急な高熱が出た場合は医療機関への受診をおすすめします。ただし、発熱直後はインフルエンザウイルスが十分に検出されずに正確な診断が行えない場合もあります。発熱後12時間〜24時間の間に病院を受診しましょう。
また、医療機関を受診する際は、医療機関に事前に電話で連絡し受診方法などの指示を受けましょう。
また受診の際はマスクをつけ感染の拡大を防ぐよう心がけてください。
インフルエンザと診断されたあとは、処方される抗インフルエンザ薬を使用し、水分をよく摂って安静にします。
インフルエンザの発症から早い段階で39度を越える高熱が出ている場合、40度以上にまで熱が上がる可能性があります。熱があまりにも高い場合は、発熱から12時間を待たずに早急に医療機関を受診しましょう。
熱しか出ない場合も
インフルエンザを発症した場合、通常は風邪と同様に、咳や鼻水、のどの痛みなどの症状も現れます。ただし、症状には個人差があり、熱だけしか症状があらわれないこともあります。
事前にインフルエンザの予防接種を受けたことにより、他の症状が抑えられ熱だけが出ることもあります。
11月〜3月の周囲でインフルエンザが流行している時期や、家族など一緒に生活している人がインフルエンザを発症した場合は、熱だけの症状でも感染の可能性があるので注意が必要です。
微熱・熱が出ないこともある!
インフルエンザに感染していても、条件によっては微熱や熱が出ない場合があります。
◼︎インフルエンザB型に感染している
インフルエンザA型は急激に38~40℃の高熱が出ますが、B型は熱が出ても38度程度で、微熱が続き高熱が出ないこともあります。
◼︎風邪薬を飲んだ
風邪だと思い、解熱鎮痛効果がある風邪薬を飲んだため、一時的に発熱や頭痛などの症状が抑えられることがあります。
◼︎予防接種・ワクチンを接種した
インフルエンザの予防接種を受けたり、事前にタミフルなどの予防薬を服用したりしている場合、感染しても症状が軽くなり、熱が出ないことがあります。
◼︎高齢者である
発熱は体外から侵入してきたウイルスと戦うための体の防御機能ですが、年齢を重ねるとともに、この機能は衰え、十分に発熱できない場合があります。
熱が出なくても、次の条件に当てはまる場合はインフルエンザに感染している可能性が高いので、病院の検査を受けましょう。
・いつもの風邪の症状よりひどい症状がでている
・頭痛や全身の関節痛、喉の痛み、悪寒などが出ていつもよりひどくなっている
・全身のだるさがひどい、立っていられないくらい辛い
・自分の周りや職場などでインフルエンザにかかった人がいる
インフルエンザのときの体の痛みの原因は?
インフルエンザのときの頭痛・腰痛をはじめとする全身の痛みは、ウイルス自体が原因ではありません。
インフルエンザウイルスが入ってきた体内では、ウイルスの侵入を伝えるためにプロスタグランジンという物質を大量に分泌します。
プロスタグランジンは血流をよくしたり血管を広げたりする働きがあり、発熱を促進することによりウイルスの増殖を抑える役目も果たします。それと同時に痛みや炎症を起こす作用もあるので、頭痛や関節痛などの炎症や痛みが起こる仕組みとなっています。
関節痛・筋肉痛
関節痛・筋肉痛はインフルエンザの初期に出ることの多い症状で、体を動かさなくても痛みを感じるのが特徴です。
対処法としては、痛む部分を冷やす、病院で処方される解熱鎮痛剤を使用する、などがあります。
頭痛
インフルエンザで起こる頭痛には、風邪の時と比べてひどい痛みであったり、長引きやすく熱が下がったあとでも症状が出ることがある、といった特徴があります。
対処法としては、頭部を冷やすと痛む部分の血管の拡張を抑え、痛みを緩和させることができます。
頭痛がひどくて辛いときは、病院で解熱鎮痛剤が処方されることがあります。インフルエンザのときに使用される解熱鎮痛剤の中で安全性が高いとされているのは、アセトアミノフェンという成分です。病院では、アセトアミノフェンを単一成分とした、カロナールという薬が処方されることが多くなっています。
腰痛
関節や筋肉の痛みが腰にあらわれることがあります。インフルエンザによって生じる腰の痛みは、体を動かす時に痛むことが多く、また、体を動かしていない時や寝ているだけでも腰に痛みを感じることがあります。
さらに、咳をしたときに普段使わない背中の筋肉を使ったことによる筋肉痛、療養中の寝る時の姿勢が腰痛の原因になることもあります。
インフルエンザによる腰痛を和らげるために、湿布を使用することも効果的な方法の1つです。
湿布には、冷湿布と温湿布の2種類があります。インフルエンザの腰痛に対して冷湿布を使用する場合、血管を収縮させて、炎症による痛みを和らげることを目的とします。
一方で、インフルエンザで高熱が出ている場合などには、寒気や悪寒を感じることがあります。そのような場合には、温湿布を使用することも効果的です。
鼻・喉など呼吸器系の症状はインフルエンザの治りかけにあらわれる
鼻水や喉の痛み、咳といった呼吸器系の症状は、高熱が出た後や熱が下がりかけたインフルエンザの後期に現れる傾向があります。
主なインフルエンザウイルスの種類には、A型とB型がありますが、とくにA型は激しい呼吸器系の症状が出ます。
鼻水
個人差はありますが、初期に鼻水が出ることの多い風邪と異なり、インフルエンザでは高熱が出た後や熱が下がりかけたときなど後期に、鼻水・鼻づまりの症状が現れることが多くなっています。
基本的な対処法は、たくさん水分を摂ることです。
水分は呼吸器の問題解決にとって非常に大切な要素です。水分を多く含んだ鼻垢は柔らかくなり、外へ排出しやすくなります。同時に、鼻の粘膜を感染症から保護する作用も強まります。
喉が痛い
体内に侵入したインフルエンザウイルスは、最初に喉の粘膜や気管支で増殖することが多いとされています。体は免疫をフルに稼働して、インフルエンザウイルスと戦います。その結果生じるのが、喉の痛みです。
インフルエンザウイルスは、乾燥した空気や冷たい場所を好みます。インフルエンザで喉が痛いときは、部屋の加湿や喉を温めるのが効果的です。
咳や痰
インフルエンザに感染すると、咳が止まらない、痰(たん)が絡むといった症状に悩まされることがあります。咳や痰の症状は、インフルエンザウイルスをこれ以上侵入させないようにするためや、体内にある異物を追い出そうとするためにあらわれます。
インフルエンザによって出る痰は、肺に入ったばい菌やホコリ、白血球の残骸が混ざったものです。それを飲み込むことで肺や気管支に入ってしまうことがあります。痰が出て苦しい場合でも、飲み込まずに必ず出すようにしましょう。
部屋の空気が乾燥していると、余計に咳が出て、痰が絡むことがあるので、部屋の温度は50〜60%に保ちましょう。また、部屋でもマスクをしたり、暖かい飲み物を摂取することで喉が潤い症状が緩和されます。
インフルエンザと扁桃腺炎の違い
インフルエンザと同じ時期に流行るのが、扁桃腺炎です。どちらも「扁桃腺が腫れて喉が痛い」「熱がなかなか下がらない」という症状が出ることから、見分けるのが難しいとされています。
一見、似ているインフルエンザと扁桃腺炎ですが、インフルエンザの初期症状が発熱などの全身症状であるのに対し、扁桃腺炎は扁桃腺の腫れ、痛みなど喉からはじまります。
扁桃腺炎は、扁桃腺に細菌やウイルスが増殖したことで起こります。このとき増殖したものがインフルエンザウイルスであった場合、インフルエンザと扁桃腺炎の併発が起こる可能性があります。
インフルエンザB型に感染したら消化器系の症状に注意!
インフルエンザの種類にはA型とB型がありますがとくにインフルエンザB型は下痢や腹痛などの消化器症状が強く出る傾向があります。
高熱が出ない場合は一般的な風邪と間違えやすく、下痢止めなどの市販薬を飲んで症状が悪化するケースがありますので注意が必要です。
吐き気
体がウイルスを受け付けないために吐き気や嘔吐の症状が出ます。吐き気や嘔吐は熱が下がっても続くことがあり、人によっては4〜7日程続く場合もあります。
吐き気や嘔吐の症状はとても辛いものですが、体の基本的な防衛反応なので、なるべく吐き気止めなどの薬の使用は避け、我慢しないで全て出すようにしましょう。
嘔吐によって脱水症状を引き起こすこともあるので、水分補給を忘れないようにしましょう。
あまりにも症状がひどい場合や、症状が長期間続いて一向に治る気配がない場合には、医師の診断を受けてください。
下痢
インフルエンザに感染して腹痛や下痢の症状が出てしまったら、トイレを我慢しないでください。つらくてもこまめにトイレに行き、体の中に潜むインフルエンザウイルスを出してしまいましょう。
その際、繰り返す下痢を止めようと下痢止めを使用すると逆効果です。しっかりとウイルスが排泄されず回復が遅れてしまいます。
トイレに行く回数が多くなると、脱水症状も起こりやすくなるので水分補給にも気を配りましょう。ウイルスと同時に、栄養や水分も一緒に排泄されているので、スポーツドリンクや経口補水液などでしっかりと水分と電解質をとり、体力の回復を目指すことが大切です。
便秘になることはあるの?
インフルエンザでは下痢になる方がいる一方で、便秘になる方もいます。
その理由として、インフルエンザ感染中は脱水症状に陥ることが多く、水分を失った便は固くなり、結果として便秘となってしまうことが考えられます。
さらに、胃腸のはたらきが弱ってしまうことも原因のひとつといえます。
熱や全身の痛みなどの症状が辛くても、しっかりと水分を摂っておくことで、脱水症状だけでなく便秘を予防・改善することができます。スポーツドリンクや経口補水液などで、水分だけでなく電解質も補給するのがおすすめです。
他にもこんなインフルエンザの症状が!
めまい
インフルエンザによるめまいは、熱が下がって体調が回復したときに感じる人が多いようです。
インフルエンザの後にめまいを感じる場合、視界がぐるぐる回ったり、自分の周りが回っているように見える「回転性めまい」である可能性が高いとされています。高熱により、体の平衡感覚を司る三半規管や小脳がバランスを崩すことによって、めまいが起こるのです。
激しいめまいのときは、吐き気や嘔吐を伴うことが多いため、まずは光や音の刺激を避け、体を動かさずにじっとしておきましょう。衣類をゆるめて横になったり、静かな部屋で安静にするのがおすすめです。
味覚障害
インフルエンザにより味覚障害になるのは、インフルエンザウイルスにより嗅覚受容体が一時的に損なわれることが主な原因と考えられています。
この場合、インフルエンザの発症後数日から数週間にわたって、においや味がわからなくなることがあります。通常、味覚障害は一過性のものですが、まれに嗅覚や味覚の消失がそのまま続く人もいます。
また、抗インフルエンザ薬であるリレンザで、味覚障害の副作用が報告されています。ただし、国内臨床試験ではこの副作用は見られず、海外臨床試験で1%未満の発現頻度となっています。ほぼ発生しない副作用ですが、明らかな違和感があれば、早めに医療機関に相談しましょう。
蕁麻疹
子どもは、免疫力が低下したときに蕁麻疹が起きやすいといわれています。
インフルエンザウイルス感染によって免疫力が低下したことが原因で、蕁麻疹が発生する可能性があります。
インフルエンザの治療には、タミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタなどの抗インフルエンザ薬が使用されますが、ごくまれにこれらの抗インフルエンザ薬の副作用として、蕁麻疹が起こることがあります。蕁麻疹が出た場合は、薬を処方された医師に早めに相談しましょう。
蕁麻疹によるかゆみを楽にするには、患部を冷たいタオルなどで冷やすのがおすすめです。
インフルエンザの合併症は命に関わることも
合併症にはどんなものがある?
インフルエンザの合併症にはインフルエンザウイルスが原因となる一次性のものと、インフルエンザウイルス以外の細菌感染による二次性または混合感染があります。
インフルエンザの死亡原因の90%以上を占める肺炎、まれではありますがいったん発症すると重篤となる急性脳症およびライ症候群、その他心合併症(心筋炎や心膜炎)、急性筋炎、急性胃腸炎、関節炎、中耳炎、副鼻腔炎などがインフルエンザの合併症です。
合併症を引き起こしやすい、ハイリスク群と呼ばれる子どもや高齢者、妊婦や持病のある方はとくに注意が必要です。
肺炎
インフルエンザによる肺炎は、インフルエンザの死亡原因の1位といわれ、近年では「インフルエンザ肺炎」と呼ばれるほど頻度が高く気をつけるべき合併症です。
特に小児や高齢者では、インフルエンザの死亡原因の半分以上が肺炎とされているため、十分に注意が必要です。
肺炎になると次のような症状があらわれます。
◼︎高熱が続く
◼︎咳や痰が出る
◼︎呼吸が苦しくなる
◼︎胸が痛い・苦しい
インフルエンザ肺炎の治療には、基本的には抗インフルエンザ薬や抗菌薬を使用します。
気管支炎
気管支炎は、インフルエンザが原因となって発症する可能性のある病気です。
命に関わるほど重症化することは多くありませんが、しっかりと治療を行わなければ完治まで長くかかってしまうので、医師の診断を受けて適切な治療を受けることが必要です。
インフルエンザが引き起こす急性気管支炎は、高熱と激しい咳が続くことが特徴です。これらの症状は、インフルエンザウイルスそのものや細菌による二次感染が原因となってあらわれます。全身の倦怠感や頭重などの症状がでることも多く、咳が激しい場合には腹筋などで筋肉痛を起こすこともあります。
インフルエンザ脳症・脳炎
インフルエンザの合併症でとくに深刻なのがインフルエンザ脳症・脳炎です。
インフルエンザ脳炎は、重症化すると死に至ることや、重い後遺症を残すことのある、命に関わる病気です。5歳以下、特に1歳〜3歳の子どもに発症しやすく、多くの場合はインフルエンザを発症してから1日〜2日の間で脳炎の症状があらわれます。
ただし、大人が発症することもあり、とくに高齢者や慢性の疾患がある方、免疫力の落ちている方などは発症しやすくなっています。
インフルエンザ脳症・脳炎の症状は、意識障害、異常行動、けいれんなどです。脳症と脳炎の症状は似ていますが、脳症の方がより重症な疾患であるとされています。
一般的には、脳内に直接ウイルスが侵入し炎症を起こす状態を脳炎と言い、脳内にウイルスは検出されず、過剰な免疫反応が見られる場合に脳症と診断されます。
さまざまな研究から、解熱鎮痛剤に使われる成分であるメフェム酸、ジクロフェナクナトリウムなどが、インフルエンザ脳症の予後悪化に関係しているのではないかと疑われています。
またアスピリン(アセチルサリチル酸)なども急性脳症であるライ症候群を引き起こすおそれがあるとされています。
これらの成分が使用されている解熱剤はインフルエンザのときは使用しないようにしましょう。
病院ではどんな治療をするの?
病院に行くタイミングは?何科に行けばいい?
インフルエンザの症状は激しく、動くのもつらいもの。病院に行くタイミングとしておすすめなのが、インフルエンザと疑われる症状が出てから12時間以上が経過した後です。これは、12時間以上経過しないと検査でインフルエンザの陽性反応が出ないためです。
ただし、症状がでてから48時間以内に抗インフルエンザ薬を飲む必要があるため、病院に行く最適なタイミングは、発症後12〜48時間の間となります。
病院の何科がいいのか判断がつかない場合は、まずは内科に行きましょう。内科ではインフルエンザの検査から抗インフルエンザ薬の処方までトータルなインフルエンザの治療が可能です。
病院で行われる治療
インフルエンザと診断されたときに病院で行われる治療の基本は二つです。
1)抗インフルエンザ薬の処方
2)発熱や痛みなどの症状に合わせた薬の処方
抗インフルエンザ薬は市販されていないので、病院で処方される必要があります。薬を飲む以外では、安静にして栄養と休養をとることになります。
インフルエンザは病院に行かなくても治る?
インフルエンザはウイルスが原因となり発症する風邪の一種であるため、自然治癒は可能です。
ただし、自然治癒は身体の免疫力に影響されるので、回復の度合いや早さには個人差があります。高齢者や子供、妊婦など免疫力が低下している人はインフルエンザが重症化しやすく、合併症を併発すると命に関わる危険性もあるため、抗インフルエンザ薬を使用して早期の治療が望ましいとされています。
日頃から健康な成人の方であれば、症状の程度やみて病院に行くかどうかの判断をしましょう。早く完治させたい方は病院で抗インフルエンザ薬を処方してもらいましょう。
こんなときどうする?インフルエンザの対処法
眠れないときはどうする?
インフルエンザを治すのに効果的なのは、安静にして体を休めること。つまり眠るのがいちばんの治療法です。
しかし、熱で苦しかったり、解熱後も頭痛や関節痛などがひどくて眠れないことも多いと思います。
眠れないときの対処法には、痛みがある場合は患部を冷やす、部屋の加湿、水分補給などがあります。
生理のときはどうする?
インフルエンザの症状がつらいときに生理痛が襲ってきた、そんなつらいときは我慢せずに薬を飲んでも大丈夫です。
ただし、生理痛薬の成分の中にはインフルエンザ中に使用することが禁止されているものがあり、普段飲んでいる薬をそのまま使うのは危険です。
アセチルサリチル酸(アスピリン、エテンザミド)、ジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)、メフェナム酸(ポンタール)といった成分が入った薬は使用しないようにしましょう。
また、お腹や腰を温めて痛みを和らげましょう。
お風呂は入っていいの?
インフルエンザの時は「絶対にお風呂に入ってはいけない」というわけではありません。
しかし熱がある時は、体がウイルスと闘っていて体力を消耗しているので、入浴は控える方が良いとされています。できれば熱が下がってから2日ほど経ち、体力も回復してきてからお風呂を再開するようにしてください。
熱が下がってもだるかったり、食欲がないような場合は体力を温存するためにも湯船に浸かるのは控え、シャワーを浴びたり、お湯で濡らした温かいタオルで体を拭く程度にしましょう。
とくにインフルエンザに気をつけたい人の予防対策
子ども・赤ちゃん
インフルエンザは5〜9歳の発症率が最も高く、年によって異なりますが14歳以下の子供の発症が全体の約5〜7割を占めます。
また、5歳以下の乳幼児はインフルエンザに感染すると重症化しやすく、インフルエンザ脳症などの合併症も起こしやすいため注意が必要です。
大人のインフルエンザの特徴は突然の高熱ですが、乳児の場合は下痢や嘔吐から始まります。そのため、他の病気と見分けにくく、インフルエンザを発症したことが分からないこともあります。
赤ちゃんのインフルエンザは進行が早く、重症化や合併症が多く見られるため、早期発見が大切になります。
妊婦
妊娠中は免疫力が低下しているためインフルエンザにかかりやすく、また重症化しやすくなっているため注意が必要です。
へその緒や母親の血液を通してインフルエンザウイルスが胎児へ移行することはありませんが、母体がインフルエンザ感染で衰弱することで胎児に影響を与える可能性があります。
妊娠中にインフルエンザが疑われたら、まずはかかりつけの産婦人科に電話をしましょう。他の妊婦への感染を防ぐためにも、電話で医師の指示を仰いでください。
風邪だと自己判断して受診のタイミングを誤ってしまうと、症状の重症化につながります。
特に妊娠中は重症化しやすくなっているので、少しでも早く医師の診断を受けることが大切です。
授乳中
インフルエンザウイルスは母乳へは移行しないため、お母さんのインフルエンザが母乳を介して赤ちゃんに感染することはありません。
母乳には赤ちゃんをウイルスや細菌から守る物質が含まれており、母乳を飲むことによって赤ちゃんの免疫力が上がる効果があります。
お母さんが授乳を中断すると、免疫を受け取ることができなくなり、かえって赤ちゃんがインフルエンザに感染するリスクが高くなるケースももあります。
ただし、インフルエンザ治療薬を使用する場合は、授乳を中断しましょう。
高齢者
高齢者のインフルエンザは典型的な高熱や全身症状が現れず、微熱や長引く呼吸器症状だけがみられる場合も少なくありません。
しかし高齢者の場合、加齢や持病の影響による免疫力の低下から重症化しやすく、肺炎や気管支炎など合併症をおこす確率も高くなります。合併症の中でも、とくに肺炎はインフルエンザに関する死亡原因の約6割を占めています。
高齢者の中でも呼吸器に慢性の疾患のある方や、心臓病・腎臓病の方、糖尿病の方は肺炎を起こしやすくなっているので、とくに注意が必要です。
高齢者に最も効果のある感染予防策はインフルエンザ予防接種です。予防接種を受けると、死亡の危険性は1/5に、入院の危険性は1/3〜1/2に減少することが期待されています。
受験生
インフルエンザシーズンは受験シーズンでもあります。受験生の方には、インフルエンザ予防接種をおすすめします。
インフルエンザ予防接種はウイルスの感染を防ぐことが主目的ではないので、絶対に感染しないとは言い切れません。ただし、予防接種を受けていると、感染しても症状が出なかったり、症状が出ても軽く回復も早い傾向があります。
なお、インフルエンザの治療薬で有名なタミフル・イナビル・リレンザといった薬も、ある一定の条件下でインフルエンザの予防薬として使えます。予防効果は10日ほどといわれていいるので、受験日に合わせて使用しましょう。
家族内感染を防ごう!
インフルエンザは感染力が強いため家族が感染したときの対策も必要です。風邪と同じように考えていると、家庭内でインフルエンザが蔓延してしまう可能性もあります。
インフルエンザは個室で静養するのが、感染予防の点では適しています。個室が難しい場合は、部屋を区切ったりしましょう。
また、空気の乾燥や温度の低下はインフルエンザウイルスの生存期間を長引かせてしまいます。部屋の換気と湿度管理の徹底、マスクの着用などの対策をしましょう。
おわりに
インフルエンザの症状と対処法についておわかりいただけたでしょうか。
インフルンザに感染しても、早期に適切な対処をすれば、インフルエンザの療養期間は短くなり、重症化を防ぐことができます。
インフルエンザの症状を知って、冬場のインフルエンザシーズンに備えましょう。